【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
1,037 / 1,649
第三十一章

1021 酷いです〜!

しおりを挟む
( ??? )

 
~ グリモア西エリアから隣街への街道 ~


人の手が入った街道の途中、開けた荒野の様な場所にその場に似合わないファンシーなピンクのテーブルと椅子が置かれていて、そこにゆったりと座り紅茶を啜る一人の女性がいる。

ふんだんにフリルを使った赤とピンクのゴージャスなドレス。

頭にはそれに合わせた帽子型の髪飾り、そして花をモチーフにしたアクセサリーが周りを飾る。

彼女はまるで絵本に出てくるお姫様の様な出で立ちで鼻歌を歌いながら、テーブルの上に静かにカップを置いたが……どんどん大きくなっていく地鳴りによって中の紅茶が少しだけテーブルの上に溢れてしまった。


ズズ────ン……!


ズズズズ────────ンッ……!!


女性はその大きな地鳴りに目を輝かせながらグリモアがある方向を向くと、なんと地平線に沿うようにモンスターの大群がコチラに向かって一斉に歩いてくるのが見えて、ニッコリと笑う。

そしてテーブルの上に置かれた黒い< 魔引力珠 >を嬉しそうに撫でた。


「 フッフッフ~!カルパス様の睨んだ通りでしたか~。

────うん、よしよし!西エリアへ進んだモンスター達は全員ココに来てくれた様ですね~! 」


女性は腕を組み不敵に笑うと、直前にしたカルパスとの会話を思い出しプププーーッ!と吹き出す。


「 全く~カルパス様ってば、突然 ” 今までありがとうございました。さようなら ” だなんて言って纏まったお金を渡してきたと思ったら、その後 ” やっぱりリーフ様のために力を貸してくれ。 ” ────な~んて言うんですもん。

お小遣いだと思って思いっきり贅沢しちゃいました~♬

なんとなんと!ジェーンはとうとうお姫様になるという夢を叶えてしまいました。 」


きゃほほ~い!とテンション高くその場でジャンプすると、少しだけ気に入らない気持ちがムクムク~と出てきて頬を大きく膨らませた。


「 ジェーンの心はレガ―ノに一緒に来た時点でとっくのとうに決まってるのに、一人だけ逃げるわけないじゃないですか~。

カルパス様ってば結構酷い上司です!

それに────……。 」


ジェーンは大きく膨らんだ頬を突然萎ませ、キラッ!と目を輝かせると、お~ほっほっ!といつもと違う笑い方で大きく笑う。


「 こんな楽しい事、参加しないわけないじゃないですか~。

ジェーンは楽しい事が大好きで~す!

さぁ、この平凡顔のお姫様の国へモンスター御一行様、ご案内~。 」


リーフ専属侍女< ジェーン >は、迫りくるモンスター達に向かい、その場でスキルを発動した。



< 迷い人の資質 > (シークレット固有スキル)

< リアル・イン・ワンダーランド >

スキル< びっくりおもちゃ箱 >によって作られた裏の世界がそのまま現実の世界に出現する特殊空間系スキル

更にその現実世界で命を失った生物はそのまま裏の世界に取り込む事ができ、その数が増える程、全ての裏の住人達のステータスがUPしていく


(発現条件) 

スキル< びっくりおもちゃ箱 >を持つこと

一定以上の魔力、魔力操作、無邪気、素直さ、純粋さ、ポジティブを持つこと

一定種以上の感情ステータス値を得ること、更にその際一定以上の愉快さを得ている事




スキルが発動した途端、周囲に吹いていた爽やかで涼しげな風は止み、代わりにネトっとした生暖かい風が辺り一面に漂い始める。

モンスターの大群は、突然変わった空気に驚き一度足を止めたが……先頭を歩いていた< ノースフェイス・ウルフ >達は構わず前進しジェーンに迫っていった。

そしてある一点に足を踏み入れた瞬間────突然地面に巨大な口が出現し、そのまま上にいた< ノースフェイス・ウルフ >達全頭を丸呑みしてしまう。


────ごっくん……!


いい音を立てて喉を鳴らし、同化していた地面から姿を現したのは、可愛い巨大なカエルのぬいぐるみで、首元にはジェーンが作ったお花がついたリボンが結ばれていた。


きゃほほ~!

喜びジャンプしたジェーンの前でカエルのぬいぐるみは口をモゴモゴと動かし、そのまま口からペッ!ペッ!ペッ!!と沢山のフワフワ毛玉を吐き出すと、その毛玉達はモゾモゾと動き始め、そして────


ポンっ!

ポンっ!

ポポポ──ンッ!!


何かが弾ける様な音と共に、その毛玉達は可愛らしい< ノースフェイス・ウルフ >の形をした子犬のぬいぐるみへと形を変えると、そのまままだまだいるモンスター達に向かってキャンキャン!!と鳴きながら攻撃態勢をとった。


「 また新しい仲間が増えましたね!

こんなに沢山モンスターがいるなんて、なんてラッキーなんでしょう~。

さぁさぁ、み~んな、楽しい楽しい世界の住人になってこれから幸せに暮らしましょうね~。 」


生まれて初めて買ったゴージャスなドレスを翻し、タターン♬と一回周りながら、ジェーンはモンスター達の群れを指差す。

しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

無能と呼ばれた婚約者は王を完成させる〜替え玉婚約者のはずが、強すぎる王太子に手放してもらえません〜

統子
BL
兄の身代わりとして王太子の婚約者になった伯爵家次男リュシー。 嘘の名を名乗ったはずが、冷静で誠実な王太子リオンは彼を「力の装置」としてではなく、対等な伴侶として扱おうとする。 本物になりたいと願う替え玉と、完成された王太子の静謐な王宮ロマンス。

処理中です...