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第三十四章
1095 生き方
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( ルル )
剣や拳の打ち合いを間近で見て尻もちをつき、討伐されて運ばれてきたモンスターを見て気絶!
目を覚ますと、近くに干されていたモンスターの巨大毛皮を見て大号泣の末、守備隊員の一人におんぶされての帰宅となってしまった。
これでは戦闘は無理。
殆どの人たちはそれで諦めてくれたが、中にはそれでも諦めてくれない人たちもいて、そういう人たちは毎日毎日家に来ては、情けない私の事について母を叱りつける。
” 才能があるのに使おうとしないのはただの甘え。
それを改善し努力しようとしないのは、その才能が欲しくとも恵まれなかった者に対する最大の侮辱行為だ。 ”
” 力があるなら困っている人たちを救いたいと思わないのか?
なんて薄情な娘なのか。
ちゃんと娘を叱らない母親も同類だな。 ”
” 父親は国のため、困っている人々のためその力を使った立派な御仁だったというのに……娘はとんだ出来損ないだな。
母親ならちゃんと娘を躾けろ! ”
” 努力しない甘え娘 ”
” 臆病者 ”
” 人を助けようと思わない非情な子供 ”
” わがまま ”
他にも沢山の事を言われ、私は毎日毎日悩んで悩み続けた。
母は自分の調理の才能で人々を笑顔に。
父はその戦闘の才能を活かし、沢山の人の命を救った。
それなのに……私は……。
来る日も来る日も自分を責め続け、怖くて外に一歩も出れなくなってしまったある日の事。
「 ルル~!明日引っ越すから荷物をまとめておきな。 」
いつもより少し早く母が仕事から帰ってきたかと思えば、唐突にそんな事を言ってくる。
「 えっ??あ、明日?? 」
混乱する私を他所に母はさっさと荷物をまとめ始め、何と朝の始発の馬車に私と一緒に乗り込みあっという間に街を離れてしまった。
” 何故急に引っ越す事にしたのか? ”
” 任されているお店は大丈夫なのか? ”
ガラガラと馬車の車輪が回る音を聞きながら、私はご機嫌で外の景色を眺めている母に尋ねると、母は大丈夫大丈夫と手をヒラヒラと振る。
「 元々あの街は気に食わなかったんだ。
それに店の出資者もいけ好かない野郎だったからねぇ。
とうとう喧嘩して首になっちまったんだよ。 」
渋い顔で自身の首を掻き切る真似をする母だったが、私は薄々気づいていた。
母は私のせいで夢だったお店を辞めたんだと。
それに気づくと、そのまま気分と共に視線は下へ下へと下がっていく。
あのお店の出資者の男は、特に頻繁に家に来ては ” 娘を貴族の私兵隊に入れろ! ” ” 国に貢献させるべきだ! ” と叫んでいた男だった。
その度に母は ” 娘が決める事だ ” ” 口を出すな ” と強く言い返していたが、きっと母はこんな出来損ないの娘のために、今まで築き上げてきた全てを捨てて、別の街へ行くことを選んだのだろう。
こんな私のために…………。
「 お母さん、ごめんなさい……。 」
ひりついた喉でやっとの事で声を絞り出すと、母は笑いながら「 何を謝っているんだい? 」と軽い調子で答えたが……いつまでも顔を上げない私から移りゆく景色へと視線を移した。
「 人生っていうのはさ、全てを手に入れるのは無理だと思うんだよ。
だからねぇ、沢山の欲しいものの中で、絶対に手放したくない一番のモノはしっかり決めておかないと駄目なんだ。
私にとっての一番はあの店や地位じゃなかった。
ただそれだけの事さね。
────さぁ!どの街へ行こうか。
二人一緒なら、どこだって楽しくやっていけるよ。 」
そう言って鼻歌を歌い出した母。
私はううぅ~~……と唸りながらボロボロと涙を流しながら、随分と長い事馬車に揺られる事になった。
そうして最終的に私達が選んだ街は< グリモア >
広大な森に囲まれているグリモアは、ダンジョンが多く冒険者ギルドや傭兵ギルドも大いに賑わっていて、つまり飲食系の仕事をする母にはもってこいの街だったからだ。
そこでは私の資質を知る者達はおらず、私は母が建てたお店を手伝いながら穏やかな日々を過ごす事ができた。
そして店の売上も軌道に乗り、それこそ母と私の願いであった ” 贅沢はできないが食うに困らない小さな幸せ ” をまた手にすることができたのだ。
しかし────グリモアに異変が起こり始めてから徐々にその生活に陰りが出始める。
母は私にそれを気づかせまいとしていたが街の様子を見れば一目瞭然だったし、更にガラの悪い冒険者達が彷徨くようになれば、気づかない方がおかしい。
母が全てを捨ててまで手にした幸せなのに……。
悔しい思いをしながら、そこで私はフッと考える。
” 私の能力を役立てればこの状況を変えられるのだろうか? ” と。
しかし……やっぱり駄目だった。
考えるだけでも身体は震え、私はその場にヘナヘナ~とへたり込んでしまった。
実際に自分が戦場に立ち、人やモンスター達の命を奪う。
それが怖くて怖くて……そして何より現状に抗えるかもしれない ” 力 ” を持っているのに、何もできない自分が情けなくてボロボロと涙を流した。
こんなに優しくしてくれるグリモアの人たちのたまに何かしたいのに……
私は最低の臆病者だ!!
