【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第三十章

(冒険者の男)996 バッドエンド

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またまたグロ注意です┏○┓

(冒険者の男)

「さぁ、あなた達が主役の物語はこれで終わりを迎えます。
己の罪を善行で償う事ができぬなら、せめて被害者たちの手で終わりを迎えなさい。」

────────パチンッ……。

ヨセフ司教が指を鳴らすと、周りに漂う空気がドロッとしたものに変わっていき、俺達は恐怖でガタガタと震え出す。
更に突然俺達に向かい生暖かい風が吹き始め、一斉に秋空花が舞い散ると、その美しい白い花びらは一瞬で腐りドライフラワーの様な姿へと変わった。
みるみるうちに周りの木や地面も腐りだし、耐え難い腐敗臭を放つ。

「な……なんなんだよぉぉ……。」

「次は……次は何が起こるんだ……?!」

「い、痛いのはもう嫌だっ!!!助けてくれよぉぉッ!!」

俺達はニッコリ笑っているヨセフ司教に必死に助けを乞うたが────突然そこら中から聞こえ始めた声?に口を閉じた。

《あ”あ”あ”あ”~~~~………。》

《ギ……ギィいいい”い”────……。》

人かどうかすら分からない様な不気味な声に、慌てて周囲を見回すと────木や茂みの影から3mはあろうかという黒い影のような人間?が顔を出しているのが見えて、短い悲鳴を上げる。

「なっなんなんだ……こいつらは……っ!」

恐怖に引きつる声でそう言うと、そいつらはユラユラと揺れながら俺達の方へと近づいてきた。

「────っクソっ!!近づくんじゃねぇよっ!!」

仲間の一人が近くに来たそいつへ向かって剣を振ったが、そいつに触れた剣はドロドロと腐って溶けてしまった。

「ヒッ……ヒィィィィっ────────!!!」

仲間の男は溶けていく剣を慌てて投げ捨て、そのまま後ろへ飛ぼうとしたのだが、その影は突然その男の足首を掴み転ばせる。
そして男の顔を覗き込む様にググッ~……と顔を近づけると、その顔はボコボコと膨らみだし知らぬ女の顔が飛び出してきて、男をギロリッと睨みつけた。

《────ねぇ?何で??私は道をただ歩いていただけなのに、なんで突然命を奪われないといけないの?  
ねぇ!ねぇ!!ねぇっ!!!!ねぇぇぇぇぇっ────────!!!!》

ドロドロとどんどん形を変えて恐ろしい顔に変わっていく女の顔。
それから目を逸らす事もできず、目を限界まで見開きガタガタと震えるしかない男は必死に首を振るが、次から次へと違う人間の顔が女同様に飛び出してきては、震える男を睨む。

《パーティーを組んだ俺を置き去りにして金目のモノまで奪っていきやがったなっ!!》

《俺はやってもない罪をなすりつけられ、処刑されたんだ!!絶対にゆるすものかっ!!!!》

「ゆっ……許してくれっ!!これには理由があるんだ!!!俺は……悪くない…っ……!!
話を聞いてくれよぉぉぉぉぉぉ────!!!」

男が何を叫んでも、足首を掴んだ手は外してはくれず、恐ろしい形相に変わったその人の顔達はまたボコボコと形を変えて混ざり合い、また元の黒い顔に戻ると────今度は大きく膨れてパカッと縦に割れた。

まるで大きな口の様な……見ようによっては子宮の口の様にも見える形に変化したその内部には、沢山の小さく尖った歯が生えていて、かなり奥の方まで続いているようであった。
そしてそこからはダラダラと大量の唾液の様な粘液が流れている。

「う……うわあぁぁぁぁぁぁ────────!!!!」

男は叫び、何とかそれから遠ざかろうと必死に身を捩って俺達の方へ手を伸ばした。

「だ、だずげでぐれぇぇぇぇぇっ────────!!!!!!」

大声で助けを呼ばれても、誰一人恐怖で動けず助ける者はいない。
するとそれを見た黒い影はまるで笑ったかの様に『ゴッ…ゴフッフッフッ────……。』と音を立て、男の太ももあたりまでガブッと食らいついた。

