【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第三十六章

1136 邪神の……

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( マリナ )

「 可哀想に……可哀想に私の可愛いマリナ。

あんなモノが私達の子であるわけがない。

まずはきちんと調べよう。まずはそこからだよ。 」


「 あぁっ!!カール!!

私の……私の腹でっ……あんな……あんな……っ!!

あんな化け物が1年近くも育っていたなんてっ!!!

私……あんな醜い容姿のモノなんて近づいた事もないのにっ!! 」


パニックを起こし、叫び続ける私の背中をカールは落ち着かせようと優しく撫でる。


「 分かっているよ、マリナ。

君は誰よりも世の ” 正しさ ” を知っている女性だから……。

あんな醜いモノは、私達が施しを与えた者達の中にはいない。


……だから恐らく何者かのユニークスキルではないかと思うんだ。 」


「 ユニークスキル……? 」


思ってもなかったカールの言葉に驚き、叫ぶのを止めてカールを見上げると、そこには怒りに満ちたカールの顔があった。


「 そうだよ。

何者かがユニークスキルの様なモノを使って、赤子をすり替えたんじゃないかと思う。

恐らく我がメルンブルク家に嫉妬し恨みを持った愚か者の仕業に違いない。 」


「 ────っ!!!そ、そんなっ!!

じゃあ、私達の可愛い ” リーフ ” はどこっ!! 」


半狂乱になって泣き叫びながらカールに縋り付くと、カールはブルブルと怒りに震えながら、私の背中をまた優しく撫でる。


「 ……こんな非道な事をした愚か者は、絶対に見つけ出して生まれた事を後悔させてやらないとね。

とにかく【 生元鑑定 】をすれば、誰の子か分かる。

そして直ぐにあの赤子の籍をメルンブルク家から抜こう。

あんな汚らしい赤子が一瞬でも我が家に存在する事が許せないっ!!! 」


カールは直ぐに【 生元鑑定 】を使える者を教会から呼び寄せ、更にその場で籍を抜こうと、出生届けを管理する教会担当者達を立ち会わせた。


行方知れずになってしまった我が愛しの息子 ” リーフ ” 


カールと二人で嘆き悲しみ、その無事を祈りながら鑑定を終えたのだが……なんとアレは間違いなく私とカールの子供であると証明されてしまったのだ。


「 ふざけるなぁぁぁぁぁ────────!!!! 」


その診断結果が告げられた瞬間、カールは怒りに怒鳴り散らし、直ぐに国中の【 生元鑑定 】ができる者達を呼びつけたが、結果は全て同じ。


は私とカールの本当の子供……?


そのとてもではないが受け止められない事実に、私達は苦しんだ。


新たな命の誕生には必ず教会の認証が必要であるため、権力を使ってその事実を捻じ曲げることはできない。

そして一度籍を入れてしまった子供が死んでしまえば、” 神の使い ” であるメルンブルク家の存在は根本的に崩れてしまう。


” 子供は神の使いである ”


そのイシュル神に選ばれし神の使いとして、その教えを破る事は……できなかった。


どうする事もできない現状は、私とカールに重くのしかかり、決して癒える事のない酷い傷を心に刻み込む。

一点の曇りもない、私達の完璧で正しい世界は、その時ガタガタと崩れ去ってしまったのだ。


汚らしい人間の形をしている化け物によって。



私とカールは悲しみと憎しみの中、今度はどうすれば良いのかと考えた。


もしアレが周りの貴族達の目についてしまえば……?



” なんて醜い子供なのかしら。

マリナ様は随分とゲテモノも食されるのね。凄いわ。 ”


” 公爵家に嫁いだというのに、貴族女性としてのお遊びも満足にできぬとは……。

お相手の男性が余程上手だったのではないか? ”


” カール様との子だと仰ってますけど……だとすると、最近の< 整形魔術 >は凄いのね。

是非メルンブルク家の御用達の整形魔術師をご紹介していただきたいわ。 ”



< 整形魔術 >

外科的な魔術を使い、人の顔や体の造形を変える特殊で緻密な魔力操作が必要な魔法技術

術者の魔法操作や魔法技術により仕上がりの差が大きい



” アハハハハ~~!!! ”


大勢の人間の笑い声が頭の中に響き渡り、私は耳を塞いでその音をどうにかシャットダウンしようとしたが……その声は1日中私の頭の中で鳴り続け、私の精神を蝕む。


それに耐えて、耐えて、耐えて……そんな日々から少し経った頃、カールが私の部屋へとやってきた。

隈がくっきりついている窪んだ目元。

頬はこけ、明らかに憔悴した様子のカール。


部屋に閉じこもってベッドの中で震えている私も、恐らく同じ様な顔をしていたのだろう。

お互い顔を見合わせてハッ!と驚いた顔をしたから。


カールは暗い表情のまま、私が横たわるベッドの横に座った。

  
「 ……は邪神の子だ。 」


ポツリと言った言葉に、私はビクリッ!と肩を震わせる。

今……なんて……?


「 じゃ……邪神……? 」


恐ろしい言葉を聞き、呆然としながらそう言うと、カールは神妙な様子でゆっくりと頷いた。

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