剣や拳の打ち合いを間近で見て尻もちをつき、討伐されて運ばれてきたモンスターを見て気絶!
目を覚ますと、近くに干されていたモンスターの巨大毛皮を見て大号泣の末、守備隊員の一人におんぶされての帰宅となってしまった。
これでは戦闘は無理。
殆どの人たちはそれで諦めてくれたが、中にはそれでも諦めてくれない人たちもいて、そういう人たちは毎日毎日家に来ては、情けない私の事について母を叱りつける。
” 才能があるのに使おうとしないのはただの甘え。
それを改善し努力しようとしないのは、その才能が欲しくとも恵まれなかった者に対する最大の侮辱行為だ。 ”
” 力があるなら困っている人たちを救いたいと思わないのか?
なんて薄情な娘なのか。
ちゃんと娘を叱らない母親も同類だな。 ”
” 父親は国のため、困っている人々のためその力を使った立派な御仁だったというのに……娘はとんだ出来損ないだな。
母親ならちゃんと娘を躾けろ! ”
” 努力しない甘え娘 ”
” 臆病者 ”
” 人を助けようと思わない非情な子供 ”
” わがまま ”
他にも沢山の事を言われ、私は毎日毎日悩んで悩み続けた。
母は自分の調理の才能で人々を笑顔に。
父はその戦闘の才能を活かし、沢山の人の命を救った。
それなのに……私は……。
来る日も来る日も自分を責め続け、怖くて外に一歩も出れなくなってしまったある日の事。
「 ルル~!明日引っ越すから荷物をまとめておきな。 」
いつもより少し早く母が仕事から帰ってきたかと思えば、唐突にそんな事を言ってくる。
「 えっ??あ、明日?? 」
混乱する私を他所に母はさっさと荷物をまとめ始め、何と朝の始発の馬車に私と一緒に乗り込みあっという間に街を離れてしまった。
” 何故急に引っ越す事にしたのか? ”
” 任されているお店は大丈夫なのか? ”
ガラガラと馬車の車輪が回る音を聞きながら、私はご機嫌で外の景色を眺めている母に尋ねると、母は大丈夫大丈夫と手をヒラヒラと振る。
「 元々あの街は気に食わなかったんだ。
それに店の出資者もいけ好かない野郎だったからねぇ。
とうとう喧嘩して首になっちまったんだよ。 」
渋い顔で自身の首を掻き切る真似をする母だったが、私は薄々気づいていた。
母は私のせいで夢だったお店を辞めたんだと。
それに気づくと、そのまま気分と共に視線は下へ下へと下がっていく。
あのお店の出資者の男は、特に頻繁に家に来ては ” 娘を貴族の私兵隊に入れろ! ” ” 国に貢献させるべきだ! ” と叫んでいた男だった。
その度に母は ” 娘が決める事だ ” ” 口を出すな ” と強く言い返していたが、きっと母はこんな出来損ないの娘のために、今まで築き上げてきた全てを捨てて、別の街へ行くことを選んだのだろう。
こんな私のために…………。
「 お母さん、ごめんなさい……。 」
ひりついた喉でやっとの事で声を絞り出すと、母は笑いながら「 何を謝っているんだい? 」と軽い調子で答えたが……いつまでも顔を上げない私から移りゆく景色へと視線を移した。
「 人生っていうのはさ、全てを手に入れるのは無理だと思うんだよ。
だからねぇ、沢山の欲しいものの中で、絶対に手放したくない一番のモノはしっかり決めておかないと駄目なんだ。
私にとっての一番はあの店や地位じゃなかった。
ただそれだけの事さね。
────さぁ!どの街へ行こうか。
二人一緒なら、どこだって楽しくやっていけるよ。 」
そう言って鼻歌を歌い出した母。
私はううぅ~~……と唸りながらボロボロと涙を流しながら、随分と長い事馬車に揺られる事になった。
そうして最終的に私達が選んだ街は< グリモア >
広大な森に囲まれているグリモアは、ダンジョンが多く冒険者ギルドや傭兵ギルドも大いに賑わっていて、つまり飲食系の仕事をする母にはもってこいの街だったからだ。
そこでは私の資質を知る者達はおらず、私は母が建てたお店を手伝いながら穏やかな日々を過ごす事ができた。
そして店の売上も軌道に乗り、それこそ母と私の願いであった ” 贅沢はできないが食うに困らない小さな幸せ ” をまた手にすることができたのだ。
しかし────グリモアに異変が起こり始めてから徐々にその生活に陰りが出始める。
母は私にそれを気づかせまいとしていたが街の様子を見れば一目瞭然だったし、更にガラの悪い冒険者達が彷徨くようになれば、気づかない方がおかしい。
母が全てを捨ててまで手にした幸せなのに……。
悔しい思いをしながら、そこで私はフッと考える。
” 私の能力を役立てればこの状況を変えられるのだろうか? ” と。
しかし……やっぱり駄目だった。
考えるだけでも身体は震え、私はその場にヘナヘナ~とへたり込んでしまった。
実際に自分が戦場に立ち、人やモンスター達の命を奪う。
それが怖くて怖くて……そして何より現状に抗えるかもしれない ” 力 ” を持っているのに、何もできない自分が情けなくてボロボロと涙を流した。
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私は最低の臆病者だ!!
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