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第三十章
(冒険者の男)995 地獄の様な人生
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(冒険者の男)
「めでたしめでたし~。」
俺が酒を飲みながら今夜の獲物を物色していると、突然空に聞き覚えのある声が鳴り響いた。
ハッ!!とした俺は外へ飛び出し空を見上げると、何千、何万もの人々の拍手喝采の大きな音が鳴り、俺はそのうるささに耳を塞ぐ。
「な、なんなんだよ!!この音はっ!!それにあの声、どこかで……?!」
次の瞬間思い出したのは、あの妙なスキルを使う司教の顔。
ま、まさか……。
サァァァァ────……!!
青ざめていく顔色を自覚すると、突然ゴゴゴゴゴ────!!!という大きな地鳴りの音が聞こえだす。
更に地面がグラグラと大きく揺れだしたので、立っていられずに膝をつくと、それから見える光景に俺は固まった。
なんと左右からまるで本が折りたたまれる様に大地が迫ってくるではないかッ!!
勿論そんな状態では逃げ場などない。
俺はそのまま迫りくる左右の大地によって、その身を────────プチッ……と潰されてしまった。
────────……。
……パチンッ………。
────────ハッ!!!!!
意識が戻れば、そこは秋空花の花びら舞う教会の庭園。
周りにはグリモアで仲間だった仲間たちの姿、そして眼の前には一冊の本をパタンっと閉じたヨセフ司教がいた。
誰一人状況がわからずポカンとしている中、ヨセフ司教はニッコリと微笑む。
「これは悪逆非道の悪党が主人公の物語。
己の快楽のため、利益のため、境界線の向こうへ行ってしまった男たちの物語ですね~。
心はその人の生きてきた人生そのものです。
入れ替えるにはコチラ側にいる事が大前提なんですよ。」
徐々に青ざめていく俺達に向かい、ヨセフ司教はその手に持つ本を俺達に見せてきた。
そこには────────苦しみ藻掻く俺達の絵が表紙一杯に一面に描かれている。
<心導師の資質>(ユニーク固有スキル)
< 精神世界の支配者 >
己の心が支配する世界を作り出し他者を招き入れる事ができる特殊フィールド系スキル
その場に限り、術者は神に等しき能力を得ることができ、対象のありとあらゆる耐性、物理、魔法、スキルを無効化することができる
ただし、そのある一定以下の精神汚染度の者には効果がなく、更に一定以上の知性ある生物にしか効果はない
(発現条件)
一定以上の魔力、魔力操作、人の感情に触れた経験値を持つ事、他者の感情に触れてその心を理解した経験値を持つこと
愛と絶望の両極端の感情を自身で体験し、それから抜け出る事
一定以下の精神汚染度である事
「ひぃっ……ヒィィィぃッ────────!!!」
俺達が悲鳴を上げて大きく後ずさった姿を見ても、ヨセフ司教の表情は一切変わる事はなく、そのままニコニコと話し続けた。
「簡単に心を入れ替える事はできませんし、そもそもそれが可能な人はその時点で絶望するでしょうね。
だってこれまで犠牲にしてきた人達の気持ちを理解してしまえば、そんな傲慢な事、『心が入れ替わった自分』 が許せるわけないじゃないですか~。
だから些細でも日常を『幸せ』だと思った時点で、改心などできてないって事です。
『悪人に心を入れ替え幸せになる資格はあるのか?』
私の人生の中で出した答えは────『改心した自分の心がそれを許さない』です。
のうのうと生活できている時点で、その悪の心はチャンスさえあれば外に飛び出す。」
「あ……あ……あの……次こそは……絶対に────。」
「無理ですよ~何度繰り返そうと貴方達の様な人は必ずここに戻ってきます。
何故なら貴方達にとって悪の行為は呼吸と同じ、ごくごく自然で当たり前の行為だからです。
つまり犯罪を我慢しろという事は、何日も飲まず食わずで眼の前にご馳走を置かれるのと同じ状況だという事。
……人間はそこまで行くとおしまいなんですよ。一生それを我慢して生きていけると思いますか?」
ヨセフ司教の言葉を聞きながら、俺達は必死に考える。
────────自分だけが助かる方法を……。
そんな俺達の心はお見通しとばかりにヨセフ司教はフッと憐れみ込めた笑みを浮かべた。
「────ね?無理でしょ?そもそも欲に忠実だからこそ、あちら側に行ってしまったのに、我慢なんてできるわけないじゃないですか~。
『普通に穏やかに生きていく』
あなた達にとってこの生き方は、誘惑多きこの世界ではまさに地獄の様な人生になるでしょうね~。フフッ!」
俺達は直ぐにヨセフ司教に背を向け、全力で逃げ出す。
走って走って走って────────……限界を迎えた頃にフッと前を見れば、ご機嫌で本を読むヨセフ司教がいた。
「「「「「うわぁぁぁぁあああ────────!!!!」」」」」
恐怖を振り払う様にがむしゃらに逃げ続け、何百回目かのループを終えた時、ヨセフ司教がゆったりと読んでいた本を────パタンっ……と閉じた。
「めでたしめでたし~。」
俺が酒を飲みながら今夜の獲物を物色していると、突然空に聞き覚えのある声が鳴り響いた。
ハッ!!とした俺は外へ飛び出し空を見上げると、何千、何万もの人々の拍手喝采の大きな音が鳴り、俺はそのうるささに耳を塞ぐ。
「な、なんなんだよ!!この音はっ!!それにあの声、どこかで……?!」
次の瞬間思い出したのは、あの妙なスキルを使う司教の顔。
ま、まさか……。
サァァァァ────……!!
