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第三十六章
1159 肯定してくれる言葉
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( グレスター )
日に日に弱っていくセイさん。
大事な人のその姿は、私に半狂乱になりそうなくらいの恐怖と不安、悲しみを与えた。
セイさんが死ぬ……?
もう二度と会えない……?
それをどうにか止めたくて、カトリーナと共に病に効くと言われているモノを探し出しては、セイさんに届けたが……彼は穏やかな笑みを浮かべたままイシュル神の元へと行ってしまった。
私は悲しくて悲しくて────生まれて初めて大声で泣き喚いた。
大事な人の ” 死 ” とはこんなにも苦しく、悲しいモノだったのか……!
それを理解すると、今まで何とも思わなかった ” 終わり ” が怖くて怖くて堪らなくなった。
ヨセフは今、きっと私以上の悲しみの中にいる。
だからしっかりしなければと分かっているのに、私は自分の悲しみでいっぱいいっぱいで……足を取られて動けない。
そうして馬鹿みたいに藻掻いている間に……なんとヨセフは周りを囲む沢山の大事な存在達によってしっかりと大地に足をつけ、見事に立ち直ってしまったのだ。
私はまたもや役立たずの名ばかり友人になってしまった。
遠くに行っていたはずの、自分に対する自己嫌悪と自己否定感が物凄い早さで戻って来て、私は私に絶望する。
私とヨセフの大きな差。
きっと私がヨセフの立場だったら────……。
────ゾッ!!!
それを思い浮かべた瞬間、私の足は力を失いガクガクと震えその場に尻餅をついてしまった。
怖い……。
怖い……。
怖い……!!
” 愛 ” とはなんて恐ろしいモノなんだろう……!!!
その日から、私にとっての ” 愛 ” は恐怖の対象として存在するようになった。
” 愛 ” はいつかくる ” 終わり ” を、恐ろしい程苦しいモノに変えるモノだ。
こんな苦しい想いをするなら、” 愛 ” など知りたくなかった!!
カトリーナは日に日に塞ぎ込む私を心配してくれたが、それが逆に私の心を追い詰める。
優しさが怖い。
これ以上、私の ” 愛 ” を大きくしないでくれ。
そう願いながら、表面上は普通に見える程度には自分の心を隠せる様になり、カトリーナや私を心配してくれた周りの者たちは、ホッとしていた様だが……ヨセフだけは騙されてくれなかった。
朝の日課のお祈りをしていた時の事。
その頃には、神に祈りを捧げることや慈善事業が、狂気に走ろうとする自分を唯一止めてくれるモノになっていた。
そして自分に贈られる ” ありがとう ” は、自身の恐怖を払うのに必要なモノへ形を変える。
自分というどうしようもない存在への絶望に、そのまま狂った様に笑っていると、突然教会内へ誰かが入ってきたのに気づく。
ヨセフだった。
私は自分への絶望感とヨセフへの罪悪感などで、彼を直視できなくなっていて、これがセイさんが亡くなって久しぶりの再会だ。
きっと冷たいヤツだと思われている。
何もかもが完璧なヨセフは、こんな最低な私をきっと許さない。
「 ヨセフは強いな。」
吐きそうな程心臓をバクバクさせながら、やっと出た言葉はソレ。
そう、ヨセフは強い。
初めて出会った時からそうだった。
自分と同じ ” 穴 ” を抱えながら、世の理不尽から目を逸らさず、真っ向から立ち向かっていたヨセフ。
私の憧れの人。
最愛の人を失っても、なおキラキラと輝き続けるヨセフを見ていられなくて、視線を逸らしイシュル神に向かって懺悔の言葉を吐き続ける。
そんな私をヨセフは静かに見つめ……きっと全て分かっていたのだと思う。
私の口から次々と飛び出していく八つ当たりの様な言い訳を、黙って聞いてくれた。
あぁ……また酷い事を言ってしまった。
まだセイさんを亡くして間もないヨセフに、私は……っ!!
後悔と罪悪は天井知らずに大きく高くなっていき、このまま消えてなくなりたいと思ったが……ヨセフは、何だか嬉しそうに笑いながら話し出す。
「 グレスター、悩む心にとって万能な治療薬があるんだが、それが何か知っているか? 」
「 ……?なんだろうか……。
その悩みの原因を解決する的確な解決法ではないか? 」
一体何の話だろうと首を傾げたが、とりあえず答えてみた。
するとヨセフは ” 悩む心には時間が必要だ。 ” と言い、そして────……。
「 君には『 時間 』が必要だと言う事だ。
カトリーナとジェニファーがいる幸せの居場所で過ごす『 時間 』が。 」
そう言って私の肩をポンポンと叩く。
その瞬間、私は救われた様な気持ちになってまるで幼子の様にボロボロと泣いてしまった。
ヨセフの言葉は私の存在を肯定してくれる言葉だったからだ。
歪んだ心を持っている自分。
” 愛 ” を素直に受け取れない自分。
そんな自分では嫌悪しか持てない自分を ” そのままでいい ” ” 間違ってない ” 。
ただ ” 時間 ” が必要なだけだと言ってくれたのだ。
「 ヨセフ……ごめん…ごめん……。 」
何度も何度も謝る私を見て、やはりヨセフは穏やかな笑みを浮かべたまま「 気にするな。 」とだけ言って静かにその場を去っていった。
こんなどうしようもない自分を救ってくれたヨセフに対し、また一つ罪悪の気持ちが芽生えたが、今はただヨセフが肯定してくれた自分を私も認めようと、そう思う。
私はヨセフが去ったドアに向かってそのまま長い事祈り続け、カトリーナとジェニファーが待つ家に帰った。
日に日に弱っていくセイさん。
大事な人のその姿は、私に半狂乱になりそうなくらいの恐怖と不安、悲しみを与えた。
セイさんが死ぬ……?
