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第三十六章
1160 皆で行こう
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( グレスター )
それから私はヨセフが言った通り、カトリーナとジェニファーの側でゆっくりと自身の心を修復していった。
” 穴 ” はまた少しづつすこしづつ塞がっていき、とても穏やかな日々が続く。
このままいけば遥か遠くにいる君の背に、追いつくことができるのだろうか?
相変わらずキラキラ光り輝くヨセフを見て、私は ” そんな日が来るといいな ” と思ったが……その日は永遠に来ることはなく、ヨセフと私の道は完全に分かれてしまった。
カトリーナの突然の ” 死 ” によって。
その日は酷い雨が降っていて、珍しく仕事が休みのカトリーナと朝から三歳になるジェニファーとゆったりと過ごしていたが、突然一本の連絡が入った。
” 隣街にカトリーナが入荷待ちしていた宝石が入った ” と。
早速ウキウキしながら用意を始めたカトリーナを見て、私は心配でそんな彼女に話しかける。
「 明日にしたらどうか? 」
止めても無駄な事は分かっていたが、やはり心配でそう言った。
そしてそんな私の言葉を聞いたカトリーナは予想通りの言葉を返してくる。
「 何を言っているの!
こうしている間にも誰かに取られちゃうかもしないし、このカトリーナに ” 待つ ” なんて選択肢はないの。
欲しいものは誰よりも早く自らの手で掴みにいくわ! 」
グッ!と力強く拳を握ったカトリーナは、足元でキョトンとしているジェニファーをそのまま上に持ち上げ抱きしめた。
「 ジェニファ~!
また母様がすごく素敵なモノを手に入れてくるからね~!
それでその冒険記を聞かせてあげるわ! 」
フフンっ!と得意げに言うカトリーナに対し、ジェニファーは嬉しそうに笑う。
「 おかあしゃまのお話、ジェニファーは、だいしゅき!
たのちみにしているね! 」
ジェニファーは私ととても似ている気質を持っている子で、物静かで外より家の中でゆったりする事を好む。
だからこそ私同様、直ぐに外に飛び出していくカトリーナの話が楽しく楽しくて仕方ない様で、何度もその冒険記を聞きたがった。
ジェニファーの言葉を聞いて、完全にカトリーナのやる気スイッチが入ったのを感じた私は、仕方なくそのまま彼女を乗せた馬車をジェニファーと共に見送る事にしたのだ。
しかし────……。
次第に強まっていく雨と風。
それに竜巻の様なモノまで遠くの空に見え始めた時には、彼女を送り出した事を後悔した。
こんな悪天候で馬車は走れるのだろうか……。
ジェニファーに心配掛けまいと、笑顔でいたが、内心は気が気ではなかった。
そして外が真っ暗になっても帰ってこないカトリーナに、我慢の限界がきたその瞬間────我が家に緊急の連絡が入る。
” カトリーナの乗っていた馬車が竜巻に巻き込まれ、木っ端微塵になった。 ”
……それから気がつけば、殆どの部分が欠けているカトリーナだったモノが目の前に置かれた。
その中でも一番綺麗だったのは左腕で、その薬指には大きな< 魔石 >がついた指輪が嵌められている。
< 魔石 >
魔力を吸収する事で様々な効果を得る事ができる特殊な鉱石
その性質と希少性からとても高価で、また様々な魔道具に使われるが、宝石の様な外見をしている事からアクセサリーとしての価値も高い
また吸収した魔力によって色を変えるため、貴族女性のトレンドアクセサリーの一つ
私は震える手でその手を取り、その指輪を呆然と見下ろした。
綺麗な金色……。
その指輪からは私が入れた癒しの魔力が感じられ、この腕は紛れもなくカトリーナ本人のモノであるという何よりの証拠であった。
「 ────────っ~~~~っっ!!!!!??? 」
それが認識できた途端、私は獣の様な声を上げ、何度も何度も回復魔法をその身体に掛けたが、何の変化も起きやしない。
” 死人に回復魔法は効かない ”
つまりもう片方しかない状態のカトリーナの目は……開く事は二度となかった。
それでも私はヨセフの静止する声をどこか遠くに聞きながら、回復魔法を掛け続け────フッ……と気づけば、目の前には自室の部屋の天井が。
どうやら私はベッドで寝ているらしい。
そして横から悲しげなヨセフの顔と今にも泣きそうなジェニファーの顔が見え、私は直ぐにニコッと笑った。
「 ちょうど良かった。
ヨセフ、次の休みはセイさん達も誘って皆で新しいイベントへ行かないか?
カトリーナももうすぐ帰って来るからまた四人で計画を立てよう。
ジェニファーもお兄ちゃんたちが来るから楽しみだろう? 」
ペラペラと語られる言葉を聞いて、何故かヨセフは大きく顔を歪め、ジェニファーは泣き出してしまう。
なんだか漂う雰囲気が怖くて、何か言おうと思ったが、それより先にヨセフが話し始めた。
「 グレスター……ジェニファーはもう帰っているよ。
それに……セイにはもう二度と会えないんだ。 」
「 ……えっ? 」
キョトンとした私を見て、ヨセフは辛そうな顔で首を振る。
そしてジェニファーの鳴き声だけが響く中、ドキンっ……ドキンっ……と自分の大きな心臓の音が耳を叩く。
それから私はヨセフが言った通り、カトリーナとジェニファーの側でゆっくりと自身の心を修復していった。
” 穴 ” はまた少しづつすこしづつ塞がっていき、とても穏やかな日々が続く。
このままいけば遥か遠くにいる君の背に、追いつくことができるのだろうか?
