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第三十八章
1212 さぁ、行こう!
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( ベリー )
守備隊の総括は、領を治めている《 領主様 》
しかし運営自体はその街の守備隊の《 守備隊長 》に一任されているため、この守備隊長がどういった人物かによって実力に大きな差が出てしまう。
そしてこの街の守備隊は、その差が顕著に現れていた街の一つであった。
残念な事に良い方にではなく悪い方に……。
今の守備隊の事を考えると、私たちは同時にため息をついた。
私達が住んでいる街は近くに森があるため、モンスター行進が起きないよう冒険者や傭兵達と共に、常にモンスター達の間引きをしないとならない。
前任の守備隊長が務めていた時は、特に問題なくこの作業ができていたのだが……現在の守備隊長になってから、少々滞る事が多かった様で、その代わりに冒険者ギルドや傭兵ギルドがそれをカバーしてくれていた。
そのため領主様は冒険者ギルドと傭兵ギルドへ多くのお金を渡すようになったが、私とキュイちゃんが入ってから風向きが大きく変わる。
今までは三者三様で協力し合って行ってきたモンスターの間引きが、何故か私達二人だけの担当に。
更に、守備隊長が冒険者ギルドと傭兵ギルドへ圧力を掛けた。
守備隊長はモンスターを倒す実力は凡庸であったが、立ち回りや口は非常に上手い男だった様で、あっという間に領主へ報告する周りを懐柔し、どうやら嘘の報告書まで作って領主様へ上げてしまっていたらしい。
そのせいで、冒険者ギルドと傭兵ギルドへの依頼は減り、フットワークの軽い傭兵達はもっと稼げる街へ。
冒険者達は、守備隊の仕事以外の軽めの依頼をマイペースに行う者たちのみ残るという状況になってしまった。
その結果、この街は守備隊の天下に。
そして冒険者ギルドと傭兵ギルドへ依頼するためのお金は全て守備隊長の懐へと入る様になったらしいが、私とキュイちゃんに配当される給金は、【 第三級守備隊員 】と同等くらいのかなり少ないお金のみ。
要は私達の給料からかなりのお金が取られていた。
しかし、私達にとって森の間引きなど、例え一人でもそんなに大した仕事ではなかったのと、プラスして狭い世界しか知らない私達は " こんなモンか " と思っていたのだ。
そんな無知な私たちは──── ” 何をしても逆らってこない気弱な奴ら。 ” と認定され、世間一般からみるとかなり冷遇されていたと思う。
顔を合わせれば嫌味や嫌な態度、酷い時には直接的な暴言────。
しかし、意識は既に他の遠い場所へと行っていた私達にとって、その声が心に響く事はなかった。
しかも元々この守備隊長は、入隊試験の時からあまり公平ではない人だと思う事が多く、説得力が一切なかったのも理由の一つだ。
現在も自身のお気に入りの子たちには遅刻しようがサボろうが、寧ろ一緒になって職務中に出かけてしまうので、今後何を言われても心に響くことはないと断言できる。
ちなみに当然の様に、遊びに行ってしまった彼らの仕事を代わりに片付けるのは、私とキュイちゃんだ。
正直思う所は多々あったが、結局仕事が片付かなければ、他の機関や街の人達が困るだろうと、淡々と仕事を片付けていったのだが……多分これがいけなかった。
" アイツら、仕事全部任せても何も言わないよな。 "
" ならさ~……俺たちも……。 "
周りの隊員達も、毎日仕事をサボって遊ぶ守備隊長とお気に入り達を見て、楽がしたいと思うようになった様で……。
最初は少しづつ少しづつ……そしてあっという間に全ての隊員達の殆どの仕事は、私とキュイちゃんの仕事になっていた。
ニヤニヤしながら高圧的に仕事を命じる守備隊長。
そのすぐ後ろでそれを見てクスクスと楽しそうに笑い陰口を叩くお気に入り達。
そして素知らぬ顔で私達に仕事を押し付け、得をしたとご機嫌な様子の他の隊員達。
正直この状況は良くないな~と思っていたが、それでも仕事を続けていたのは、この街にいる父のためだったと思う。
一生懸命育ててくれた父に、しっかりと働いている姿を見せたい。
辞めて心配かけたくない。
そんな想いがあった。
しかし父はもういない。
なら……この職場に未練など欠片もなかった。
意見が一致した私とキュイちゃんは、出勤して直ぐ大量の依頼書の束を投げつけ、さっさとお気に入り達と飲みに行こうとした守備隊長に依頼書の束を投げ返す。
脅す様にギロッ!と睨みつけてくる守備隊長に向かって、私達は最上級の笑顔を向けて言った。
「 私達は今日で仕事を辞めます。 」
「 なのでお仕事は皆さんでやって下さい。 」
ニコニコと笑顔でそう言った私達を、守備隊長や他の隊員達も全員ポカーン……。
しかし守備隊長は直ぐに怒り出し、まるで茹で蛸の様に真っ赤な顔になって怒鳴りだした。
「 ふざけるなよっ!!!!仕事を途中で投げ出すつもりかっ!?
