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第三十章
(レイナ)999 新しい門出
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(レイナ)
何の変哲もない平和で穏やかな田舎町。
大した名産物もなく畑と放牧で食べていくのに困らない程度の生活だが、贅沢などするお金もする場所もないため、ただ毎日同じことの繰り返しをするだけ。
それが私の生まれ育った街での生活であった。
街を歩けば会う人会う人全部が知り合いで、そんな狭いコミュニティーの中、私は何の不満も疑問もなく日々を過ごしていた。
そして成人を迎えた時には、生まれた時から一緒に育ってきた幼馴染の男、<トマス>と婚約し、将来はこのまま結婚し子供が生まれ、この穏やかな街の一部として生きていく────はずだった。
ある日、近くにあった森にモンスターが大発生しその大群が街を襲うまでは。
王都などの様に常に警戒態勢が万全の街とは違い、小さな街ではこういった事は珍しい事でもなく、守備隊の配置も満足にされていないためそんな大群に襲われれば、全滅もよくある話だ。
そんな街では、近くの大きな街の傭兵や冒険者ギルドからの助けがくるまでひたすら耐えるしかない。
そのため私達街民は逃げて逃げて逃げて────結局私は森の近くで依頼をこなしていた他の街の冒険者達に運良く助けられた。
その後、聞かされたのは、街はモンスターの大群に襲われ全滅。
ほんの僅かに生き残った者達は現在散り散りになっていて安否は不明。
私の両親も妹、弟達も婚約者のトマスの行方も分からない。
そうして私は一人になった。
体の回復を待つ間、私の心に浮かんでいたモノ、それは『憎しみ』であった。
『なぜ私がこんな目に。』
『何がいけなかったのか?』
『どうすればよかったのか?』
そして考えた末に導き出された答えは『もっと早くモンスターの襲撃情報が分かれば良かったのに』だ。
それさえあれば、全員がもっと早く避難することができた。
その後悔と怒り悲しみ、憎しみの感情は、私の資質【蟲女人】の能力を開花させる。
私は自身の持つ『力』を理解すると、その後直ぐに向かったのは、<諜報ギルド>だった。
自分の才能を活かし、更に今回の様な悲しい事件を少しでも減らすために考え抜いた選択であった。
そうして諜報ギルドに入った後は、とにかくがむしゃらに働き、ひたすら努力する日々を過ごす。
この頃の私はとにかく青臭い正義感に満ち溢れていて、『一人でも多くの人を助けたい』とか『自分と同じ様に小さな街や村に住む人達に情報を速やかに送れるネットワーク作りたい』とか、そんな夢を抱いていたと思う。
そして私の働きはあっという間に有名になり、とうとう王都の諜報ギルドへ推薦される事になったのだ。
『また一歩、夢に近づいた!』
その大出世をとても喜び、期待に胸を踊らせながら何日も掛けてやっと王都へと辿りついた。
王都についてまず驚いたのは、その人の多さと、私の住んでいた街が一体いくつ入るんだろう?というくらいアホみたいに広い街の大きさだ。
人って世の中にこんなにいるんだ……。
そんな田舎者丸出しな言葉を呟きながら、今度は街中をキョロキョロしながら歩いていると、次に目に入るのは人々の綺羅びやかで美しい姿であった。
見たことのないくらい色とりどりの服や可愛らしいアクセサリー。
それぞれがそれぞれの良さを出し、全力でファッションを楽しみ存分に魅力を他者に見せつける姿はとてもカッコよく見え、それと同時にただのシャツにズボンというみすぼらしい格好の自分が恥ずかしく感じた。
「…………っ。」
そのため人の視線から少しでも逃れようと、私は下を向きグイグイとシャツを下に引っ張り目立たない様にして歩く。
それからしばらく歩いて行くと、すぐに諜報ギルドにたどり着く事ができ、そのまま奥の部屋で諜報ギルド総長である<エルビス>に初めて出会った。
エルビスはどこにでもいそうな……イメージ的には近所にいる優しいだけが取り柄のお兄さんといった雰囲気の青年で、ニコニコ笑いながら、私に何故諜報ギルドへ登録したかを聞いてくる。
私は今はなき故郷の姿を思い出しながら、エルビスの目をしっかりと見つめた。
「一人でも多くの人を救いたい。それを叶えるため、情報は一番必要なモノですから。」
迷いなく答えた私を見て、エルビスはメガネをクィっと上げると嬉しそうに笑う。
「ようこそ!諜報ギルドへ!」
エルビスは叫び、更にどこに隠し持っていたのか、花爆弾クラッカーをパンッ!!と鳴らした。
小さな花たちが降ってくる中、私がびっくりした顔をしていると、エルビスは扉の方へ向かって呼びかける。