相変わらずキラキラ光り輝くヨセフを見て、私は ” そんな日が来るといいな ” と思ったが……その日は永遠に来ることはなく、ヨセフと私の道は完全に分かれてしまった。
カトリーナの突然の ” 死 ” によって。
その日は酷い雨が降っていて、珍しく仕事が休みのカトリーナと朝から三歳になるジェニファーとゆったりと過ごしていたが、突然一本の連絡が入った。
” 隣街にカトリーナが入荷待ちしていた宝石が入った ” と。
早速ウキウキしながら用意を始めたカトリーナを見て、私は心配でそんな彼女に話しかける。
「 明日にしたらどうか? 」
止めても無駄な事は分かっていたが、やはり心配でそう言った。
そしてそんな私の言葉を聞いたカトリーナは予想通りの言葉を返してくる。
「 何を言っているの!
こうしている間にも誰かに取られちゃうかもしないし、このカトリーナに ” 待つ ” なんて選択肢はないの。
欲しいものは誰よりも早く自らの手で掴みにいくわ! 」
グッ!と力強く拳を握ったカトリーナは、足元でキョトンとしているジェニファーをそのまま上に持ち上げ抱きしめた。
「 ジェニファ~!
また母様がすごく素敵なモノを手に入れてくるからね~!
それでその冒険記を聞かせてあげるわ! 」
フフンっ!と得意げに言うカトリーナに対し、ジェニファーは嬉しそうに笑う。
「 おかあしゃまのお話、ジェニファーは、だいしゅき!
たのちみにしているね! 」
ジェニファーは私ととても似ている気質を持っている子で、物静かで外より家の中でゆったりする事を好む。
だからこそ私同様、直ぐに外に飛び出していくカトリーナの話が楽しく楽しくて仕方ない様で、何度もその冒険記を聞きたがった。
ジェニファーの言葉を聞いて、完全にカトリーナのやる気スイッチが入ったのを感じた私は、仕方なくそのまま彼女を乗せた馬車をジェニファーと共に見送る事にしたのだ。
しかし────……。
次第に強まっていく雨と風。
それに竜巻の様なモノまで遠くの空に見え始めた時には、彼女を送り出した事を後悔した。
こんな悪天候で馬車は走れるのだろうか……。
ジェニファーに心配掛けまいと、笑顔でいたが、内心は気が気ではなかった。
そして外が真っ暗になっても帰ってこないカトリーナに、我慢の限界がきたその瞬間────我が家に緊急の連絡が入る。
” カトリーナの乗っていた馬車が竜巻に巻き込まれ、木っ端微塵になった。 ”
……それから気がつけば、殆どの部分が欠けているカトリーナだったモノが目の前に置かれた。
その中でも一番綺麗だったのは左腕で、その薬指には大きな< 魔石 >がついた指輪が嵌められている。
< 魔石 >
魔力を吸収する事で様々な効果を得る事ができる特殊な鉱石
その性質と希少性からとても高価で、また様々な魔道具に使われるが、宝石の様な外見をしている事からアクセサリーとしての価値も高い
また吸収した魔力によって色を変えるため、貴族女性のトレンドアクセサリーの一つ
私は震える手でその手を取り、その指輪を呆然と見下ろした。
綺麗な金色……。
その指輪からは私が入れた癒しの魔力が感じられ、この腕は紛れもなくカトリーナ本人のモノであるという何よりの証拠であった。
「 ────────っ~~~~っっ!!!!!??? 」
それが認識できた途端、私は獣の様な声を上げ、何度も何度も回復魔法をその身体に掛けたが、何の変化も起きやしない。
” 死人に回復魔法は効かない ”
つまりもう片方しかない状態のカトリーナの目は……開く事は二度となかった。
それでも私はヨセフの静止する声をどこか遠くに聞きながら、回復魔法を掛け続け────フッ……と気づけば、目の前には自室の部屋の天井が。
どうやら私はベッドで寝ているらしい。
そして横から悲しげなヨセフの顔と今にも泣きそうなジェニファーの顔が見え、私は直ぐにニコッと笑った。
「 ちょうど良かった。
ヨセフ、次の休みはセイさん達も誘って皆で新しいイベントへ行かないか?
カトリーナももうすぐ帰って来るからまた四人で計画を立てよう。
ジェニファーもお兄ちゃんたちが来るから楽しみだろう? 」
ペラペラと語られる言葉を聞いて、何故かヨセフは大きく顔を歪め、ジェニファーは泣き出してしまう。
なんだか漂う雰囲気が怖くて、何か言おうと思ったが、それより先にヨセフが話し始めた。
「 グレスター……ジェニファーはもう帰っているよ。
それに……セイにはもう二度と会えないんだ。 」
「 ……えっ? 」
キョトンとした私を見て、ヨセフは辛そうな顔で首を振る。
そしてジェニファーの鳴き声だけが響く中、ドキンっ……ドキンっ……と自分の大きな心臓の音が耳を叩く。
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