これだから片親育ちの常識擦らずは……。
はぁ~……。まぁ、常識がなくても可愛ければちょっとは使えたのになぁ?
女としては役立たずなんだから、せめて戦って街に貢献しろよ、デカブツ女共。 」
いつも嫌というほど吐かれてきたお馴染みの暴言だが、申し訳ないが一切心に響くことはない。
・・
ココはこの人が手に入れた幸せの居場所だ。
” 片親 ” ” 女 ” など、自分には絶対に当てはまらない事を ” 悪 ” と定め、自分が一つも間違っていない完璧な存在でいられる場所。
その場所を守るため、この人は一生この暴言や過激な行動を止めないだろう。
ニヤニヤと笑いながら、私達を見ている守備隊長を見てフフッと笑ってしまう。
それはそれで自分で決めた人生だ。
好きにすればいいが……私達がそれに付き合う義理はない。
守備隊の総括は、領を治めている《 領主様 》
しかし運営自体はその街の守備隊の《 守備隊長 》に一任されているため、この守備隊長がどういった人物かによって実力に大きな差が出てしまう。
そしてこの街の守備隊は、その差が顕著に現れていた街の一つであった。
残念な事に良い方にではなく悪い方に……。
今の守備隊の事を考えると、私たちは同時にため息をついた。
私達が住んでいる街は近くに森があるため、モンスター行進が起きないよう冒険者や傭兵達と共に、常にモンスター達の間引きをしないとならない。
前任の守備隊長が務めていた時は、特に問題なくこの作業ができていたのだが……現在の守備隊長になってから、少々滞る事が多かった様で、その代わりに冒険者ギルドや傭兵ギルドがそれをカバーしてくれていた。
そのため領主様は冒険者ギルドと傭兵ギルドへ多くのお金を渡すようになったが、私とキュイちゃんが入ってから風向きが大きく変わる。
今までは三者三様で協力し合って行ってきたモンスターの間引きが、何故か私達二人だけの担当に。
更に、守備隊長が冒険者ギルドと傭兵ギルドへ圧力を掛けた。
守備隊長はモンスターを倒す実力は凡庸であったが、立ち回りや口は非常に上手い男だった様で、あっという間に領主へ報告する周りを懐柔し、どうやら嘘の報告書まで作って領主様へ上げてしまっていたらしい。
そのせいで、冒険者ギルドと傭兵ギルドへの依頼は減り、フットワークの軽い傭兵達はもっと稼げる街へ。
冒険者達は、守備隊の仕事以外の軽めの依頼をマイペースに行う者たちのみ残るという状況になってしまった。
その結果、この街は守備隊の天下に。
そして冒険者ギルドと傭兵ギルドへ依頼するためのお金は全て守備隊長の懐へと入る様になったらしいが、私とキュイちゃんに配当される給金は、【 第三級守備隊員 】と同等くらいのかなり少ないお金のみ。
要は私達の給料からかなりのお金が取られていた。
しかし、私達にとって森の間引きなど、例え一人でもそんなに大した仕事ではなかったのと、プラスして狭い世界しか知らない私達は " こんなモンか " と思っていたのだ。
そんな無知な私たちは──── ” 何をしても逆らってこない気弱な奴ら。 ” と認定され、世間一般からみるとかなり冷遇されていたと思う。
顔を合わせれば嫌味や嫌な態度、酷い時には直接的な暴言────。
しかし、意識は既に他の遠い場所へと行っていた私達にとって、その声が心に響く事はなかった。
