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第三十章
(冒険者の男)994 めでたしめでたし
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(冒険者の男)
「俺だって今直ぐそんなモノ捨ててやりますから!!任せて下さい!!
それに聖職者様達はよく言ってるじゃないですかぁぁ~。
『人は皆平等で、己の罪は善行をもって償うべき』ってぇぇ~。」
「俺達心の底から反省してるんで!これからは真っ当に生き、弱き人々のため、身を粉にして働きますぅぅ~。
その方が世のため人のため………だろぉ~?」
そうして更にボロボロと泣いて同情を誘う俺達に対し、ヨセフ司教はもう一度ため息をつき、そんな俺達に言った。
「やれやれ。貴方達の誠意とやらは理解しました。
いいでしょう。これからは必ず弱き者達のため必死に善行を行い、己の大きすぎる罪を償ってごらんなさい。
では、今直ぐその移転リングでこの街から避難して下さいね。
────くれぐれもこれ以上悪事を働いてはいけませんよ。」
念を押す言葉に俺達は「「「「はいっ!!」」」」と大きく頷き、そのままペコペコと頭を下げて<移転リング>を発動させる。
すると一瞬で着いたのは、安全で平和な辺境の田舎街。
直ぐに人気のない裏路地に避難し、俺達は同時に、ほぉ~~………と息を吐き出した。
「クソっ!あおのヨセフ司教を雑魚野郎って言ってた奴、誰だよ。あんなつえぇなんて聞いてねぇぞ!」
「諜報担当の奴だろ。……まぁ、よく考えればそもそも司教に上り詰めるくらいだ。
そりゃ~やべぇ能力の一つや二つ、持ってても不思議じゃねぇ。しくじったな。」
仲間達は助かったと同時に溢れ出る不満を口々に呟くと、一人の仲間が腕を擦りながらフルっ……と体を震わせる。
「………まだ体の震えが収まらねぇよ。あの痛み………幻なんかじゃなかった。
神経に直にくるあの痛み……もう二度と味わいたくねぇ。」
「何の能力かは知らねぇが、前もってモンスターの一匹でも連れて行きゃ良かったな。
あのすました顔、ホントにムカつくぜ。
今直ぐモンスターを連れてリベンジに……と言いたい所だが────どうせこのまま奴はグリモアでおさらばだろう。
────ちっ!!イライラすんな、畜生がっ!!」
────ガンッ!!
最後は怒鳴る様にそう言った仲間の一人が、イライラをぶつける様に近くにあった鉄製のゴミ箱を蹴飛ばすと、突然遠くの空が────カッ!!!と光り輝いた。
「なっ、なんだ!!」
ざわつく俺達と街の住人達が光る空を見上げると、その光はどんどんと空に広がっていき、やがて静かに消えていく。
一体何が……??!
仲間たちが動揺している中、俺はハッ!とある事に気づき大声で叫んだ。
「もしかしてあれが【聖令浄化】ってやつじゃねぇの?!……って事は────……。」
「あの化け物もクソ司教も死んだって事かっ!!!」
俺の言葉を遮り一人の仲間が叫ぶと、ワッ!!と一斉に歓声が上がる。
これで俺達を脅かすモノはなくなった!
それを理解して喜んだが、今度はフッとナックルの旦那の事を思い出す。
「────あ~……でもよぉ、ナックルの旦那は?見当たらなくね?」
「逃げ遅れたんじゃね~の?
────まっ、それなりに楽しく稼がせて貰ったしボチボチ潮時か~って所だったからいっか~。
それによぉ~もしかしたら、ナックルの旦那がいない分、分け前増えるかもしれねぇじゃん。ラッキー♡」
ハハハッ!!と笑い合う俺達は、それぞれが腹黒い思いに内心ほくそ笑んだ。
仲間など、その時自分が楽をするためのただの手段。
得を得るために使う便利な道具でしかないため、それが失くなればまた新たな『仲間』を見つけて甘い汁を吸えばいい。
俺達は平和ボケしている様子の街民達を見渡し、ニヤリッと笑う。
これから報酬として巨額の金が手に入る予定だが、今手元に金がない。
ならどうするか?
それはいつも通りに手に入れればいいだけだ。
俺達はお互い目配せしながら比較的裕福そうな男を見つけると、人気のない道に入った所を狙い、俺は背後から口を塞ぎ喉を掻っ切った。
「────っがっ……っ!?」
致命傷を負い倒れた男のポーチから金の入った袋を取り出すと、完全にこと切れたのを確認した後、そのまま酒が飲める店へ向かう。
そしてこの街で一番の金持ちの家を聞き出すと、夜中にその家を襲い……家族ごと全員始末した。
「さぁ~これからどうしようかね?」
家に溜め込んであった金目のモノを集めながらそう言えば、他の仲間たちから様々な意見が飛び交う。
そして最終的に決定したのは────『とりあえずこの集めた金は山分け』、『後は散り散りになって逃亡、潜伏』だった。
散り散りになってしまえば足がつきにくく、みつかった所で捕まえるのは難しい。
その後は巨額の金が手に入っているはずなので、そうすればこんな田舎町の殺人など、上役にいくらか握らせれば直ぐに無罪放免となるはずだ。
仲間同士目を合わせて笑い合い、俺達はその場で解散した。
俺達の人生はその後も相変わらずの『いつも通り』。
その時その時に虐げた人々、自身の快楽のために命を奪ってきた人々、自身の得のために犠牲にしてきた人々、その全てを過去のモノにしながら俺達は生きていく。
そうして新たな犠牲者を生み出してはその全てを忘れ────……。
《悪逆非道の手下達はいつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。》
「俺だって今直ぐそんなモノ捨ててやりますから!!任せて下さい!!
