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第三十三章
1073 最後の姿
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( クラーク )
若干の息の乱れを感じ、大きく息を吸ってその乱れを整える。
現在街の人々が避難している広場は、怪我人を収容するスペースになっているはずなので、ここに到着して直ぐにジェニファー様はそこを目指し走って行った。
邪魔になりそうな装飾品はその場で投げ捨て、汚れるのも構わず全速力で……。
地面に落ちたままキラキラ輝くアクセサリー達を視線の端に捉え、フッと笑いを漏らす。
「 外見だけ美しいモノの最後はあっと言う間だ。
そこに ” 想い ” がなければゴミと同価値か……。 」
自分の今までいた光り輝く世界を思い出し、愉快を感じて更にクックックと笑った。
そしてそのアクセサリー達をためらいもなくグシャッと潰したモンスター達を睨みつけ、教会の正門を前に俺は地に足をつけて立ち塞がる。
「 主の願いを叶えさせるのも専属聖兵士の役目。
ここから先へは一歩も通さんぞ。 」
俺はそう告げて胸の辺りを押さえ、背後の教会を覆い尽くす【 結界陣 】がしっかり発動している事を確認した。
< 結界陣 >
自身の体を媒介にし、魔力で繋いだ守護対象を守る結界系魔法陣の一種
身体に直接魔法陣を刻む事で、術者の魔力を常に吸収し魔力が尽きるまで発動し続ける事ができる
結界の強度や範囲は術者の魔力量によって決定する
また守護対象がダメージを受けた際は、自身の魔力を犠牲にしてダメージを無効化する事ができる
守護対象は教会エリア全域。
レイモンド家の血筋の者は元より魔力量ならダントツNo.1を誇るため、この程度なら全く問題なく守護する事ができる。
ただし────
「 限度を超えたダメージを受けない事が前提だがな……。 」
空から突然向かいくる< 流星コウモリ >達を風魔法で吹き飛ばしながら、ボソッと呟いた。
ダメージを受ければ受ける程、俺の魔力はごっそりと削られてしまうため、とにかく目につくモンスター達を片っ端から片付けていくしかない。
” 魔法使いは魔力が尽きればただの人 ”
それをしっかりと理解していた俺は、前から一本の巨大な槍にも見える< つららカナブン >の大群に向かってスキルを発動した。
< つららカナブン >
体長10cm程のカナブン型Fランクモンスター
普段は無害なモンスターであるが、縄張りに入ると攻撃的になる
攻撃する際、まるでつららの様な鋭く尖った形に形態を変え、獲物に向かって真っ直ぐ飛んでくる
単体ならば直進するだけの単調な攻撃なので致命傷になる事はほぼないが、複数で襲われた場合、モンスターランクは一気に上がる
<魔術導師の資質>(ユニーク固有スキル)
< サンズ・フォルト >
光属性と無属性の魔力の混合魔法スキル
威力は低いがその分広範囲に散布される攻撃で、敵の数が多い場合に真価を発揮する攻撃スキルである
威力と範囲は魔力と魔力操作によって決定する
(発現条件)
一定以上の魔力・魔力操作、知力を持ち、一定回数以上、光・無属性の魔法を使用した事がある事
一定数以上の敵との戦闘経験がある事
カッ!と照りつける日差しの様に発生した俺のスキルは、つららカナブンの大群を襲い、そのままその身はボロボロと地上に落ちていく。
しかしこんなものは序の口。
遠くでうぞうぞと有象無象に姿を現すモンスター共にため息をついた。
「 一体どれほどのモンスターを用意したんだか。
エドワード様と……我が両親達は。 」
空を舞う伝電鳥が、突然の爆発とそれと同時に姿を現したモンスター達の存在を伝えてくる。
そしてその時点で各門が突破されたという情報が入ってこない事から、おそらくは敵陣営にモンスターボックスに類似した能力者がいるはずだ。
「 これだけの規模となると、規格外な能力を持っているはず。
問題はその容量がどこまでかだな……。
できるだけ魔力を温存しながら戦わねば。 」
俺はもう一度スキル< サンズ・フォルト >で向かってきたゴブリン達の大群を吹き飛ばしながら、希望の神様が戦っているであろう正門の方へ視線を向けた。
これは耐久戦だ。
リーフ様がアレを倒すまでの。
俺は襟首を緩め、邪魔になる長いロングコートや装飾品を投げ捨てる。
耐久戦はただの討伐などとは違い、相手の戦力が不明の場合、まずペース配分ができない。
更にその不安から精神は疲弊していき、体力や魔力の配分をミスすればその先に待ち受けるのは ” 死 ” だ。
” 死 ” を迎えた自分を想像し、汗をツゥ…と掻くと、自分の手を開け閉めし、しっかり自分の残存魔力量を把握しておく。
魔法使いは特に前衛職とは違い、基本耐久戦には不向きだ。
普段の俺だったらまず選択しない今の状況に苦笑いしてしまったが、後悔は一編たりともないと言い切れる。
しかし……。
「 どんなに苦しくともあの灼熱地獄よりはマシだ。
重たい荷物を背負わされ、自分の意思無く彷徨い続けるよりはな。 」
熱くて痛いしかなかった灼熱の砂漠の中、終わりが見えない永遠とも言える時間宛もなく歩く。
足は焼け焦げ、手のひらの皮は全て剥けて、更にひりつく喉に全身を蝕む身体の痛み……。