しかも元々この守備隊長は、入隊試験の時からあまり公平ではない人だと思う事が多く、説得力が一切なかったのも理由の一つだ。
現在も自身のお気に入りの子たちには遅刻しようがサボろうが、寧ろ一緒になって職務中に出かけてしまうので、今後何を言われても心に響くことはないと断言できる。
ちなみに当然の様に、遊びに行ってしまった彼らの仕事を代わりに片付けるのは、私とキュイちゃんだ。
正直思う所は多々あったが、結局仕事が片付かなければ、他の機関や街の人達が困るだろうと、淡々と仕事を片付けていったのだが……多分これがいけなかった。
" アイツら、仕事全部任せても何も言わないよな。 "
" ならさ~……俺たちも……。 "
周りの隊員達も、毎日仕事をサボって遊ぶ守備隊長とお気に入り達を見て、楽がしたいと思うようになった様で……。
最初は少しづつ少しづつ……そしてあっという間に全ての隊員達の殆どの仕事は、私とキュイちゃんの仕事になっていた。
ニヤニヤしながら高圧的に仕事を命じる守備隊長。
そのすぐ後ろでそれを見てクスクスと楽しそうに笑い陰口を叩くお気に入り達。
そして素知らぬ顔で私達に仕事を押し付け、得をしたとご機嫌な様子の他の隊員達。
正直この状況は良くないな~と思っていたが、それでも仕事を続けていたのは、この街にいる父のためだったと思う。
一生懸命育ててくれた父に、しっかりと働いている姿を見せたい。
辞めて心配かけたくない。
そんな想いがあった。
しかし父はもういない。
なら……この職場に未練など欠片もなかった。
意見が一致した私とキュイちゃんは、出勤して直ぐ大量の依頼書の束を投げつけ、さっさとお気に入り達と飲みに行こうとした守備隊長に依頼書の束を投げ返す。
脅す様にギロッ!と睨みつけてくる守備隊長に向かって、私達は最上級の笑顔を向けて言った。
「 私達は今日で仕事を辞めます。 」
「 なのでお仕事は皆さんでやって下さい。 」
ニコニコと笑顔でそう言った私達を、守備隊長や他の隊員達も全員ポカーン……。
しかし守備隊長は直ぐに怒り出し、まるで茹で蛸の様に真っ赤な顔になって怒鳴りだした。
「 ふざけるなよっ!!!!仕事を途中で投げ出すつもりかっ!?
これだから片親育ちの常識擦らずは……。
はぁ~……。まぁ、常識がなくても可愛ければちょっとは使えたのになぁ?
女としては役立たずなんだから、せめて戦って街に貢献しろよ、デカブツ女共。 」
いつも嫌というほど吐かれてきたお馴染みの暴言だが、申し訳ないが一切心に響くことはない。
・・
ココはこの人が手に入れた幸せの居場所だ。
” 片親 ” ” 女 ” など、自分には絶対に当てはまらない事を ” 悪 ” と定め、自分が一つも間違っていない完璧な存在でいられる場所。
その場所を守るため、この人は一生この暴言や過激な行動を止めないだろう。
ニヤニヤと笑いながら、私達を見ている守備隊長を見てフフッと笑ってしまう。
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好きにすればいいが……私達がそれに付き合う義理はない。
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