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第二十八章
942 邪神の子
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(ジュワン)
カール様のお考えに賛同しながらそう質問すると、カール様は美しい笑みを顔に浮かべた。
「だから全国の中学院に送りつけるのですよ。
『下等生物達を正しく導く、正しい知識を持った教員』を。」
その答えを聞いた私は、その素晴らしい計画にフルフルと感動し、身体は打ち震える。
つまり我がエドワード派閥の者達を、アーサー派閥で固められている中学院へ送り込み、憐れにも不当な扱いを受けている貴族の子供達を救うという事だ。
まだ柔らかい内部からじっくり、ジワジワと……。
既に凝り固まった価値観を変えるよりも、その方が遥かに効率が良い。
「流石はカール様。何と素晴らしい計画なのでしょう!
では、私はその計画を実行するための栄誉ある一員にしてくださるのでしょうか?」
喜びに震えながらそう問うと、カール様は快く頷いてくださった。
「えぇ、勿論です。私はね、あなたの正義に対する強き姿勢を非常に高く評価しているのですよ。
ですので、あなたには是非、ライトノア学院を担当して頂きたい。
よろしいですね?」
「────っ!はっ!!このジュワン、必ずやその大役をこなしてみせましょう!」
ライトノア学院は現在No.1に輝いている最もアーサー派閥の影響を受けている中学院。
そんな大役を任されて、私の胸は熱く滾る。
私の全てを受け入れ肯定してくれるエドワード派閥。
エドワード様の掲げる思想こそが世の正しい思想なのだ!
私の返事を聞き、カール様は花が咲くような美しい笑みを浮かべたのだが……突然表情を曇らせてしまった。
「どうされましたか?何か私に対して不安に思う事でも……?」
「────いいえ、あなたほど頼りになる者はいないでしょう。
そうではなくて、このまま順当にいけばメルンブルク家を……いえ、この世界全てを陥れようと企む邪神の子供がライトノア学院の門を叩くかもしれません。
私はそれに心を痛めているのです。」
「じゃ……邪神ですと……?」
驚く私に、カール様は悲しげに顔を歪ませ、その『邪神の子供』について語る。
邪神の子供は、なんとメルンブルク家の二人目の子息として生まれ、何一つメルンブルク家の特徴を持たずに生まれてきたそうだ。
そのせいで女神さえも嫉妬するといわれる程の美しさと慈愛の心を持つローズ様はお心を常に傷め、更に他の子御子息達もそれにより苦しめられているとの事だった。
「その邪神が誕生してから、我々メルンブルク家は不幸のどん底へと叩き落されました。
愛する家族の苦しむ姿は何よりも心が痛む……。」
「なんと……。」
愛する家族を想い、嘆き悲しむカール様に懸ける言葉が見つからない。
下を向いてしまったカール様を見て、眉間にシワを寄せその悲しみに同調していると、カール様が突然顔を上げ、フッ……と憂いた表情を私に向ける。
「これは神より与えられし試練です。
神に選ばれし我がメルンブルク家は、きっとこの邪神の子を滅ぼす宿命を負ったのでしょう。
しかし、いくら邪神の子とはいえど、準成人を迎えるまでは命を奪ってはいけません。
これはイシュル神の決めた事ですから……。」
最後は弱々しく微笑むカール様。
その姿はなんと儚げで美しいのだろうと思った。
そんなおぞましい生き物、直ぐにでも殺してしまえばよかったのに……!
────しかし、カール様は神の決めた事を受け入れ、正々堂々と戦おうとしているのだ。
その志の素晴らしさに胸が震え、拳をグッと握ると、今まで私達の会話を静かに聞いていたエドワード様がゆっくり口を開いた。
「その息子に関しては色々と手を打つことにしよう。
邪神とはいえ一応は公爵家の息子だからな、それなりの手順は必要になるだろう。
────だが……そうだな……?例えばの話しをするなら、中学院の受験の最中、何か良からぬ事故が起こる事は稀にある。
そしてそれがたまたま公爵家の子息であった……なんて可能性は0ではないかもな?」
フッ……と薄っすら笑うエドワード様。
そして弱々しく微笑んでいたカール様が、突然パッ!と嬉しそうに笑う。
「えぇ、そういった可能性も0ではありませんね!────では、それがもしも起きたとすれば責任問題になりますね?
