【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第三十三章

1075 そんな未来

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( クラーク )

体長5m越えの体に、筋肉質でガチガチに固まった巨大な腕……あれは────< テンペスト・モンキー >だ!



< テンペスト・モンキー >

体長5m程の猿型Bランクモンスター

筋肉質な身体と太くてガチガチに硬い腕を持つパワー系モンスターで、それを生かした物理攻撃を連続で打ってくる好戦的な性格をしている

非常に強い魔法耐性を持つが、その分物理攻撃に対する耐性は低いため物理攻撃で仕留めるのがセオリーである

ただしモンスター自体のステータス値は高いため討伐自体困難

怒ったり興奮したりすると両手で胸を叩きポコポコという音を立てる事から《 太鼓サル 》と呼ばれる事もある



低ランクモンスター達がいなくなったのはこいつのせいか!


厄介な相手に俺はチッ!と大きな舌打ちをした。


< テンペスト・モンキー >は高い魔法耐性を持つため、魔法使いによっては非常に相性が悪い相手で、正規の討伐なら間違いなく魔法使いは外される。

魔法で倒すなら、相手の魔法耐性を上回る威力の魔法攻撃が必要なため通常の倍……いや数倍は強力な魔法が必要だ。


「 ……クソっ。 」


最悪な相手の出現に思わず悪態をつく。


ここで派手な魔力を使う事は避けたい。

どうすれば……!


そんな迷いが生じた隙に< テンペスト・モンキー >は結界に向かって飛びかかり、強烈なパンチを繰り出した。


────ドッ!!!


大量の魔力が抜けた感覚と叩かれた様な痛みが身体に走り、胸を鷲掴みうめき声を上げる。

こんな攻撃を連続して受けたら身体がもたない!

仕方がないので強力な魔法を使おうとした、その時────


「 ウォッウオッウォォォォォ~! 」


独特の鳴き声を上げながら更に2匹の< テンペスト・モンキー >が姿を現した。


「 新たに2匹だとっ!……まさか群れか?

だとするとまだ出てくる可能性が……! 」


新たに現れた2匹を睨みつけながら、最悪な可能性に焦りが生じる。


この状況は非常にまずい。

こんな時物理攻撃特化の前衛が一人でもいてくれたら……っ!!


焦りと不安からか、俺の脳裏には刀を持ったある一人の人物が浮かび上がったが……直ぐにその考えを頭から追い出すため首を振った。


魔法に対して絶対的な価値観を置く< レイモンド家 >

その価値観を維持するために先代達は自身の人生の全てを賭けて、それを証明してきた。

そしてそれを誇りとし次世代に繋いでいく事は俺達子孫の使命でもある。

先代達の努力を認め敬意を払う事を意味するその事を、俺は間違っている事だとは思わない。


しかし────……


振り払っても振り払っても頭から離れない、その価値観に全く合わない能力を持って生まれた人物を思い出しながら改めて思う。


だからといって魔法を使えぬ者達や物理攻撃特化の者達を否定し、排除するのは間違っている。


それは今の状況や、今までの学院生活で嫌という程思い知らされた。



リーフ様をリーダーとして1年生全員で戦った《 塔の制覇 》

その頂上で戦った< マジシャンズ・ウッド >は人生初めて対峙したAランクモンスターで、物理攻撃と魔法攻撃を連続して打ってくるそいつに苦しめられたが、各自が得意分野を最大に生かした事で犠牲者なしでの討伐に成功した。


相手が物理攻撃を出せば前衛盾班が防ぎ、直ぐに前衛攻撃班が攻撃し相手の気を逸らす。

魔法攻撃を打てば後衛が魔法やシールドで防ぎ、隙を見て攻撃魔法班が攻撃する。


結局実戦になれば、魔法攻撃が物理攻撃よりも格段に優れているというわけではなかった。

その時その時で必要とされるモノは違い、攻撃という点に優劣などない。


俺は今までの自分の視野の狭さを実感し、フッと考えた。


もし過去の俺が今の俺と同じ考えを持っていて、奴を否定し排除しなかったら、奴が前衛、俺が後衛で戦う未来もあったのかな…?


今更叶う事などないそんな未来を考えながら、弱気になった自身の頬を思い切り叩き気合を入れ直す。


魔力を出し惜しみしている場合ではない。

とにかく目の前の敵を倒す!


俺はこちらに向かって飛びかかろうとしている< テンペスト・モンキー >を睨みながら、地面に向かい拳を叩きつけた。



<魔術導師の資質>(ユニーク固有スキル)

< アース・クロス >

土属性魔法により地面の土を変形させ、相手を突き刺す魔法攻撃系スキル

魔力を込めれば込めるほど威力は高くなり、物理攻撃もプラスされた混合攻撃となる


(発現条件) 

一定以上の魔力・魔力操作、知力、体力、攻撃力、肉体トレーニングの経験値を持つ事

一定回数以上土属性魔法を使用した経験値がある事

一定数以上の敵と戦闘経験がある事



強い魔力を込めたスキル< アース・クロス >は、物理属性を獲得し、地面から突き上げる針の様な形の土の塊が飛び出す。


それにより油断していた< テンペスト・モンキー >達は串刺しになり、そのまま全滅し、俺はふぅ……と安堵の息を吐き出した。

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