それに聖職者様達はよく言ってるじゃないですかぁぁ~。
『人は皆平等で、己の罪は善行をもって償うべき』ってぇぇ~。」
「俺達心の底から反省してるんで!これからは真っ当に生き、弱き人々のため、身を粉にして働きますぅぅ~。
その方が世のため人のため………だろぉ~?」
そうして更にボロボロと泣いて同情を誘う俺達に対し、ヨセフ司教はもう一度ため息をつき、そんな俺達に言った。
「やれやれ。貴方達の誠意とやらは理解しました。
いいでしょう。これからは必ず弱き者達のため必死に善行を行い、己の大きすぎる罪を償ってごらんなさい。
では、今直ぐその移転リングでこの街から避難して下さいね。
────くれぐれもこれ以上悪事を働いてはいけませんよ。」
念を押す言葉に俺達は「「「「はいっ!!」」」」と大きく頷き、そのままペコペコと頭を下げて<移転リング>を発動させる。
すると一瞬で着いたのは、安全で平和な辺境の田舎街。
直ぐに人気のない裏路地に避難し、俺達は同時に、ほぉ~~………と息を吐き出した。
「クソっ!あおのヨセフ司教を雑魚野郎って言ってた奴、誰だよ。あんなつえぇなんて聞いてねぇぞ!」
「諜報担当の奴だろ。……まぁ、よく考えればそもそも司教に上り詰めるくらいだ。
そりゃ~やべぇ能力の一つや二つ、持ってても不思議じゃねぇ。しくじったな。」
仲間達は助かったと同時に溢れ出る不満を口々に呟くと、一人の仲間が腕を擦りながらフルっ……と体を震わせる。
「………まだ体の震えが収まらねぇよ。あの痛み………幻なんかじゃなかった。
神経に直にくるあの痛み……もう二度と味わいたくねぇ。」
「何の能力かは知らねぇが、前もってモンスターの一匹でも連れて行きゃ良かったな。
あのすました顔、ホントにムカつくぜ。
今直ぐモンスターを連れてリベンジに……と言いたい所だが────どうせこのまま奴はグリモアでおさらばだろう。
────ちっ!!イライラすんな、畜生がっ!!」
────ガンッ!!
最後は怒鳴る様にそう言った仲間の一人が、イライラをぶつける様に近くにあった鉄製のゴミ箱を蹴飛ばすと、突然遠くの空が────カッ!!!と光り輝いた。
「なっ、なんだ!!」
ざわつく俺達と街の住人達が光る空を見上げると、その光はどんどんと空に広がっていき、やがて静かに消えていく。
一体何が……??!
仲間たちが動揺している中、俺はハッ!とある事に気づき大声で叫んだ。
「もしかしてあれが【聖令浄化】ってやつじゃねぇの?!……って事は────……。」
「あの化け物もクソ司教も死んだって事かっ!!!」
俺の言葉を遮り一人の仲間が叫ぶと、ワッ!!と一斉に歓声が上がる。
これで俺達を脅かすモノはなくなった!
それを理解して喜んだが、今度はフッとナックルの旦那の事を思い出す。
「────あ~……でもよぉ、ナックルの旦那は?見当たらなくね?」
「逃げ遅れたんじゃね~の?
────まっ、それなりに楽しく稼がせて貰ったしボチボチ潮時か~って所だったからいっか~。
それによぉ~もしかしたら、ナックルの旦那がいない分、分け前増えるかもしれねぇじゃん。ラッキー♡」
ハハハッ!!と笑い合う俺達は、それぞれが腹黒い思いに内心ほくそ笑んだ。
仲間など、その時自分が楽をするためのただの手段。
得を得るために使う便利な道具でしかないため、それが失くなればまた新たな『仲間』を見つけて甘い汁を吸えばいい。
俺達は平和ボケしている様子の街民達を見渡し、ニヤリッと笑う。
これから報酬として巨額の金が手に入る予定だが、今手元に金がない。
ならどうするか?
それはいつも通りに手に入れればいいだけだ。
俺達はお互い目配せしながら比較的裕福そうな男を見つけると、人気のない道に入った所を狙い、俺は背後から口を塞ぎ喉を掻っ切った。
「────っがっ……っ!?」
致命傷を負い倒れた男のポーチから金の入った袋を取り出すと、完全にこと切れたのを確認した後、そのまま酒が飲める店へ向かう。
そしてこの街で一番の金持ちの家を聞き出すと、夜中にその家を襲い……家族ごと全員始末した。
「さぁ~これからどうしようかね?」
家に溜め込んであった金目のモノを集めながらそう言えば、他の仲間たちから様々な意見が飛び交う。
そして最終的に決定したのは────『とりあえずこの集めた金は山分け』、『後は散り散りになって逃亡、潜伏』だった。
散り散りになってしまえば足がつきにくく、みつかった所で捕まえるのは難しい。
その後は巨額の金が手に入っているはずなので、そうすればこんな田舎町の殺人など、上役にいくらか握らせれば直ぐに無罪放免となるはずだ。
仲間同士目を合わせて笑い合い、俺達はその場で解散した。
俺達の人生はその後も相変わらずの『いつも通り』。
その時その時に虐げた人々、自身の快楽のために命を奪ってきた人々、自身の得のために犠牲にしてきた人々、その全てを過去のモノにしながら俺達は生きていく。
そうして新たな犠牲者を生み出してはその全てを忘れ────……。
《悪逆非道の手下達はいつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。》
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