【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第三十七章

1181 目指してみるか!

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( リゼル )


「 今直ぐあの黒い玉を攻撃するぞっ!!!

あれは爆発型の特殊魔法……状態異常に掛かっている者たちを即死させるモノだっ!!! 」


( 先天スキル )

< 死夢への招待状 >

状態異常になった対象者を即死させる特殊攻撃スキル

黒い球状の魔力塊が爆発した瞬間、ある一定範囲内にいる状態異常者達の命を一瞬で奪う



兄は即座に飛び出しその黒い玉に攻撃を仕掛け、俺や他の状態異常に耐えた仲間達も一斉に攻撃を開始する。


精神系攻撃スキルにより、相手の精神を錯乱させ、あの特殊スキルで息の根を止める。

以前もそれに類似したスキルにより、一瞬で沢山の戦闘員達が殺された。


絶対にアレを爆発させるわけにはいかない!!


ギリッと唇を噛み締め全力で攻撃を打ち込むが、人数が不足している事での圧倒的火力不足は補えず、黒い玉は表層部がボロボロと剥がれ落ちてはいるが、破壊する事ができない。

その間にも黒い玉は徐々に大きくなっていき、爆発する寸前。


「 く……くそぉぉぉぉぉぉ──────────!!!! 」


大きく叫びながら、怒涛の連続攻撃を繰り出したが、まるであざ笑うかの様に、黒い玉が爆発する─────!!と、思われたその瞬間……。




「 聖なる旗の前に……消えよ。邪の者よっ!! 」



聞き覚えのある女の声と共に空間が歪み、次々と白銀の鎧を身につけた聖兵士達が出現すると、間髪入れずに、黒い玉に向かって一斉に攻撃を開始!


すると、攻撃に耐えきれなくなった黒い玉に亀裂が入り、パキィィィィ……ン!!と割れると、そのまま黒い破片になって飛び散り、ピエロ野郎は大きく一歩後ろに下がる。


兄はフッ……と笑いながら、一番初めに到着した女に向かい、声を掛けた。


「 これはこれは、随分と久しぶりじゃないか。

【 第二聖兵士団 】団長─────< ジャリー >殿? 」


「 フンッ。気安く私の名を呼ぶな、汚らわしいエセ聖人め。


貴様ら【 第一聖兵士団 】の様な、にわか集団と馴れ合うつもりはない。

我らはグレスター様の命により、この場に参上したのだ。

邪魔はするなよ? 」



「 ……相変わらず、クソがつくほどグレスター贔屓な女だな。 」


俺が呆れた様にボソッと言えば、ジャリーはキツイ眼差しで俺を睨む。


クリンクリンと至る所で跳ねているくすんだブラウン色の猫っ毛は、後ろで長い一本の三つ編みにして纏められている。


素朴な顔に両頬にはそばかすが点々と存在する顔は、恐らくニッコリと笑えば愛想が良い町娘を想像できると思うが……鋭い肉食獣の様な眼光と、しっかりと閉じられ笑う気配がない口元からそんなイメージは浮かばない。


大司教グレスターが全権限を持つ【 第二聖兵士団 】団長


< ジャリー >


この女は大のグレスター崇拝者として有名で、グレスターに命じられれば、自分の命など軽く投げ出してまで、必ず命令を遂行しようとする様なイカレポンチな性格をしている。


ちなみにソフィア様が全権限を持つ我が【 第一聖兵士団 】とは犬猿の仲。


そんな過激な思考の団長の元で、団員たちは大丈夫か?と心配になるが、ところがどっこい。

他の団員もジャリー程ではないが、グレスターを崇拝しているため、それに反対する者たちはいない様だ。


普段こうして会ってしまえば、 ” ゲッ! ” と嫌な気分になるのだが、今はただ有り難い。

しかし……。


「 っつーか、何でお前ら来たんだよ?

グレスターは事を起こしたエドワードのクソ野郎側の人間だろ?

それがグリモアへ応援なんて……そのグレスター幻覚じゃね? 」


バッサリ!と言葉を選ばぬ言い方に、兄が頭を抱えたが、ジャリーはハンっ!と鼻で笑ってきた。


「 この私がグレスター様を間違えるはずがなかろう!

我々はいかなる時もグレスター様の望みを叶える。

全員命がけでな! 」


「「「「「 うおおおおおお─────────!!!! 」」」」


ジャリーの声に歓声を上げる第二聖兵士団の団員たち。

どうやら本当にグレスターが、命令したらしい。

思わずポカーン……としていると、兄がククッと笑った。


「 神様が開けた穴をヨセフが、何食わぬ顔で通ったんだろうね。 」


「 はぁ?また訳わかんねぇ事を……。 」


黒い玉が壊れた事で、状態異常に掛かっていた仲間たちが正気を取り戻し、目の前にいる第二聖兵士団の連中を見て、目を白黒させる。


訳が分からねぇが、助かったのは事実だな。


仲間の無事にホッと胸を撫で下ろすと、様子を伺っているピエロ野郎を睨みつけた。


「 クソうぜぇ攻撃をしてきやがって、このピエロ野郎。

精神攻撃に特化している能力持ちかよ。 」


「 ふん、そんなモノはこのジャリーには通じないぞ。

我が心はグレスター様への忠誠により、迷いなどないからな。 」


ジャリーは不敵に笑うと、手に持つ旗つきの槍をトンッと地面に突き刺した。



<聖駆者の資質>(ユニーク固有スキル)

< 聖なる崇拝心 >

ある一定以上の信仰心と正義を持ち、一定以下の精神汚染度の者に限り発動するフィールド型強化スキル

ステータスを大UPし、更に精神、幻影などの状態異常耐性値が極UPする

(発現条件)

一定以上のステータス値を持ち、魔力、魔力操作、聖属性魔力、精神力、信仰心、正義、忠誠心を持ち、かつ一定以上の負の感情からの脱出に成功すること

一定以下の精神汚染度である事



ジャリーのスキルにより、その場に響くガラスをひっかく様な不快な音は止み、ピエロ野郎の精神系攻撃を打ち破る。


ピエロ野郎はギリギリと悔しげに口を噛み締め、ジャリーを睨んだが、ジャリーはそれを平然と睨み返した。

そしてそんな悔しがっているピエロ野郎を見て、俺はニヤッと笑う。


「 ハハッ!なんだか全員が導かれる様に、次から次へと集まってくるな。

この状況、何かに似てねぇ?

ほら、あの猫が踊って皆踊りだすやつ。 」


「 あぁ、【 シュペリンの踊り猫 】かな?

フフッ確かに似ているね。


────じゃあ、あの猫は神様だったのかもね。

なら、神様のお使いの俺達はその望みを叶えないと。


” ハッピーエンド ” 目指してみようか! 」



初めて見るようなワクワクした様子の兄に、俺も思わず踊り出しそうになってしまった。

兄もその ” 猫 ” につられて、既に踊りだしてしまったらしい。


完璧な戦闘態勢に入ったらしいピエロ野郎を前に、俺は槍を構え直し、溢れる興奮をフゥ~~……と、息と共に外に吐き出した。
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