【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第三十二章

1047 戦えないのは?

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( ニコラ )


「 ニコラ王よっ!!

そもそもなぜ真っ先に王を守るべき第二騎士団がグリモアにいるのですかっ!!

これは立派な職務怠慢ではありませんか!?

私は以前より第二騎士団は王族や貴族をないがしろにした行動が目立つと思っておりました。

この未曾有の大厄災、王宮も危険に晒される可能性だってあるというのに……。

今直ぐ呼び戻し、王宮の周りを固めましょう!! 」


その声にエドワードと周りのエドワード派閥の者達はハッ!我に帰り、その通りだと強く主張したが、私はそれを鼻で笑う。


「 何を言う。忘れたのか?

第二騎士団の全権限は私にはなく、アーサーにある。

彼らはアーサーの命に従い、今最も危険だと判断した戦地へと向かったのだ。

それの何処に問題があるのだ?  」


「 そういう問題ではありません!!

彼らが王族や貴族を軽く見ている事が問題なのですよ。

王族や貴族は真っ先に守らねばならぬ存在なのに、それを放って末端の平民達を助けに行く事事態が間違っているのです。

なぜ国のトップである王がそれに気づかぬのか……私には理解しかねます。 」


続いてエドワードが怒鳴る様にそう言うと、エドワードの周りを固める者達はヒソヒソと不満を口にし始めた。

それを耳にしながら、得意げな顔で私を見るエドワードを見てもう一度鼻で笑う。


「 ────なるほど?

つまりお前は現在お前の言う ” 正しい ” 対応をしている第一騎士団だけでは力不足であると……そう言いたいのだな? 」


「 ────────んなっ!!!!?? 」


予想外の反論にエドワードが言葉を失くすと、私は不満を漏らしていたエドワード派閥の者達を一瞬で見渡した。


「 そうであったか!それは気づかずにすまなかった。

第一騎士団は高い身分と実力を兼ね備えた ” 完璧 ” な者達で構成されている ” 完璧 ” な存在であると聞いていたのだが、どうやら ” 完璧ではない ” 第二騎士団がいなければ戦えないらしいな!!

しかし……王宮を満足に守れぬ者達に、果たして存在意味があるのだろうか?

どう思う?エドワードよ。 」


「 ………お、王宮の守りは我が第一騎士団にお任せを……。 」


悔しげに唇を噛みしめるエドワードと睨みつけてくるカール達。

そんな姿に失笑したのはエドワード派閥でない者達と────────エドワード派閥の一部の者達であった。


人数でいえば最多のエドワード派閥。

しかし実は全員が全員喜んでその派閥に入っているわけではない。


貴族社会、身分制度、家業や抱えている事業のため、家族のため────……従わざるを得ない者達も多い。

巨大な ” 悪 ” を憎めど、それに従うしかない者達を責めるわけにはいかない。


私はこの状況で怒りを隠しきれていないエドワードやカール達、そしてそんな彼らに心から賛同し支持する者達を睨む。


” 悪 ” を単体で裁く事は難しい。

その難しさを私はずっと感じている。


エドワード達から視線を外し、今度は動き出したスタンティン家やそれを支えし子爵達を見て、何かを言いたげな者達へと視線を移した。


恐らく罪悪の気持ちと心の奥底に隠した正義の心が痛くて堪らないのだろうと思う。

本当は今にも動き出したいと願っているのだろうが、動けば愛する家族も自身が守らなければならない領民達も全て犠牲にしなければならない。


そんな苦しい思いが伝わってきて、私は困った様に笑う。


確かに子供の頃は良かったかもしれんな。

父が国を治めていた時は、もう少し自由に動けたのに……。


自分とて簡単に選択できない不自由さを感じ、目線を僅かに下げると、突然またバタバタと騒がしい様子でここへ駆け込んできた者が。


どうやら遠くを見通す ” 遠見視 ” の能力を持っている情報収集班の男の様だ。

彼はハァハァと息を大きく乱しながら、入口付近で直ぐに跪く。


「 緊急で申し上げますっ!!!

伝言シャボンによって大量の情報がコチラに向かっていたため、急ぎ遠隔回収いたしました!! 」


「 何と……。一体どこからの情報か……

急ぎ確認せよ。 」


私の言葉を受けたその男は、スキルを発動し宙に小さな小窓を出現させた。



<情報師の資質>(ユニーク固有スキル)

< 囁きの窓 >

小さな多次元道路を作り、情報をそこから入手することができる空間系情報収集スキル

宙に窓を創り出し、そこから情報を手にすることができる


(発現条件)

 一定以上の魔力、魔力操作、情報処理能力、情報収集能力を持つこと

 一定回数以上情報を入手し、それが元で周りがアクションを起こす事


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