もう二度と会えない……?
それをどうにか止めたくて、カトリーナと共に病に効くと言われているモノを探し出しては、セイさんに届けたが……彼は穏やかな笑みを浮かべたままイシュル神の元へと行ってしまった。
私は悲しくて悲しくて────生まれて初めて大声で泣き喚いた。
大事な人の ” 死 ” とはこんなにも苦しく、悲しいモノだったのか……!
それを理解すると、今まで何とも思わなかった ” 終わり ” が怖くて怖くて堪らなくなった。
ヨセフは今、きっと私以上の悲しみの中にいる。
だからしっかりしなければと分かっているのに、私は自分の悲しみでいっぱいいっぱいで……足を取られて動けない。
そうして馬鹿みたいに藻掻いている間に……なんとヨセフは周りを囲む沢山の大事な存在達によってしっかりと大地に足をつけ、見事に立ち直ってしまったのだ。
私はまたもや役立たずの名ばかり友人になってしまった。
遠くに行っていたはずの、自分に対する自己嫌悪と自己否定感が物凄い早さで戻って来て、私は私に絶望する。
私とヨセフの大きな差。
きっと私がヨセフの立場だったら────……。
────ゾッ!!!
それを思い浮かべた瞬間、私の足は力を失いガクガクと震えその場に尻餅をついてしまった。
怖い……。
怖い……。
怖い……!!
” 愛 ” とはなんて恐ろしいモノなんだろう……!!!
その日から、私にとっての ” 愛 ” は恐怖の対象として存在するようになった。
” 愛 ” はいつかくる ” 終わり ” を、恐ろしい程苦しいモノに変えるモノだ。
こんな苦しい想いをするなら、” 愛 ” など知りたくなかった!!
カトリーナは日に日に塞ぎ込む私を心配してくれたが、それが逆に私の心を追い詰める。
優しさが怖い。
これ以上、私の ” 愛 ” を大きくしないでくれ。
そう願いながら、表面上は普通に見える程度には自分の心を隠せる様になり、カトリーナや私を心配してくれた周りの者たちは、ホッとしていた様だが……ヨセフだけは騙されてくれなかった。
朝の日課のお祈りをしていた時の事。
その頃には、神に祈りを捧げることや慈善事業が、狂気に走ろうとする自分を唯一止めてくれるモノになっていた。
そして自分に贈られる ” ありがとう ” は、自身の恐怖を払うのに必要なモノへ形を変える。
自分というどうしようもない存在への絶望に、そのまま狂った様に笑っていると、突然教会内へ誰かが入ってきたのに気づく。
ヨセフだった。
私は自分への絶望感とヨセフへの罪悪感などで、彼を直視できなくなっていて、これがセイさんが亡くなって久しぶりの再会だ。
きっと冷たいヤツだと思われている。
何もかもが完璧なヨセフは、こんな最低な私をきっと許さない。
「 ヨセフは強いな。」
吐きそうな程心臓をバクバクさせながら、やっと出た言葉はソレ。
そう、ヨセフは強い。
初めて出会った時からそうだった。
自分と同じ ” 穴 ” を抱えながら、世の理不尽から目を逸らさず、真っ向から立ち向かっていたヨセフ。
私の憧れの人。
最愛の人を失っても、なおキラキラと輝き続けるヨセフを見ていられなくて、視線を逸らしイシュル神に向かって懺悔の言葉を吐き続ける。
そんな私をヨセフは静かに見つめ……きっと全て分かっていたのだと思う。
私の口から次々と飛び出していく八つ当たりの様な言い訳を、黙って聞いてくれた。
あぁ……また酷い事を言ってしまった。
まだセイさんを亡くして間もないヨセフに、私は……っ!!
後悔と罪悪は天井知らずに大きく高くなっていき、このまま消えてなくなりたいと思ったが……ヨセフは、何だか嬉しそうに笑いながら話し出す。
「 グレスター、悩む心にとって万能な治療薬があるんだが、それが何か知っているか? 」
「 ……?なんだろうか……。
その悩みの原因を解決する的確な解決法ではないか? 」
一体何の話だろうと首を傾げたが、とりあえず答えてみた。
するとヨセフは ” 悩む心には時間が必要だ。 ” と言い、そして────……。
「 君には『 時間 』が必要だと言う事だ。
カトリーナとジェニファーがいる幸せの居場所で過ごす『 時間 』が。 」
そう言って私の肩をポンポンと叩く。
その瞬間、私は救われた様な気持ちになってまるで幼子の様にボロボロと泣いてしまった。
ヨセフの言葉は私の存在を肯定してくれる言葉だったからだ。
歪んだ心を持っている自分。
” 愛 ” を素直に受け取れない自分。
そんな自分では嫌悪しか持てない自分を ” そのままでいい ” ” 間違ってない ” 。
ただ ” 時間 ” が必要なだけだと言ってくれたのだ。
「 ヨセフ……ごめん…ごめん……。 」
何度も何度も謝る私を見て、やはりヨセフは穏やかな笑みを浮かべたまま「 気にするな。 」とだけ言って静かにその場を去っていった。
こんなどうしようもない自分を救ってくれたヨセフに対し、また一つ罪悪の気持ちが芽生えたが、今はただヨセフが肯定してくれた自分を私も認めようと、そう思う。
私はヨセフが去ったドアに向かってそのまま長い事祈り続け、カトリーナとジェニファーが待つ家に帰った。
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