あれはきっと心の痛み。
俺の良心が抗っている最後の姿だったんだ。
若干の息の乱れを感じ、大きく息を吸ってその乱れを整える。
現在街の人々が避難している広場は、怪我人を収容するスペースになっているはずなので、ここに到着して直ぐにジェニファー様はそこを目指し走って行った。
邪魔になりそうな装飾品はその場で投げ捨て、汚れるのも構わず全速力で……。
地面に落ちたままキラキラ輝くアクセサリー達を視線の端に捉え、フッと笑いを漏らす。
「 外見だけ美しいモノの最後はあっと言う間だ。
そこに ” 想い ” がなければゴミと同価値か……。 」
自分の今までいた光り輝く世界を思い出し、愉快を感じて更にクックックと笑った。
そしてそのアクセサリー達をためらいもなくグシャッと潰したモンスター達を睨みつけ、教会の正門を前に俺は地に足をつけて立ち塞がる。
「 主の願いを叶えさせるのも専属聖兵士の役目。
ここから先へは一歩も通さんぞ。 」
俺はそう告げて胸の辺りを押さえ、背後の教会を覆い尽くす【 結界陣 】がしっかり発動している事を確認した。
< 結界陣 >
自身の体を媒介にし、魔力で繋いだ守護対象を守る結界系魔法陣の一種
身体に直接魔法陣を刻む事で、術者の魔力を常に吸収し魔力が尽きるまで発動し続ける事ができる
結界の強度や範囲は術者の魔力量によって決定する
また守護対象がダメージを受けた際は、自身の魔力を犠牲にしてダメージを無効化する事ができる
守護対象は教会エリア全域。
レイモンド家の血筋の者は元より魔力量ならダントツNo.1を誇るため、この程度なら全く問題なく守護する事ができる。
ただし────
「 限度を超えたダメージを受けない事が前提だがな……。 」
空から突然向かいくる< 流星コウモリ >達を風魔法で吹き飛ばしながら、ボソッと呟いた。
ダメージを受ければ受ける程、俺の魔力はごっそりと削られてしまうため、とにかく目につくモンスター達を片っ端から片付けていくしかない。
” 魔法使いは魔力が尽きればただの人 ”
それをしっかりと理解していた俺は、前から一本の巨大な槍にも見える< つららカナブン >の大群に向かってスキルを発動した。
< つららカナブン >
体長10cm程のカナブン型Fランクモンスター
普段は無害なモンスターであるが、縄張りに入ると攻撃的になる
攻撃する際、まるでつららの様な鋭く尖った形に形態を変え、獲物に向かって真っ直ぐ飛んでくる
単体ならば直進するだけの単調な攻撃なので致命傷になる事はほぼないが、複数で襲われた場合、モンスターランクは一気に上がる
<魔術導師の資質>(ユニーク固有スキル)
< サンズ・フォルト >
光属性と無属性の魔力の混合魔法スキル
威力は低いがその分広範囲に散布される攻撃で、敵の数が多い場合に真価を発揮する攻撃スキルである
威力と範囲は魔力と魔力操作によって決定する
(発現条件)
一定以上の魔力・魔力操作、知力を持ち、一定回数以上、光・無属性の魔法を使用した事がある事
一定数以上の敵との戦闘経験がある事
カッ!と照りつける日差しの様に発生した俺のスキルは、つららカナブンの大群を襲い、そのままその身はボロボロと地上に落ちていく。
しかしこんなものは序の口。
遠くでうぞうぞと有象無象に姿を現すモンスター共にため息をついた。
「 一体どれほどのモンスターを用意したんだか。
エドワード様と……我が両親達は。 」
空を舞う伝電鳥が、突然の爆発とそれと同時に姿を現したモンスター達の存在を伝えてくる。
そしてその時点で各門が突破されたという情報が入ってこない事から、おそらくは敵陣営にモンスターボックスに類似した能力者がいるはずだ。
「 これだけの規模となると、規格外な能力を持っているはず。
問題はその容量がどこまでかだな……。
できるだけ魔力を温存しながら戦わねば。 」
俺はもう一度スキル< サンズ・フォルト >で向かってきたゴブリン達の大群を吹き飛ばしながら、希望の神様が戦っているであろう正門の方へ視線を向けた。
これは耐久戦だ。
リーフ様がアレを倒すまでの。
俺は襟首を緩め、邪魔になる長いロングコートや装飾品を投げ捨てる。
耐久戦はただの討伐などとは違い、相手の戦力が不明の場合、まずペース配分ができない。
更にその不安から精神は疲弊していき、体力や魔力の配分をミスすればその先に待ち受けるのは ” 死 ” だ。
” 死 ” を迎えた自分を想像し、汗をツゥ…と掻くと、自分の手を開け閉めし、しっかり自分の残存魔力量を把握しておく。
魔法使いは特に前衛職とは違い、基本耐久戦には不向きだ。
普段の俺だったらまず選択しない今の状況に苦笑いしてしまったが、後悔は一編たりともないと言い切れる。
しかし……。
「 どんなに苦しくともあの灼熱地獄よりはマシだ。
重たい荷物を背負わされ、自分の意思無く彷徨い続けるよりはな。 」
熱くて痛いしかなかった灼熱の砂漠の中、終わりが見えない永遠とも言える時間宛もなく歩く。
足は焼け焦げ、手のひらの皮は全て剥けて、更にひりつく喉に全身を蝕む身体の痛み……。
あれはきっと心の痛み。
俺の良心が抗っている最後の姿だったんだ。
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