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第二十九章
(リーン)958 ハッピーバースディ
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(リーン)
「お~悪かったな~?つい邪魔だったから足が出ちまった~♬」
その目には勿論謝罪の気持ちなど一切なく『新しいおもちゃ見~つけた!』と言わんばかりの態度であった。
「おいっ!こんな小さい子に何をするんだ!!」
「やめなさいよ!女の子になんてこと……!」
周りの大人たちが口々に非難する言葉を吐くと、スキンヘッドの人はギロッと周囲を睨みつけ、煽るような態度で言った。
「はぁ~??今、誰か何か言ったか~?守ってもらうしかない雑魚虫さん達?
俺達はこの街を守るためにわざわざ王都の冒険者ギルドから推薦されて来てやったんですけど~?
俺達がいないと街にモンスターが入って来ちゃうかも知れねぇっつーのに、そんな状況で文句とか言える立場なんですかねぇ~?」
ピュピュ~♬と口笛を吹きながらそう言うスキンヘッドの人に、皆何も言い返す事ができなくて押し黙る。
怒り、悲しみ、悔しさ……。
誰もがそれを抱えながら、必死に耐えている。
そして私は大事な友達が傷つけられたというのに、無様に痛みに耐えているだけ。
何一つ現状は変わらない。
ここが私が生きていかなくちゃならない世界なんだ。
私が怒りと憎しみ、そしてその世界に対する絶望を感じると、突然目の前に丸いテーブルが置かれていて、その上に沢山の真っ赤なろうそくが置かれているのに気づいた。
「えっ…………?」
ギョッ!と驚き、慌てて周りを見渡すと、どこを見てもそこは薄暗い灰色一色の世界で……どうやらそのテーブルと赤いろうそく以外何もないようだ。
「…………。」
どうする事もできなくて、仕方なく目の前に置かれたそのテーブルに視線を戻すと────突然そのろうそくの一つに火が灯り、次々と他のろうそくにも火が点いていく。
そしてやがて全てのろうそくに火が付き、そのゆらゆらと揺れる火を見ていると、どんどん心は落ち着いてき『別にこれでいいのか』という気持ちになっていった。
この世界は憎しみと怒り、悲しみに満ちていて、それが『普通』の世界なんだ。
つまりいい人達は我慢し搾取され続ける、そして私の大事な友達を傷つけられても仕方ない。
それが『正しい』世界の姿!
私はニッコリ微笑みながらその揺れるろうそくを眺めていると、ろうそくがドロドロと溶け始めてテーブルは赤く染まっていく。
世界はこれから少しづつ赤く染まっていく。
・・
その内、ココは全て…………。
それすらも楽しくなって、クスクスと笑いながら赤く染まっていくテーブルを見ていると、突然テーブルを挟んだ前に誰かが立っているのに気づいた。
誰…………??
その顔は何故か見えなくて、目を細めていると────……。
「何だかお誕生日みたいだね。ハッピーバースディ!新たな世界!」
そんな男の人?の声が聞こえて、突然その人はフゥゥゥ~~!とそのろうそくに向かって息を吹く。
すると突然大きな突風のような風が吹き────────ろうそくの火は全て消えてしまった。
「君!大丈夫かい?!」
突然近くで聞こえる大声に、私の意識はハッ!と現実に戻ってくる。
痛みに耐えながら必死に声がした方へ視線を向けると、そこには私より少し年上の男の子が心配そうに私を見下ろしていた。
「だ、大丈夫!!」
ボンヤリしていた頭で、反射的にそう答えると、そのお兄さんはニコッと笑い私の口に酷く苦い何かを放り込んできたため、意識は一瞬でクリアーに。
に……にがぁぁぁ~っ!!
口の中は最悪!
しかし身体全体を蝕んでいた痛みは一瞬でなくなり、私はスクっ!と立ち上がる。
「凄い……痛みがなくなった!ありがとうお兄さん!」
御礼を告げると、そのお兄さんは「どういたしまして~。」と言いながら落ちていたリンゴを拾い、私に渡してくれた。
するとスキンヘッドの人からドッ!と鋭い殺気の様なモノがそのお兄さんに向く。
その殺気は私達非戦闘員ですら即座にヤバい!と感じるモノで、私も街の人達も全員が青ざめ、ガクガクと震える体を抑えられない。
「おい、なんだぁ?このくそガキ。てめぇ、騎士様気取りでもしてんのか?俺の事知らねえわけないよなぁ~?俺は────。」
「ごめん。悪いけど、俺は君と仲良くなりたくないから名前、言わなくていいよ。
どんな理由があってもこんな小さい子供を蹴るやつは大嫌いだ。」
しかし、そのお兄さんは全然平気なのかピンピンしていて、ズバッ!とそのスキンヘッドの人に拒否の意を口にする。
そうして一触即発の空気になってしまった、その時────ナッツちゃんのお父さんであるケンさんが駆けつけてくれた。
私や街の人達は同時にホッと胸を撫で下ろす。
このまま大人しくいなくなれ!
誰もがそう願ったのだが…………『人』ではない人達はそう大人しく従ってはくれない。
その後ケンさんに言い負かされ、そのまま去っていくかと思われたスキンヘッドの人は、歩き出して直ぐに突然ボソッと呟いた。
「…………だがよぉ~やっぱ舐められたままだとムカつくんだわ。」
何……??
