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第二十九章
(リーン)961 神頼み
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(リーン)
そしてその道中、どうしても聞きたい事があってチラッチラッとお父さんの顔を見上げて……でも聞けなくて口を閉じる。
それを繰り返していると、お父さんはクスッと笑いながら「何が聞きたいのかな?」と優しく言ってくれた。
そのため私は意を決し、ボソッと聞きたかった事を口にする。
「お母さんは…………お父さんや私の事、思い出してくれたのかな……? 」
お父さんは私の質問を聞き一瞬無言になったが、お母さんの事を思い出したのか、フッ……と笑った。
「どうだろうね?分からないけど……うん、お母さんは思い出したと思うよ。凄く優しい人だったから。」
「思い出しても無視して行っちゃったのかな……それって私達の方が大事じゃなかったって事?
…………お父さんはそんなお母さんの事、好きじゃなくなった?」
『もう好きじゃないから死んだときに悲しくなかった?』
今まで聞きたくても聞けなかった事をとうとう聞いてしまった。
ドキンッ……ドキンッ……。
酷いことを聞いてしまったと、ドキドキしながら私は恐る恐るお父さんの顔を見上げたが……予想していた表情はそこにはなく、とても幸せそうに微笑むお父さんの顔があった。
「お母さんはね、全てを救いたい人だったんだ。
だからきっと悲しい顔を浮かべた私達も、目の前の子供も両方捨てられなかったんだよ。
それがお母さんの『正義』で、選んだ道だった。
そしてお父さんはそんなお母さんを心から愛していた。……いや、今でも愛している。
だから私はこの悲しみを全て受け入れて、これからも抱えて生きていくんだ。
お母さんと結婚した時に、それは覚悟した事だから。」
お父さんの話は難しくて完璧に理解は出来なかったが、漠然と『あぁ、私は捨てられたわけではなかったのか……。』とその想いがストンっと心の中に落ちてくる。
お父さんに聞けばそうではないと言ってくれるだろうが、なんとなく頭の片隅には、自分はお母さんに捨てられたんじゃないだろうか?という想いがあった。
そしてお父さんはお母さんの事をあまり好きではなくて、その子供である私の事もあまり好きではないのかもと……。
そんな想いをずっと抱えていたけど、そうじゃなかった。
お父さんはお母さんが大好き。
その選んだ選択肢全てを受け止めるくらいに。
そして私の事も大好きだからこんなにも心配してくれている。
ブワッと色んな感情が溢れ出て、お父さんと繋いでいる手に力を入れると、お父さんも私の手を強く握り返した。
「リーン、君はお母さんそっくりだけど全く同じというわけじゃない。
お母さんは全てを捨てられなくて、守る為の『力』を求めて傭兵になった。
でも、それはお母さんが選んだ方法で、そのやり方は一つじゃないんだ。
だからリーンはリーンなりのやり方でどんな人になりたいのかをゆっくり探して欲しい。
ただ父親として一つ覚えていて欲しいのは、リーンが傷つけばお父さんは凄く悲しいという事だ。
その気持ち、きっとリーンは分かっているよね?」
大事な人が傷つけられた事への怒り、悲しみ。
そして残される者の気持ち。
それは嫌というほど私は知っている。
脳裏にはナッツちゃん、そして私を残して行ってしまったお母さんの姿。
自分が味わったこの気持ちを、私はお父さんや他の私の大事な人達に味わわせたくないと強く思う。
困った様に笑うお父さんの顔を見上げ、大きく頷くと────お父さんはホッ……と安心した様子で息を吐いた。
それから私はお父さんに言われた事を考えて考えて────自分なりの『正義』を貫くにはどうしたらいいのかを毎日考える様になる。
私はお父さんを初めとして沢山の人達に助けてもらっている。
だから私も将来皆を助けたい。
そんな人物になるにはどうすればいいのか?
う~ん……う~ん…………。
悩む日々を過ごしていると、ナッツちゃんもあれ以来私と同様に思うところがあったのか、同じく悩んでいる様だ。
悩んで悩んで────答えが出ない。
そんな私達が考えついた事は『神頼み』。
どうにもならない想いを抱えながら、私達は二人で教会に行ってみることにしたのだ。
そうして私達はその日に向かった教会で、運命に引き寄せられるようにある人物に出会う事になった。
この国の王女様であり、『聖女』の名を持つソフィア様に────。
偶然にも教会にいたソフィア様はとても綺麗で優しそうで、ついついナッツちゃんと共にポ──ッと見惚れてしまった。
鮮やかな金色の髪、神秘的なアメジストの瞳。
透き通る様な白い肌に、何より人を安心させるような……それでいて絶対的なカリスマ的存在感は、私とナッツちゃんを魅了する。
これが聖女様……邪を払い人々に希望を与える存在なんだ!
