【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第二十七章

922 諦めない

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(メル)

『水と油』

決して分かり合えると思えない人種であると、目と鼻で即座に判断したメルが、ジロッ!と睨みつけていると、更にエルフ族の数は増え、ポインポインを揺らした女の子がこちらに向かってきた。

「もう……兄さん。そんな怖い動物達に近づいちゃ駄目でしょう?
急に暴れたら危ないわ。あっちにいきましょう?」

ムカムカムカ~~!

喧嘩を売られたため、レイドと共にそれを喜んで買ってギャーギャーと罵り合いを始めると、なんと二人はビシッとリーフを指差し得意げな様子を見せる。

「僕たちぃ~リーフ様と仲良しなんで!
これからお話するから動物さんは、しっしっ!あっちの広い場所でドック・ランしてきてくださ~い。」

ふふ~ん!と自慢する様に告げられる言葉にムカッ!としたメル達は、リーフの右腕をグイ~ッと引っ張る。

「リーフと俺達は親友!マブダチなんでぇ~!草くせぇ引きこもり族はあっちにいってくださ~い。」

レイドがドヤッとした顔で反撃すると、突然引っ張られたリーフがビックリした顔を見せる。

『親友』

…………。


……名案だ!


メルはレイドの言葉にキラッ!と目を輝かせた。

メルはリーフと仲良くなりたい。

メルにない強さを持つリーフ。
メルを強いと言ってくれたリーフ。
更に同じ獣人仲間であるリーフ。

これは友達を越えて親友……でいいのではないか?

メルはそう考えたし、レイドもそう思っている。

─────フンスっ!

勢いよく鼻息を吹いて、グイグイと腕を引っ張っていると、エルフ族の2人も負けじとリーフの反対の腕を引っ張ってくる。

「僕達ぃ~リーフ様の愛人なので!野蛮な動物さんの方があっちに行ってくださぁ~い!」

『愛人』

…………。


……リーフは雄としての優秀さも兼ね備えている!

これは凄い!と感激し、キラキラ~と目を輝かせた。

『これは是非とも近くでそのテクニックを学ばせて貰いたい!』
そう考え、負けるものかとリーフの腕を強く引っ張ると……突然リーフの背後からその怖いヤツがヌッ!と現れ、リーフを羽交い締めに。

ミチミチミチ~~ッ!!

リーフの身体が締め付けられる音をバックに急いでピュピュ~!とその場から逃走した。

◇◇
「 ……あ~……怖かった。 」

レイドがくったりしてしまった尻尾を擦りながらそう言うと、メルも完全同意したので、コクリと頷く。
しかし、怖いのが側にいてもレイド同様、メルも諦めるつもりはなくなったので、二人揃って、ニヤッと笑った。

獣人は一度コレだと決めた獲物は逃さない。

そのスイッチが完全に入り、二人で目を合わせてその気持ちを確かめあった。

完全に気持ちが決まったメル達はそれからリーフの動きに注目する様になったが、それで判明した事は、リーフが物凄く強いという事。
あの怖いヤツのせいで全く目立たないが、とにかく強い。

しかも戦い方がトリッキーで、楽しい事が大好きな獣人にとってリーフの戦い方はとても魅力的なモノであった。

ピクピク……。

フリフリ~……!

周りを見渡せば、レイドの犬の耳や尻尾の様な身体的な特徴を持つ獣人達はいつの間にかリーフの動きに注目していて、耳や尻尾を動かしている。

「こりゃ~頑張って自己アピールしなきゃ、親友の座は勝ち取れないな!よ~し!負けねぇぞ!」

ゴッ!と燃えるレイドに釣られてメルも同じく燃え上がり、気合を入れたが……結果的にあまり心配は必要なかった。

なぜならリーフの側にくっついている怖いヤツがとんでもないヤツだったからだ。

あのメルをふっ飛ばした人族の男を一瞬……。
瞬きもせずに見ていたというのに、メルには何も見えなかった。

慌ててレイドへ視線を送ったが、レイドも目を見開きガタガタ震えながら「何も見えなかった……。」とポツリと呟いただけ。
そんなヤツがいるのに、リーフに近づこうとする獣人達は皆無だ。

メルも怖い。
でもメルは強い、そして諦めない。

そう決意をこめてレイドを見つめると、レイドも同様の視線をメルに送り、そのまま二人で拳を握りあった。


それから試験は順調……とは言えないが終了し、その場で解散となったが、実はレイドとメルには試験後に大事な大事なミッションが残っている。

それは大人の獣人達に教えてもらった人族の女の子達とお話できる夢の場所へ行くこと。

【剛腕ガールズ・カフェ】

グリモアに行くならまずはココ!と太鼓判を押されたので、レイドとメルはこの日のために毎日コツコツコツコツお小遣いを貯めてきた。

ワクワク……。ドキドキ……。

────ソワソワソワソワ~!

落ち着きなく体を動かしていると、この後何処に行くのかとリーフに聞かれたため、その魅力をレイドが存分に説明する。
するとレイドの説明を聞いたリーフは徐々に顔が引き攣り、なにかをいいかけだが─────それより先に口を開いたのは、ブタと魚の獣人達であった。

「待ちたまえ!君たち、そのお店は本当に安全なのか?」

「ここは準王都……今までの常識が通用するとは思わない事っすね。」

浮かれるメル達を諌めてくれる様な言葉に、レイドと二人でハッ!とする。
確かにこんな浮かれた状態で行っては、女の子達に嫌われる可能性もある。
人族には人族のマナーというものだってあるはずだ。

二人でどうしようどうしよう……とモゾモゾ身体を動かしていると、何とこの二人、一緒に着いてきてくれるというではないか!

何と心強い!
ありがとう!

レイドと二人で目を輝かせながら、その申し出を有り難く受け取り、そのまま走ってその場所へと向かった。
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