【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第三十八章

1219 盗賊達

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( ベリー )

この関係性を良くないとは思っているのに、どうしても作ってしまう自分に嫌気が差して気持ちが重くなっていく。

こんな自分が今後ちゃんと働いて生きていけるのだろうか……。

キュイちゃんと落ち込みながらも ” じゃあ力仕事……? ” ” 運搬業は? ” などと意見を出し合っていた、その時だった。


「 とっ、盗賊だ────!!! 」


馬車を操縦している御者が大声で叫んだため、乗客たちから悲鳴が上がる。


「 盗賊っ!!嘘だろうっ!? 」


「 そ、そんな……!!このままでは全員殺されるぞ!! 」


「 ママぁ~!!怖いよ~!! 」


阿鼻叫喚の悲鳴の中、私とキュイちゃんは────特に反応せずに座ったままだ。


「 あ~やっぱりね~。 」


「 もう少し早く襲ってくるかと思っていたけど……意外に慎重なのかな? 」


お互いに目を合わせて頷き合う私達は、実はこの馬車が出発して直ぐからピッタリついてくる彼らの存在に気がついていた。


一定の距離を保ったままついてくる数十人程の集団。

これだけで彼らの正体は直ぐに分かったが、馬鹿みたいにガタガタの魔力を垂れ流しているので大した輩ではないと確信し、とりあえず泳がせてみるかと放っておいたのだ。


そして満を持し襲ってきたと、そういう事らしい。


キュイちゃんともう一度目を合わせ、こういった人種ってどこにでもいるんだなと、気分は暗くなってしまった。


定期的に街から街へ移動する荷台馬車は、運賃が安い代わりに護衛などはついていない。

しかし、ちょうどそれぞれの街に駐在する守備隊達の見回りの時間に合う様に出発しているので、大抵の場合、大きな騒ぎになれば近くにいる守備隊が発見してくれる手筈になっているのだが……勿論その安全性は100%ではなく非常に危ういモノだ。


安全面は運次第。


平民の殆どが、この運によって人生を左右され、この荷台馬車はその一つ。


どんなに嫌だと思っても、戦う術のない者たちにとって交通手段はこれだけなので、乗らないわけにいかないというのが現状なのである。


しかし、どうしてこんな貧しい平民しか乗っていない馬車を狙うのか?


答えは簡単で、一番多い目的は ” 人身売買 ” のため。

捕まえた人達を痛めつけて、無理やり奴隷化し売り飛ばす。


そして次に多い目的としては ” 楽しむ ” ためだ。

戦闘系の資質をもっていない一般人ならリスクなしで、いたぶって遊ぶ事ができるため、こうしてあえて荷台馬車を選んで襲っているらしい。


それの何が楽しいのか全く理解できないが……世の中にはそれに愉快を感じる者たちが一定数いる。

それもこれまでの旅で見てきた、衝撃的な事実の一つだった。


「 スピードを出して振り切ります!!

皆さん、しっかり掴まってて下さ──い!! 」


御者さんがまた叫び、馬の手綱を思い切り打つと、馬は直ぐに全速力でかけだすが……盗賊たちの方が早い。


「 馬のスピードを上げるスキル持ちのヤツがいそうだね。 」


「 そうだねぇ~。あと5秒ってところかな? 」


私が冷静に分析すると、キュイちゃんは予想を立ててそれを口に出した。

するときっかり5秒後、キュイちゃんの予想通り盗賊たちが後ろの茂みから次々と姿を現すと、乗客たちはパニックを起こしだす。


「 きゃあああ!!!見て!!盗賊たちよ!! 」


「 弓や杖を持っている!!

馬車が攻撃されるぞ!!! 」


全員馬車に掴まったまま悲鳴を上げ、ガタガタと震えながら目を瞑った。

そんな乗客達を見て舌舐めずりをした弓を持った盗賊達は、私達を超えて前に座っている御者さんに標準を合わせる。


どうやらまずは馬を走らせる御者を殺し、馬車を止めるつもりの様だ。


────バシュッ!!!!


そして何らかの強化スキルを掛けた弓矢が、こちらに向かって一斉に放ってきたのだが……キュイちゃんが通り過ぎようとする弓矢を、ヒョイヒョイっと軽く掴んで止めた。

その動きは、昨日周りをうっとおしく飛んでいた蝿を掴む動きと似ている。

そのため、ブッ!!と吹き出してしまったが、矢を放った盗賊たちはポカーンと呆気にとられた様な顔でこちらを見つめていた。


「 ?? 」


キュイちゃんも、私が何に笑っているのかわからず不思議そうな顔をしていたが、私は ” なんでもない ” と手を振る。


「「「「 …………????? 」」」」


そしてそれを目撃してた乗客たちも、恐怖の顔から驚きの顔に変化しこちらを見ていたが、キュイちゃんは気にすることなく "  まっいっか。  "   と、弓矢をボキボキ~と折って荷台の外に放り投げた。


今の弓矢を見る限り、モンスターレベルで考えるとGランク……良くてFランクといった所だろう。

いわゆる人数が多いだけのスタンダード盗賊だと思われる。


さて、どうやって倒そうか……。


そう考えていたその時────。


「 う、うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 」


御者の大きな悲鳴と共に、盗賊達に前に回り込まれた事で、馬車が急停止してしまった。


ガタガタガタ────!!!!


それと共に大きく揺らされる荷台に乗客たちは必死にしがみつき振り落とされない様に踏ん張る。

そして止まった後は、きちんと全員無事なのを確認してから私はキュイちゃんに言った。


「 25人。12人ずつの最後の一人は早い者勝ち。 」


「 おっけ~。 」


私が周りを囲う盗賊たちを数えてそう提案すると、キュイちゃんはウンウンと頷いて提案を飲んでくれる。

その直後、やっと止まった荷台に近づいてくる盗賊たちを見て、フッ……と父の言っていた言葉を思い出した。

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