キラキラ目を輝かせながら、ソフィア様が祈りを捧げる人々に挨拶をしている姿を見ていると、突然教会に冒険者らしき二人の男の人達が飛び込んできた。
そしてその道中、どうしても聞きたい事があってチラッチラッとお父さんの顔を見上げて……でも聞けなくて口を閉じる。
それを繰り返していると、お父さんはクスッと笑いながら「何が聞きたいのかな?」と優しく言ってくれた。
そのため私は意を決し、ボソッと聞きたかった事を口にする。
「お母さんは…………お父さんや私の事、思い出してくれたのかな……? 」
お父さんは私の質問を聞き一瞬無言になったが、お母さんの事を思い出したのか、フッ……と笑った。
「どうだろうね?分からないけど……うん、お母さんは思い出したと思うよ。凄く優しい人だったから。」
「思い出しても無視して行っちゃったのかな……それって私達の方が大事じゃなかったって事?
…………お父さんはそんなお母さんの事、好きじゃなくなった?」
『もう好きじゃないから死んだときに悲しくなかった?』
今まで聞きたくても聞けなかった事をとうとう聞いてしまった。
ドキンッ……ドキンッ……。
酷いことを聞いてしまったと、ドキドキしながら私は恐る恐るお父さんの顔を見上げたが……予想していた表情はそこにはなく、とても幸せそうに微笑むお父さんの顔があった。
「お母さんはね、全てを救いたい人だったんだ。
だからきっと悲しい顔を浮かべた私達も、目の前の子供も両方捨てられなかったんだよ。
それがお母さんの『正義』で、選んだ道だった。
そしてお父さんはそんなお母さんを心から愛していた。……いや、今でも愛している。
だから私はこの悲しみを全て受け入れて、これからも抱えて生きていくんだ。
お母さんと結婚した時に、それは覚悟した事だから。」
お父さんの話は難しくて完璧に理解は出来なかったが、漠然と『あぁ、私は捨てられたわけではなかったのか……。』とその想いがストンっと心の中に落ちてくる。
お父さんに聞けばそうではないと言ってくれるだろうが、なんとなく頭の片隅には、自分はお母さんに捨てられたんじゃないだろうか?という想いがあった。
そしてお父さんはお母さんの事をあまり好きではなくて、その子供である私の事もあまり好きではないのかもと……。
そんな想いをずっと抱えていたけど、そうじゃなかった。
お父さんはお母さんが大好き。
その選んだ選択肢全てを受け止めるくらいに。
そして私の事も大好きだからこんなにも心配してくれている。
ブワッと色んな感情が溢れ出て、お父さんと繋いでいる手に力を入れると、お父さんも私の手を強く握り返した。
「リーン、君はお母さんそっくりだけど全く同じというわけじゃない。
お母さんは全てを捨てられなくて、守る為の『力』を求めて傭兵になった。
でも、それはお母さんが選んだ方法で、そのやり方は一つじゃないんだ。
だからリーンはリーンなりのやり方でどんな人になりたいのかをゆっくり探して欲しい。
ただ父親として一つ覚えていて欲しいのは、リーンが傷つけばお父さんは凄く悲しいという事だ。
その気持ち、きっとリーンは分かっているよね?」
大事な人が傷つけられた事への怒り、悲しみ。
そして残される者の気持ち。
それは嫌というほど私は知っている。
脳裏にはナッツちゃん、そして私を残して行ってしまったお母さんの姿。
自分が味わったこの気持ちを、私はお父さんや他の私の大事な人達に味わわせたくないと強く思う。
困った様に笑うお父さんの顔を見上げ、大きく頷くと────お父さんはホッ……と安心した様子で息を吐いた。
それから私はお父さんに言われた事を考えて考えて────自分なりの『正義』を貫くにはどうしたらいいのかを毎日考える様になる。
私はお父さんを初めとして沢山の人達に助けてもらっている。
だから私も将来皆を助けたい。
そんな人物になるにはどうすればいいのか?
う~ん……う~ん…………。
悩む日々を過ごしていると、ナッツちゃんもあれ以来私と同様に思うところがあったのか、同じく悩んでいる様だ。
悩んで悩んで────答えが出ない。
そんな私達が考えついた事は『神頼み』。
どうにもならない想いを抱えながら、私達は二人で教会に行ってみることにしたのだ。
そうして私達はその日に向かった教会で、運命に引き寄せられるようにある人物に出会う事になった。
この国の王女様であり、『聖女』の名を持つソフィア様に────。
偶然にも教会にいたソフィア様はとても綺麗で優しそうで、ついついナッツちゃんと共にポ──ッと見惚れてしまった。
鮮やかな金色の髪、神秘的なアメジストの瞳。
透き通る様な白い肌に、何より人を安心させるような……それでいて絶対的なカリスマ的存在感は、私とナッツちゃんを魅了する。
これが聖女様……邪を払い人々に希望を与える存在なんだ!
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