青ざめていく顔色を自覚すると、突然ゴゴゴゴゴ────!!!という大きな地鳴りの音が聞こえだす。
更に地面がグラグラと大きく揺れだしたので、立っていられずに膝をつくと、それから見える光景に俺は固まった。
なんと左右からまるで本が折りたたまれる様に大地が迫ってくるではないかッ!!
勿論そんな状態では逃げ場などない。
俺はそのまま迫りくる左右の大地によって、その身を────────プチッ……と潰されてしまった。
────────……。
……パチンッ………。
────────ハッ!!!!!
意識が戻れば、そこは秋空花の花びら舞う教会の庭園。
周りにはグリモアで仲間だった仲間たちの姿、そして眼の前には一冊の本をパタンっと閉じたヨセフ司教がいた。
誰一人状況がわからずポカンとしている中、ヨセフ司教はニッコリと微笑む。
「これは悪逆非道の悪党が主人公の物語。
己の快楽のため、利益のため、境界線の向こうへ行ってしまった男たちの物語ですね~。
心はその人の生きてきた人生そのものです。
入れ替えるにはコチラ側にいる事が大前提なんですよ。」
徐々に青ざめていく俺達に向かい、ヨセフ司教はその手に持つ本を俺達に見せてきた。
そこには────────苦しみ藻掻く俺達の絵が表紙一杯に一面に描かれている。
<心導師の資質>(ユニーク固有スキル)
< 精神世界の支配者 >
己の心が支配する世界を作り出し他者を招き入れる事ができる特殊フィールド系スキル
その場に限り、術者は神に等しき能力を得ることができ、対象のありとあらゆる耐性、物理、魔法、スキルを無効化することができる
ただし、そのある一定以下の精神汚染度の者には効果がなく、更に一定以上の知性ある生物にしか効果はない
(発現条件)
一定以上の魔力、魔力操作、人の感情に触れた経験値を持つ事、他者の感情に触れてその心を理解した経験値を持つこと
愛と絶望の両極端の感情を自身で体験し、それから抜け出る事
一定以下の精神汚染度である事
「ひぃっ……ヒィィィぃッ────────!!!」
俺達が悲鳴を上げて大きく後ずさった姿を見ても、ヨセフ司教の表情は一切変わる事はなく、そのままニコニコと話し続けた。
「簡単に心を入れ替える事はできませんし、そもそもそれが可能な人はその時点で絶望するでしょうね。
だってこれまで犠牲にしてきた人達の気持ちを理解してしまえば、そんな傲慢な事、『心が入れ替わった自分』 が許せるわけないじゃないですか~。
だから些細でも日常を『幸せ』だと思った時点で、改心などできてないって事です。
『悪人に心を入れ替え幸せになる資格はあるのか?』
私の人生の中で出した答えは────『改心した自分の心がそれを許さない』です。
のうのうと生活できている時点で、その悪の心はチャンスさえあれば外に飛び出す。」
「あ……あ……あの……次こそは……絶対に────。」
「無理ですよ~何度繰り返そうと貴方達の様な人は必ずここに戻ってきます。
何故なら貴方達にとって悪の行為は呼吸と同じ、ごくごく自然で当たり前の行為だからです。
つまり犯罪を我慢しろという事は、何日も飲まず食わずで眼の前にご馳走を置かれるのと同じ状況だという事。
……人間はそこまで行くとおしまいなんですよ。一生それを我慢して生きていけると思いますか?」
ヨセフ司教の言葉を聞きながら、俺達は必死に考える。
────────自分だけが助かる方法を……。
そんな俺達の心はお見通しとばかりにヨセフ司教はフッと憐れみ込めた笑みを浮かべた。
「────ね?無理でしょ?そもそも欲に忠実だからこそ、あちら側に行ってしまったのに、我慢なんてできるわけないじゃないですか~。
『普通に穏やかに生きていく』
あなた達にとってこの生き方は、誘惑多きこの世界ではまさに地獄の様な人生になるでしょうね~。フフッ!」
俺達は直ぐにヨセフ司教に背を向け、全力で逃げ出す。
走って走って走って────────……限界を迎えた頃にフッと前を見れば、ご機嫌で本を読むヨセフ司教がいた。
「「「「「うわぁぁぁぁあああ────────!!!!」」」」」
恐怖を振り払う様にがむしゃらに逃げ続け、何百回目かのループを終えた時、ヨセフ司教がゆったりと読んでいた本を────パタンっ……と閉じた。
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