【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第三十二章

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( ニコラ )


《 だから皆さん好きに動いちゃっていいですよ~。

情報操作は僕たち諜報ギルドが総力を持って現在動いてますから~。

他国の侵入を ” 情報 ” を使って止めてみせましょう。 》


「 エルビス……貴様っ……! 」


ギリギリとこちらまで聞こえそうな程、歯を噛み締めたエドワードはエルビスをギロリッと睨んだが、エルビスはどこ吹く風。

口笛を吹く勢いで飄々とした態度を見せている。


そんなエルビスを見てダリオスは笑い、直ぐに自身も戦場へと向かおうとしたのだが────

性懲りもなく飛竜隊と繋がっている< 完全版通信器 >に向かってルィーンが叫んだ。


「 お待ちなさいっ!!!国の一大事をこのまま見過ごせませんわ!!

この正当なライロンド家の血筋を持つこのルィーンが命じます。

このまま飛竜隊は待機し、通常通り国境付近の見張りを続けなさい。

ダリオスはこれから、この私にした暴力や暴言の数々によって直ぐに裁かれる事でしょう。

つまり飛竜隊の今後の運命はこの私が握っているという事です。

どうすれば一番得か……流石に理解できますわね? 」


《 …………。 》


脅す様にそう言い放ったルィーン。

その言葉を聞き、飛竜隊は一瞬沈黙するも直ぐに《 承知いたしました。 》という声が返ってくる。

その瞬間、ルィーンは勝ち誇った様にダリオスを見つめ鼻をならし、エドワード達はホッと胸を撫で下ろすが────



《 我々飛竜隊は、ライロンド家当主ダリオス様の命により、これより全騎グリモアへ向かって進軍いたします。 》



それだけ伝えてブツッ!と切れてしまった< 完全版通信器 >を見て、ルィーンは真っ白になって崩れ落ち、そしてそんなルィーンに目もくれず、ダリオスは今度こそこの場を去っていった。



「 あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁ────────っ!!!!!! 」


そのまま綺麗にセットしていた髪の毛をぐちゃぐちゃにかき回しながら叫ぶルィーンを、周りにいる者達は静かに静観している。

そしてルィーンは髪の毛同様ぐちゃぐちゃに崩れた顔で周りで自分を見ている者達へ怒鳴り散らした。


「 何をボンヤリ見ているのですかっ!!!

誰でもいいから早くグリモアへ行き、我が子マービンを助けなさいっ!!!!

────あぁぁぁ~っ!!!ダリオスっ!!あの生意気な田舎貴族がっ!!

せっかく我がライロンド家の一員に迎えてやったのに、その恩知らずの野良犬めぇぇぇ~っ。 」


ギリギリと唇を噛み締めダリオスへの憎しみを呟きだしたルィーンを見て、周りにいる者達の大半は、私に向かい深く頭を下げる。

全てを悟った私が頷くと、周りはそれぞれ懐から< 完全版通信器 >を取り出し宙に投げた。


「 全私兵団はこれより戦闘準備!準備が出来次第グリモアへ進軍せよ。 」


「 契約している商店から全戦闘用アイテムとトラップ系魔道具を全てかき集めろ!

全私兵団と共に全てグリモアへ送る。 」


「 我が商会からも全ての武器防具を私兵団と共に送るぞ。

特殊輸送班も全班出動せよ! 」



< 特殊輸送班 >

輸送の関してスキルを多数持つスペシャリストが属する部隊



「 回復班、全班出動準備!介護班と看護班も同時に出動。

回復系アイテムも全て使用許可する! 」


「 各結晶類、鉱石類と武器防具、全て出せ。

ライン商会の職人部隊と合流し、こちらの私兵団も直ぐに合流せよ。 」


次々と参加表明を示す行動をし始めた貴族達に唖然とするルィーンとエドワード達。

流石に言葉も出ない様子だ。


そんなルィーンを見て、アリシアがハッ!と馬鹿にする様に笑った。


「 ” 貴族女性たるものどんな時も主人を支えよ ” ……ねぇ?

貴方の主人のダリオス様は行ってしまったわよ~?

そんな所でお休みかしら? 」


「 ────────~~~……っ!!!!!! 」


顔を真っ赤にしたルィーンはギロッ!!とアリシアを睨みつけたが、アリシアはそれを真っ向から受け止め、ニヤ~と笑う。


そうしてバタバタと全員が動き出してしまい、エドワード達は脅しまじりに必死の説得を試みたが、全ては無駄というもの。

スタンティン家から始まり、先程のダリオスの行動、そしてスクリーン上に映し出される我が子達の戦おうとしている姿に、誰一人動きを止める者達はいなかった。


この予期せぬ状況に、レイモンド家のロイドとローズは舌打ちをすると、未だ沈黙を続けているドルトンの元へコソコソと近づいていく。

そしてそのまま視線も合わせぬドルトンに向かい必死に訴え始めた。


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