【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第三十五章

1113 白い飛竜

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( マービン )


「 一体どういう事なの!!!次期当主のマービンにあの態度はありえないわ!!

どうせ貴方が毎回何かしているのでしょう!!!

早くあの獣達を呼び戻しなさいっ!!! 」


少し前にやはり優れた戦闘系の資質に恵まれた兄が飛竜達とお目見えしたのだが、俺同様に飛び立ってしまったと聞いていた。

そして母も以前資質鑑定の日にこうして飛び立たれ、それ以降一度として目すらも合った事はないそうだ。


それは母本人がいつだったか、飛竜達と父の悪口と共に愚痴っていたから間違いはない。


まぁ、母本人は ” 汚くて臭い獣に近づくのなど嫌で嫌で仕方がなかったから良かったわ。 ” と言っていたから、逆にラッキーであったようだが……。


そのままあらん限りの暴言を父に吐き続けた母だが、父はそれを全て無言で返すため、埒が明かないと判断した母は標的を第三飛竜隊のサンサへと変えた。


「 あの生意気な獣達の躾はどうなっているの!!!

餌をやっているというのに私やマクベルにも反抗的な態度をするし、今回など統率系資質に恵まれたマービンまであの態度!!!

本当に恩知らずだことっ!!


まぁ、所詮は獣ですので仕方がないのでしょうけど。

だから躾が下手なあなた達が全て悪いわ。


ムチでもなんでも使ってちゃんと躾直し、直ぐにマービンが所有者であると分からせない。

いいわね? 」


有無も言わさぬ勢いでそう言いきった母だったが、第三飛竜隊のサンサはそれを無表情で最後まで聞いた後、ゆっくりと口を開く。


「 飛竜は賢く気高い存在です。

そして自分が認めた相手でなければ、例え命を奪われても従う事はありません。

それは持って生まれた資質がどんなに素晴らしいモノでも関係ないのです。


だから飛竜達が飛び去ったと言う事は…………そういう事です。 」



サンサの言葉にカッ!とした母は手加減なしでその頬を叩くが、サンサは一切動じず微動だにしない。

それがまた気に入らなかった母は、更に反対の頬も叩き、怒り狂いながら踵を返す。


「 マクベル!マービン!!こんな獣臭い所にいつまでもいては、汚れてしまうわ!!

さっさと帰るわよ!! 」


そうして呆然としたままの俺と、無表情で佇む父達を睨みつけている兄を呼び、そのまま俺達は屋敷へと帰った。



それから俺は何度か一人で【 飛竜舎 】の方へと向かい何度も何度も顔を見せに行く。


高級な餌を持っていっても駄目。

飛竜が好きなおもちゃを持っていっても駄目。

ベッドの干し草を持っていっても駄目……。


何をしても飛竜達は俺を ” 見て ” はくれなかった。


…………いや、今だから分かる。

飛竜達は俺キチンと ” 見て ” いたからこそ俺から逃げていたのだ。


この空っぽな俺の事を……。



更にそんな俺から逃げる飛竜達の中で、ひときわ俺を激しく嫌う飛竜がいる。


そいつは俺が生まれて直ぐに生まれた特別種で、本来飛竜の身体はフォレストグリーンなのだが、全身が白くて他の飛竜達よりも一回り小さい身体を持って生まれてきた。


竜種の生態は他のモンスターと違い特殊性が高く、個体によっても違うため、未だ解明されていない事が多い。

それはライロンド家と家系契約をした飛竜にも当てはまる。


まず彼らは群れの仲間が命がつきる時にしか新たな卵は産まず、それにより群れの個体数はずっと変わらないまま。

まるで一定の数を保っている様に見える。


それは個体が長寿であるためか?はたまた彼らなりの決まり事の様なモノがあるのか?

全くの謎なのだが、例外が一つだけあった。


それはライロンド家を継ぐであろう子供が生まれた時だ。


不思議な事に、その子供が生まれた時だけは群れの数に関係なく一つの卵が産み落とされ、一時的に群れの数は増える。

そしてその時のみ新たに群れの個体数が減っても新たな卵は産まれず、やはり数を合わせるように同じ群れの個体数を守るのだ。


そんな一時的でも個体数に関係なく生まれた卵から生まれる飛竜は、不思議な事に、生まれたライロンド家の跡継ぎと魔力の波長が同じか?と言われる程に合っていて、どの世代でもお互い生涯を掛けたパートナーになったそうだ。


何でもそのパートナーの飛竜とは、会話の様なものもしていたというのだから、その絆は他人には分からぬ程深かったに違いない。


俺は牙を剥き、『 ぐるるぅぅぅぅ────!!! 』と唸っている白い飛竜を見て、怒りが込み上げた。


何でだよっ!!

お前はこのライロンド家当主になる俺のためだけに生まれてきたんだろ?!!


何で俺を受け入れない!!!


手に持っていた臭い干し草をペイッ!とそいつに向かって投げつけると、そいつはどうでもいいと言わんばかりの態度で、そのまま空に飛び立ってしまう。


「 一体俺の何が駄目なんだよぉぉぉぉぉ────────!!!! 」


こちらを見ることすらしないで飛んでいった白いヤツと、同時に一斉に飛び去っていった他の飛竜達を睨みながら、俺は大声で叫び続けた。
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