【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第三十三章

1067 ヒーロー

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─────ゾッ……!


わかりやすい ” 食欲 ” という欲望をぶつけられ、背筋が凍りついたその時、突然笑っているダーク・ツリー・フェイスの周辺に大きめな魔法陣がいくつも現れた。


《 ダーク・ツリー・フェイス召喚陣展開!!

何らかのモンスターを召喚します!! 》


《 ────くっ!!まさかモンスターがモンスターを召喚するだとっ!?? 》


父様が舌打ちをしながらそう叫んだ直後、その魔法陣から続々とモンスター達が姿を現す。


「 う……嘘…あのモンスター達は……! 」


ローリンは、ブルブル震える指でその現れたモンスター達を指差す。


ギシギシと軋む音と共に動く手の様な枝。

巨大な木の胴体には巨大な口がついている。



【 Aランクモンスター 】

< マジシャンズ・ウッド >!



以前リーフ様の指示の元、一年生総出で倒したAランクモンスター!

それがうじゃうじゃと……しかも複数体一気に召喚された。


「 同じ召喚系能力を持つ者として、本来なら師匠になってもらいたいくらいですね。 」


フリックが笑顔で軽口を叩くが、その笑顔は引きつっている。


《 Aランクモンスター< マジシャンズ・ウッド >!

多数出現!!後衛班は遠距離攻撃に注意せよ!! 》


解析班からの伝達を聞きながら、学院で戦った時のこいつらの強さを思い出し、汗を掻く。


「 単体でもかなり厄介だというのに……それがSランクと一緒になど考えたくもないな……。 」


思わず悪態気味にそう吐き出すと、母様の操る飛行魔道具が一斉に火属性の魔法を打ち出しマジシャンズ・ウッドに当てるが、連携を駆使しそれを防いでくる。


《 ─────!!モンスターのくせに連携してくるわ!

……そうかっ!あのSランクモンスターが指示を出しているのね! 》



( ユニーク個体名 ) 【 生と死の古災樹 】

( モンスター資質 ) 【 魔導樹 】



( 先天スキル )

< 同種の絆 >

木系の種族なら何でも召喚できる召喚系スキル

更に召喚した自分の現ステータスが高ければ高い程その能力値を自在に強化する事ができる



( 先天スキル )

< 単一思念 >

自身がそのフィールドにいる限り、ずっと発動し続ける先天パッシブスキル。

召喚したモンスター達に絶えず司令を与え続け、一個体の思念を植え付けて意のままに操る事ができる

そのため普段人型種特有であるとされている連携やチームワークをとる事が可能となり、数が多ければ多いほどその強さはUPする



「 連携までしてくるとは……そんなの聞いたことがない。 」


《 元々人の手に余るモンスターを総じてSランクと呼んでいるのだから、これくらいは想定内であると言えよう。

しかし、このままでは不味いぞ。 》


俺も父様もこのままでは不味いと思ったが、俺達も周りもとりあえずは襲い来るマジシャンズ・ウッドのお相手をするしかなく、そんな俺達の戦いを後ろの方で見物しているSランクモンスターを睨みつけた。

ヤツはこの戦いを楽しんでいる様で、今度はキャッ!キャッ!と無邪気な赤ん坊の声で笑っている。


< マジシャンズ・ウッド >からの猛攻撃をこちらも負けじと迎え撃ち、激しい戦闘が開始したが、何とやっと倒しても、< ダーク・ツリー・フェイス >が新たなモンスターを召喚してくるためきりがない。


流れ出る汗をピッ!と乱暴に拭き取ると、ゼィゼィと息を乱し始めたフリック達を見て、俺は静かに話しかけた。


「 お前たち、今からでも遅くはない。ここから離脱して王都へ避難しろ。

一度戻ってきただけでも十分忠義を果たした。

後はスタンティン家と他の貴族の私兵達に任せて───── 」


「 マリオン様、僕を見くびらないで下さいよ。 」


フリックが俺の話を遮り、やれやれと大きなため息をつく。

そして驚き目を僅かに見開いた俺に向かって、困った様に笑った。


「 マリオン様と出会ったのは小学院に通う前でしたね。

自分と同じ年齢なのに、必死に貴族としての責任と義務を果たそうとするマリオン様を見て……僕は憧れと尊敬の念を抱きました。

貴族というものに日々不満と怒りで一杯だった僕にとってその姿は、自分の見ている世界の狭さに気づくキッカケになったんです。


貴方は僕にとってヒーローだ。


だからついていきます。どこまでも。 」


そう言い切ったフリックに言葉を失っていると、そんなフリックをロダンとルナリー、ローリンがバシバシっと叩く。


「 くそ~またフリックに先を越されちまったか……俺もフリックと同じ気持ちです。

【 護衛騎士団 】をただ消費するモノとして見ている者達が多い中、マリオン様は決して軽視せず、酷い事を言う他の商会の奴らを完膚なきまでに叩き潰してくれました。

その姿は─────俺の思い描くヒーローでした。

俺の心はその時から変わりません。何処までもお供いたします。 」


「 私だってそうですよ~。

他国に媚を売る汚い偽物貴族って言われていた時、見事な嫌味返しで華麗に叩き潰してくれたマリオン様に心を撃ち抜かれてしまいました。

あの時から私にとってもマリオン様はヒーローです。

だからどこまでもついていきます。私、実は凄く粘着質なので、絶対離れませんよ。 」


「 はいは~い!私だってチビとか鉄臭いとか泥まみれドワーフだとかずっと虐められてて、毎日悲しくて悲しくて何度も体を洗ってました。

でもそんな時マリオン様が───── ” 今日からこのマリオンの役に立て ” って言ってくれて……強引にそこから引っ張り出してくれました。

私はもうあそこに帰りたくない。

そこから助けてくれたマリオン様は私の永遠のヒーローなんです。

だから死ぬ時は一緒ですよ~! 」

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