そう思った瞬間、その人は一瞬で消えた。
「お~悪かったな~?つい邪魔だったから足が出ちまった~♬」
その目には勿論謝罪の気持ちなど一切なく『新しいおもちゃ見~つけた!』と言わんばかりの態度であった。
「おいっ!こんな小さい子に何をするんだ!!」
「やめなさいよ!女の子になんてこと……!」
周りの大人たちが口々に非難する言葉を吐くと、スキンヘッドの人はギロッと周囲を睨みつけ、煽るような態度で言った。
「はぁ~??今、誰か何か言ったか~?守ってもらうしかない雑魚虫さん達?
俺達はこの街を守るためにわざわざ王都の冒険者ギルドから推薦されて来てやったんですけど~?
俺達がいないと街にモンスターが入って来ちゃうかも知れねぇっつーのに、そんな状況で文句とか言える立場なんですかねぇ~?」
ピュピュ~♬と口笛を吹きながらそう言うスキンヘッドの人に、皆何も言い返す事ができなくて押し黙る。
怒り、悲しみ、悔しさ……。
誰もがそれを抱えながら、必死に耐えている。
そして私は大事な友達が傷つけられたというのに、無様に痛みに耐えているだけ。
何一つ現状は変わらない。
ここが私が生きていかなくちゃならない世界なんだ。
私が怒りと憎しみ、そしてその世界に対する絶望を感じると、突然目の前に丸いテーブルが置かれていて、その上に沢山の真っ赤なろうそくが置かれているのに気づいた。
「えっ…………?」
ギョッ!と驚き、慌てて周りを見渡すと、どこを見てもそこは薄暗い灰色一色の世界で……どうやらそのテーブルと赤いろうそく以外何もないようだ。
「…………。」
どうする事もできなくて、仕方なく目の前に置かれたそのテーブルに視線を戻すと────突然そのろうそくの一つに火が灯り、次々と他のろうそくにも火が点いていく。
そしてやがて全てのろうそくに火が付き、そのゆらゆらと揺れる火を見ていると、どんどん心は落ち着いてき『別にこれでいいのか』という気持ちになっていった。
この世界は憎しみと怒り、悲しみに満ちていて、それが『普通』の世界なんだ。
つまりいい人達は我慢し搾取され続ける、そして私の大事な友達を傷つけられても仕方ない。
それが『正しい』世界の姿!
私はニッコリ微笑みながらその揺れるろうそくを眺めていると、ろうそくがドロドロと溶け始めてテーブルは赤く染まっていく。
世界はこれから少しづつ赤く染まっていく。
・・
その内、ココは全て…………。
それすらも楽しくなって、クスクスと笑いながら赤く染まっていくテーブルを見ていると、突然テーブルを挟んだ前に誰かが立っているのに気づいた。
誰…………??
その顔は何故か見えなくて、目を細めていると────……。
「何だかお誕生日みたいだね。ハッピーバースディ!新たな世界!」
そんな男の人?の声が聞こえて、突然その人はフゥゥゥ~~!とそのろうそくに向かって息を吹く。
すると突然大きな突風のような風が吹き────────ろうそくの火は全て消えてしまった。
「君!大丈夫かい?!」
突然近くで聞こえる大声に、私の意識はハッ!と現実に戻ってくる。
痛みに耐えながら必死に声がした方へ視線を向けると、そこには私より少し年上の男の子が心配そうに私を見下ろしていた。
「だ、大丈夫!!」
ボンヤリしていた頭で、反射的にそう答えると、そのお兄さんはニコッと笑い私の口に酷く苦い何かを放り込んできたため、意識は一瞬でクリアーに。
に……にがぁぁぁ~っ!!
口の中は最悪!
しかし身体全体を蝕んでいた痛みは一瞬でなくなり、私はスクっ!と立ち上がる。
「凄い……痛みがなくなった!ありがとうお兄さん!」
御礼を告げると、そのお兄さんは「どういたしまして~。」と言いながら落ちていたリンゴを拾い、私に渡してくれた。
するとスキンヘッドの人からドッ!と鋭い殺気の様なモノがそのお兄さんに向く。
その殺気は私達非戦闘員ですら即座にヤバい!と感じるモノで、私も街の人達も全員が青ざめ、ガクガクと震える体を抑えられない。
「おい、なんだぁ?このくそガキ。てめぇ、騎士様気取りでもしてんのか?俺の事知らねえわけないよなぁ~?俺は────。」
「ごめん。悪いけど、俺は君と仲良くなりたくないから名前、言わなくていいよ。
どんな理由があってもこんな小さい子供を蹴るやつは大嫌いだ。」
しかし、そのお兄さんは全然平気なのかピンピンしていて、ズバッ!とそのスキンヘッドの人に拒否の意を口にする。
そうして一触即発の空気になってしまった、その時────ナッツちゃんのお父さんであるケンさんが駆けつけてくれた。
私や街の人達は同時にホッと胸を撫で下ろす。
このまま大人しくいなくなれ!
誰もがそう願ったのだが…………『人』ではない人達はそう大人しく従ってはくれない。
その後ケンさんに言い負かされ、そのまま去っていくかと思われたスキンヘッドの人は、歩き出して直ぐに突然ボソッと呟いた。
「…………だがよぉ~やっぱ舐められたままだとムカつくんだわ。」
何……??
そう思った瞬間、その人は一瞬で消えた。
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