「カルパ~ス!新しいお仲間だよ~!!君とほぼ同期になるメンバーだね!」
何の変哲もない平和で穏やかな田舎町。
大した名産物もなく畑と放牧で食べていくのに困らない程度の生活だが、贅沢などするお金もする場所もないため、ただ毎日同じことの繰り返しをするだけ。
それが私の生まれ育った街での生活であった。
街を歩けば会う人会う人全部が知り合いで、そんな狭いコミュニティーの中、私は何の不満も疑問もなく日々を過ごしていた。
そして成人を迎えた時には、生まれた時から一緒に育ってきた幼馴染の男、<トマス>と婚約し、将来はこのまま結婚し子供が生まれ、この穏やかな街の一部として生きていく────はずだった。
ある日、近くにあった森にモンスターが大発生しその大群が街を襲うまでは。
王都などの様に常に警戒態勢が万全の街とは違い、小さな街ではこういった事は珍しい事でもなく、守備隊の配置も満足にされていないためそんな大群に襲われれば、全滅もよくある話だ。
そんな街では、近くの大きな街の傭兵や冒険者ギルドからの助けがくるまでひたすら耐えるしかない。
そのため私達街民は逃げて逃げて逃げて────結局私は森の近くで依頼をこなしていた他の街の冒険者達に運良く助けられた。
その後、聞かされたのは、街はモンスターの大群に襲われ全滅。
ほんの僅かに生き残った者達は現在散り散りになっていて安否は不明。
私の両親も妹、弟達も婚約者のトマスの行方も分からない。
そうして私は一人になった。
体の回復を待つ間、私の心に浮かんでいたモノ、それは『憎しみ』であった。
『なぜ私がこんな目に。』
『何がいけなかったのか?』
『どうすればよかったのか?』
そして考えた末に導き出された答えは『もっと早くモンスターの襲撃情報が分かれば良かったのに』だ。
それさえあれば、全員がもっと早く避難することができた。
その後悔と怒り悲しみ、憎しみの感情は、私の資質【蟲女人】の能力を開花させる。
私は自身の持つ『力』を理解すると、その後直ぐに向かったのは、<諜報ギルド>だった。
自分の才能を活かし、更に今回の様な悲しい事件を少しでも減らすために考え抜いた選択であった。
そうして諜報ギルドに入った後は、とにかくがむしゃらに働き、ひたすら努力する日々を過ごす。
この頃の私はとにかく青臭い正義感に満ち溢れていて、『一人でも多くの人を助けたい』とか『自分と同じ様に小さな街や村に住む人達に情報を速やかに送れるネットワーク作りたい』とか、そんな夢を抱いていたと思う。
そして私の働きはあっという間に有名になり、とうとう王都の諜報ギルドへ推薦される事になったのだ。
『また一歩、夢に近づいた!』
その大出世をとても喜び、期待に胸を踊らせながら何日も掛けてやっと王都へと辿りついた。
王都についてまず驚いたのは、その人の多さと、私の住んでいた街が一体いくつ入るんだろう?というくらいアホみたいに広い街の大きさだ。
人って世の中にこんなにいるんだ……。
そんな田舎者丸出しな言葉を呟きながら、今度は街中をキョロキョロしながら歩いていると、次に目に入るのは人々の綺羅びやかで美しい姿であった。
見たことのないくらい色とりどりの服や可愛らしいアクセサリー。
それぞれがそれぞれの良さを出し、全力でファッションを楽しみ存分に魅力を他者に見せつける姿はとてもカッコよく見え、それと同時にただのシャツにズボンというみすぼらしい格好の自分が恥ずかしく感じた。
「…………っ。」
そのため人の視線から少しでも逃れようと、私は下を向きグイグイとシャツを下に引っ張り目立たない様にして歩く。
それからしばらく歩いて行くと、すぐに諜報ギルドにたどり着く事ができ、そのまま奥の部屋で諜報ギルド総長である<エルビス>に初めて出会った。
エルビスはどこにでもいそうな……イメージ的には近所にいる優しいだけが取り柄のお兄さんといった雰囲気の青年で、ニコニコ笑いながら、私に何故諜報ギルドへ登録したかを聞いてくる。
私は今はなき故郷の姿を思い出しながら、エルビスの目をしっかりと見つめた。
「一人でも多くの人を救いたい。それを叶えるため、情報は一番必要なモノですから。」
迷いなく答えた私を見て、エルビスはメガネをクィっと上げると嬉しそうに笑う。
「ようこそ!諜報ギルドへ!」
エルビスは叫び、更にどこに隠し持っていたのか、花爆弾クラッカーをパンッ!!と鳴らした。
小さな花たちが降ってくる中、私がびっくりした顔をしていると、エルビスは扉の方へ向かって呼びかける。
「カルパ~ス!新しいお仲間だよ~!!君とほぼ同期になるメンバーだね!」
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