【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第三十六章

1155 分けたもの

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( グレスター )

昔のヨセフは非常に攻撃的で排他的な視点でしか世界を見ない人だった。

その世界観は危ういバランスで成り立っていたのだが、今のヨセフにそれはない。


まるで物語の主人公の様に、その世界はキラキラとした美しさを持っていた。



何故??


どうして???


どうやってヨセフはこんなにも変わったのだろうか??



私はそのままヨセフと語り合いながら、その原因を探ろうとすると、またしても衝撃的な事実を知る。


客観的な視点で世界を覗き、自分という存在を確立している私。

自らが主人公になり、この世界に根を張り、その存在を確立したヨセフ。


その道を分けたのは……あんなにも絶望しか感じてなかった ” 愛 ” であった様だ。



なんとヨセフには心から愛する人がいて、更に子供までいるという!!



その時の衝撃は凄まじく、思わず腰を抜かしてしまった。


” どんな人なのか? ” 


” どこで出会ったのか? ” 


気がつけばヨセフに怒涛の質問攻め。

そして最後にそのヨセフの ” 穴 ” を塞いでくれた人に会いたい!と頼み込む。


ヨセフは初めて見る様な幸せそうな顔をして、「 じゃあ聞いてみるよ。 」と言ってくれて、その日は解散となった。




「 初めまして。ヨセフのパートナーのセイです。 」


結局その後は日を置かずに、そのヨセフの想い人、セイさんに会うことができて、私は ” なるほど……。 ” と一人で納得する。


” なんだかスライムみたいな人だ。 ” 


失礼な言い方かもしれないが、私がセイさんを一目見た時に感じたイメージはこれ。


鋭い針だらけのヨセフの側にいても、グニョグニョとそれを全て包みこんで平然としている様なイメージだ。


その姿を想像し吹き出しそうになったが、必死に堪えて自己紹介した。


そして話をしてみると、ヨセフとはまた違う独特の価値観にワクワクと胸を踊らせてしまい、気がつけば夜。

結局はそのまま、ヨセフの子供たちと共に家族の夕食までご同伴させてもらった。


そして溢れんばかりの幸せにふわふわと浮かれながら帰路につき、家に着いた私は様々な事を考える。


セイさんはとても美しい人だった。


外見がというわけではなく、世の中の醜さ、汚さ、その全てを知った上でそれを綺麗なモノに変えてしまう強さを持っている。

それがたまらなく美しいと、少なくとも私はそう思った。


そして男同士とか年の差とか……そういった周りの影響を受けない、二人の ” 愛 ” は、とても綺麗だとも思う。


それを目の前で見てしまうと、” 愛 ” は世界で一番価値があるモノで、とても神聖なモノの様に思うことができて嬉しかった。


自分の ” 穴 ” は変わらずココにあって、でもこんな穏やかな幸せを感じながら……私はきっとこのままいつか来る死を喜んで迎える事ができるだろう。


そう思っていたのに……神様はこんな私に、とんでもない出会いを与えてくれた。


私の ” 穴 ” ごと全てを包み込んでくれた、我が生涯最愛の< カトリーナ >との出会いを……。




もはや日課となりつつある、私、ヨセフ、セイさんとのお茶会の時の事。


だいたいこのお茶会で面白い話題を持ってくるのはセイさんで、興味を引く様なイベントや食べ物の情報をここで話し、三人でお休みの日に行ってみるのが通例になっていた。


「 実は今回も面白いイベント情報があるんですよ~。

少し遠い場所になってしまいますが、珍しい輸入品のマーケットイベントが今年も開催される事になりました。

当日はすごく混みますけど、普段はあまり輸入されない様な食べ物や日用品、雑貨、本などが販売されるからとても魅力的なんですよね。 」


「 そういえばもうそんな時期だったか……。

毎年凄い沢山の人が来るお祭りみたいなイベントだよね。 」


セイさんとヨセフが人混みの多さを思い出したのか、ハハッ……と汗を掻いていたが、私はガタッ!!と勢いよく立ち上がり、深々と頭を下げた。


「 是非!!私をそこへ連れて行って欲しい!! 」


普段は無口な私が突然凄い勢いでそう言ったので、二人はポカンッ……としてしまう。


しかし、私にとっては他国の本を手に入れる貴重なチャンス!

これを逃すわけには行かないので必死だ。


頭を下げたまま二人の返事を待つと、二人は私の肩をパシパシと叩き、「「 じゃあ、行こう! 」とあっさりYESと言ってくれる。


そんな二人に感謝しながら、私は気合十分でそのイベントへとついて行った。



そうしてイベント会場に着くと、普段だったら絶対に近寄らないくらい沢山の人達が賑わいをみせていて、三人で入口に立ち尽くす。


「 いや~これは凄いですね~。 」


「 普段は手に入らないモノと聞くと、買いたくなるのが人の性ってやつだからね。 」


セイさんとヨセフは、周りをキョロキョロと見回し、汗を掻いていた。


私もキョロキョロとしながら、まるでどこまでも続いている様に錯覚する程ズラ~と立ち並ぶ露店達を見回す。


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