勿論その責任はその学院の最高責任者、フラン学院長にとってもらう事になるでしょう。
運も実力の内と言いますし……仕方ないですよね?」
そう言って私へ視線を送るカール様を見返し、その言わんとする意図を完全に理解した私はニヤッと笑って頭を下げた。
「その通りでございます。」
カール様のお考えに賛同しながらそう質問すると、カール様は美しい笑みを顔に浮かべた。
「だから全国の中学院に送りつけるのですよ。
『下等生物達を正しく導く、正しい知識を持った教員』を。」
その答えを聞いた私は、その素晴らしい計画にフルフルと感動し、身体は打ち震える。
つまり我がエドワード派閥の者達を、アーサー派閥で固められている中学院へ送り込み、憐れにも不当な扱いを受けている貴族の子供達を救うという事だ。
まだ柔らかい内部からじっくり、ジワジワと……。
既に凝り固まった価値観を変えるよりも、その方が遥かに効率が良い。
「流石はカール様。何と素晴らしい計画なのでしょう!
では、私はその計画を実行するための栄誉ある一員にしてくださるのでしょうか?」
喜びに震えながらそう問うと、カール様は快く頷いてくださった。
「えぇ、勿論です。私はね、あなたの正義に対する強き姿勢を非常に高く評価しているのですよ。
ですので、あなたには是非、ライトノア学院を担当して頂きたい。
よろしいですね?」
「────っ!はっ!!このジュワン、必ずやその大役をこなしてみせましょう!」
ライトノア学院は現在No.1に輝いている最もアーサー派閥の影響を受けている中学院。
そんな大役を任されて、私の胸は熱く滾る。
私の全てを受け入れ肯定してくれるエドワード派閥。
エドワード様の掲げる思想こそが世の正しい思想なのだ!
私の返事を聞き、カール様は花が咲くような美しい笑みを浮かべたのだが……突然表情を曇らせてしまった。
「どうされましたか?何か私に対して不安に思う事でも……?」
「────いいえ、あなたほど頼りになる者はいないでしょう。
そうではなくて、このまま順当にいけばメルンブルク家を……いえ、この世界全てを陥れようと企む邪神の子供がライトノア学院の門を叩くかもしれません。
私はそれに心を痛めているのです。」
「じゃ……邪神ですと……?」
驚く私に、カール様は悲しげに顔を歪ませ、その『邪神の子供』について語る。
邪神の子供は、なんとメルンブルク家の二人目の子息として生まれ、何一つメルンブルク家の特徴を持たずに生まれてきたそうだ。
そのせいで女神さえも嫉妬するといわれる程の美しさと慈愛の心を持つローズ様はお心を常に傷め、更に他の子御子息達もそれにより苦しめられているとの事だった。
「その邪神が誕生してから、我々メルンブルク家は不幸のどん底へと叩き落されました。
愛する家族の苦しむ姿は何よりも心が痛む……。」
「なんと……。」
愛する家族を想い、嘆き悲しむカール様に懸ける言葉が見つからない。
下を向いてしまったカール様を見て、眉間にシワを寄せその悲しみに同調していると、カール様が突然顔を上げ、フッ……と憂いた表情を私に向ける。
「これは神より与えられし試練です。
神に選ばれし我がメルンブルク家は、きっとこの邪神の子を滅ぼす宿命を負ったのでしょう。
しかし、いくら邪神の子とはいえど、準成人を迎えるまでは命を奪ってはいけません。
これはイシュル神の決めた事ですから……。」
最後は弱々しく微笑むカール様。
その姿はなんと儚げで美しいのだろうと思った。
そんなおぞましい生き物、直ぐにでも殺してしまえばよかったのに……!
────しかし、カール様は神の決めた事を受け入れ、正々堂々と戦おうとしているのだ。
その志の素晴らしさに胸が震え、拳をグッと握ると、今まで私達の会話を静かに聞いていたエドワード様がゆっくり口を開いた。
「その息子に関しては色々と手を打つことにしよう。
邪神とはいえ一応は公爵家の息子だからな、それなりの手順は必要になるだろう。
────だが……そうだな……?例えばの話しをするなら、中学院の受験の最中、何か良からぬ事故が起こる事は稀にある。
そしてそれがたまたま公爵家の子息であった……なんて可能性は0ではないかもな?」
フッ……と薄っすら笑うエドワード様。
そして弱々しく微笑んでいたカール様が、突然パッ!と嬉しそうに笑う。
「えぇ、そういった可能性も0ではありませんね!────では、それがもしも起きたとすれば責任問題になりますね?
勿論その責任はその学院の最高責任者、フラン学院長にとってもらう事になるでしょう。
運も実力の内と言いますし……仕方ないですよね?」
そう言って私へ視線を送るカール様を見返し、その言わんとする意図を完全に理解した私はニヤッと笑って頭を下げた。
「その通りでございます。」
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