────────ゴキャ……。

骨が折れる様な音がしたと思ったら、食いつかれた部分からまるで噴水の様な血が吹き出す。

「ぎっぎゃぁぁぁあああぁぁああ────────っ!!!痛いぃぃぃ────!!痛いっぃぃぃぃぃぃぃぃぃ────────!!!!!!」

大量の涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら痙攣する男に、俺達はガクガクと声もなく震えた。
男は必死に叫びながら自分に食いついているその影をひたすら殴りつけてどうにか逃れようとしたが、影はゆっくり味わう様に男を少しづつ飲み込んでいく。
そして、やがて首から上だけを残してすっかり飲み込まれてしまうと、男は鼻と口から大量に血を流しながら俺達の方へ視線を向けた。



「……死に……たく…な……いぃぃぃぃ……。」



────────グシャッッ!!!

最後の言葉を言い残した瞬間に一気に丸呑みされてしまい、そのまま潰れた音とゴリゴリと噛み砕かれる音が耳にはいる。
それと同時に、まるで喘ぎ声の様な弱々しい悲鳴が聞こえた後は────────もう何も聞こえなくなった。


<心導師の資質>(シークレット固有スキル)

< 亡き心からの招待状 >

己の手で命を奪った者達が残した負の感情により命を削っていく特殊型デバフスキル
敵の精神汚染度が高い程その効力は強く、命を奪った者達からの負の感情が高い程痛みは強くなる
ただし精神汚染度が一定以下のモノに対しては効果はない
(発現条件)
スキル<精神世界の支配者>を持つこと 
一定以下の精神汚染度であるのと同時に、怒り、悲しみ、憎しみなどの感情を完璧にコントロールできる事
一定以上の正義、高潔、愛情、精神力を持つこと



「「「「うわあぁぁあぁぁぁぁぁ────────ッ!!!!!」」」」

衝撃的な仲間の死に、俺達は散り散りに逃げ出したが、待ってましたとばかりに影達は一人また一人と仲間たちを捕まえていき、一番最初に食われた仲間と同じ様に捕食されていく。
俺も必死に逃げ回ったがやがて捕まり、今まさに飲み込まれんと首だけ残っている状態になってしまった。

「……こ…これ……現実…じゃ……ねぇ…よ…な……?
また……目……覚める…よ…な……?」

死への恐怖と耐え難い痛みに喘ぎながらそう言うと、ヨセフ司教は慈愛に満ち溢れた笑みを浮かべる。

「言ったでしょう?この物語はここで終わりだと。
『主人公の悪の手下共は、最後は己の罪に食われて息絶えました。』
これは、主人公以外はめでたしめでたしのハッピーエンドのお話でしたね。
────ああ、それとね?結局こうならなくとも、たどり着く結末は同じだったみたいですよ?ほら、コレ。偽物ですから。」

食われた仲間のモノだろうか?
ヨセフ司教の手にはいつの間にか指に嵌めていた<移転リング>があり、それは砂のようにホロホロと崩れていく。
それを見て絶望し瞳から光を失っていく俺に、ヨセフ司教は今までの穏やかで優しげな笑みとはガラッと変わった、薄暗い笑みを俺に見せつけた。

「最初から貴方達は代償として使われる予定の道具だったんですよ~。
そっちの方が楽に死ねたのに本当に運が悪い……これもイシュル神の『平等』の思し召しですかね?
────ハハッ!!!クズにはお似合いのバッドエンドだな!!ざまぁみろよ、バァァ~カ!さっさとくたばれ、クズ野郎が。」

『おかしくておかしくて堪らない!』
そんな様子で心底楽しそうに笑いながら俺を見る顔。
俺は全てに絶望しながら、やがて────……。

────────バクんっ!!

大きな音と共に世界は真っ暗闇に。
そして体中に感じる痛みに叫ぶこともできず……俺の物語はバッドエンドで幕を閉じた。

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