【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
1,141 / 1,649
第三十五章

1125 バイバ〜イ!

しおりを挟む
( マービン )


「 昔は両親に内緒で冒険者ごっこしましたよね。

俺はいつもガムを膨らませられるからって、テイムされた泡スライム役でしたけど。 」


グリムは泡スライムの辺りでやや不満げに頬を膨らました。


「 俺は剣士役……は良かったんですけど、ギルドのお姉さん役も兼用なのは嫌でした。 」


スワンもグリム同様頬を膨らませたが、” でも…… ” と二人同時にもう一度子どもの様な満面の笑みで笑う。


「「 すっごく楽しかったですね! 」」


俺は泣くのを堪えて目をギュッと瞑りながら、二人が差し出してくれた花を受け取った。

すると二人は更にニコニコしながら「「 今はもっと楽しいです。 」」と言う。


「 リーフ様にお尻を叩かれているのにか? 」


油断すると涙が出そうになる目を擦りながらそう尋ねると、二人はその時の体験を思い出したのか、嫌そうに顔を歪めて首を振った後、「 でも────…… 」と話を続けた。


「 三人であーでもない、こーでもないと悪巧みしながら挑戦する感じが、昔に戻ったみたいで楽しいです。 」


「 三人揃ってボロボロにされますけどね~。

あ、もしかして俺、また泡スライム役にさせられますか? 」


スワンの言葉に大きく頷いた後、グリムが渋い顔でそう言うので、なんだか俺はおかしくなってきて、そのままプハッ!と吹き出す。


「 今度はこの俺、マービン様を支える右腕と左腕の役を与えてやろう!

光栄に思うがいい! 」


そして大きく胸を張ってそう言ってやれば、二人はとても嬉しそうな顔で笑い「「 これから凄~く楽しみですね! 」」と言って、フッ……と消えてしまった。



それを見送った後、二人から貰った花を胸の中にポイッと入れる。

するとじんわりと広がっていく温かな気持ちにジ~~ン……としていると、突然────


「 マービン様~~♡ 」


……という女性の声が横から聞こえた。


「 ???? 」


一体誰だ?と驚いて声がした方を振り返ると、そこには沢山の女性達がいて、その手には枯れた木の枝や泥に塗れた石、変色した葉っぱに腐りかけの木の実を持っている。


その全員の顔には見覚えがあった。


俺がかつて八つ当たりし暴言を吐いてきた女達だ!


「 あ……そ……その……。 」


罪悪感と気まずさに何か言おうと口を開きかけると、その内の一人、ついこの間 ” 裸になれ! ” と脅して女がスタスタと俺の前まで歩いてきた。

その顔は怒りの表情ではなく、寧ろご機嫌な様子でニコニコしていたので、俺はホッと息を吐いたのだが────……。

女は突然俺の腰辺りをワシっ!!と掴むと、そのまま一気に俺のズボンをパンツごとスパ────ン!!!とずり降ろした。


顕になる俺の下半身!!


一瞬の出来事に思わず固まってしまうと────。


「 生まれたてのミミズ!!! 」


女が突然俺の下半身のアレを見ながら叫ぶ。


「 …………えっ……ミ、ミミズ……??? 」


白目を剥きながらボソッと呟く俺に続く様に、他の女達が一斉に俺の下半身を指さした。


「 親指男っ!! 」


「 小麦ボール( 極小 )!!! 」


「 砂ネズミの尻尾!!! 」


そして更に女たちは口々に理解不能な暴言を叫び、ショックを受けて気絶しそうな俺を見て大笑い。

そしてその後は非常にスッキリした顔で、一斉に舌を出す。


「「「「 このくらいで勘弁してやるよ!!バ────カっ!!! 」」」」


ベ────ッ!!と舌を出したまま中指まで立てると、そのまま全員消えてしまった。


俺はその後、ショックでしばし固まって動けなかったが、グスンッ……と鼻を啜りながら、女たちのいた場所に落ちていた枯れた木々や汚い石や葉っぱ、腐った木の実などを集めて胸の中に入れる。


すると、その展開を見学していたらしいじいさんは、地面をゴロゴロ転がりながら大笑いしていて、それにはムカッ!!としたのだが、何も反論することもできないので我慢した。


結局ひとしきり笑ったじいさんは、満足したのか立ち上がり、その場で大きく伸びをする。


「 まぁ、そのうち大きくなるよ!


────さぁ、俺は散歩の続きでもし~よおっと。 」


じいさんはニッコリ笑うと、俺に背を向けてそのままマイペースに歩き出した。


「 ……もう行っちゃうのか? 」


「 ん?そうだね。俺、散歩大好きだからさ!

まだまだ見たことない場所が一杯あるから、そろそろ見に行くよ。


でも俺はいつも君を見ているからね。

もう崖から飛び降りようとしたら駄目だよ。 」


「 いや、だから別に飛び降りようとしたわけじゃねぇっつーの……。 」


ブツブツと文句を言う俺に対して、ハハハッ~と笑ったじいさんはまた歩き出したのだが、突然ピタリと止まり、俺の方を振り向く。


「 そうそう。そういえば、凄く体格のいい……でも身体が紙みたいにペラペラの男の人がね、随分前から崖の目の前で踏ん張っていたよ。

俺が殴り飛ばして引っ張る事はできるけど、それは俺じゃない方がいいと思うから放って置くね。

親を引っ張るのはいつだって子どもの役目だからさ! 」


それだけ言い残し、今度こそじいさんは行ってしまった。


その背中が遠ざかっていく途中、二回りくらい小さくなって子供の様な姿になった様な気がしたのは、もしかすると俺の気の所為かもしれない。

しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

処理中です...