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第三十九章
1253 青臭い若者
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( フラン )
「 アーサー様はとても気さくなお方なのですね。
アルバード王国は ” 身分 ” に重きを置いていると伺っていたので、正直驚きました。
アーサー様は、どの様な身分の者に対しても、その様な態度で接するのですか?
例えば……そうですねぇ?
もうすぐ平民へと身を落とす王女に対しても、同じ様な態度を貫くのでしょうか? 」
さり気なく己の無知さを知らしめてやれば、心は更に優越感を得てジワジワと気持ち良い感覚が体を巡る。
ただ単に、今現在確立している価値観を真っ向から否定するだけでは誰もついてこないし、何も変えることはできない。
それは、今までその中で生きてきた人たちを否定し、この ” 世界 ” から抹殺する行為だからだ。
そこには必ず憎しみと争いが生まれてしまう。
それこそが人の世の難しさ!
その難しさを嫌というほど知っている私は、アーサー様の青臭い信念を、心の中で腹を抱えて笑ってやった。
さしずめアーサー様は、 ” 人の価値は平等、全ての者は友達 ” ────などという夢物語の様な理想だけを掲げる無知な少年といった所だろう。
人の上に立つ者として、果たしてそんな理想論で、この厳しく残酷な世から人々を守り抜くことが出来るのか?
無理だろう?
ニコニコと笑いながら、心の中でそんな辛辣な言葉でアーサー様を責める。
古きを重んじ、今の世界に淘汰される存在になるか。
圧倒的な ” 力 ” を持って古きを抹消し、世界を変えるか。
どちらにせよ、上に立つ人間は、その重い重い選択肢を選んでいかなければならない責任が伴う。
それを全て選ばず ” 皆が一緒 ” などという理想思想で逃れようとすれば……なんのためらいもなく下を使って上にのし上がっていく ” 悪 ” に国は乗っ取られるだろう。
理想だけの思想は、 ” 悪 ” にとって、非常に利用しやすいモノだから。
どす黒く染まった心を完璧に隠し、満面の笑みを浮かべていたので、私の皮肉にも気付かないだろうと完璧に侮っていたのだが……アーサー様はまるで子供らしくない様子でフッと笑った。
「 ────いや?俺ほど人を選ぶ人はそうはいないだろうね。
時間は有限だ。
短い人生の中で、無駄だと思う人に俺の貴重な時間を与えるつもりはないよ。 」
ガラッと変わったその場の空気に、10歳の少年とは絶対に思えぬ威圧感にただよう威厳……。
私はそれに一瞬で飲まれ、反射的に跪く。
「 た、大変失礼いたしました!
しかし、それではなおの事、私などにアーサー様の貴重な時間を使わせるわけにはいきません。
今直ぐにでも別の者を用意致します故、しばしお待ちいただけませんか? 」
こんな廃籍が決まっている名ばかり王女などと関わるなど時間の無駄。
そんな事は誰が見ても明らかだったので、私は他の者を呼びつけるため踵を返したが……突然ぐい~っ!と服が引っ張られ、動きを止められる。
「 ……へっ?? 」
思わず素っ頓狂な声を上げて後ろを振り返ると、アーサー様が私の服を掴んでおり、また元の無邪気な子供の顔に戻っていた。
「 ん~??なぜフラン様との時間が無駄になるの?
君はとても不思議な事を言うね。 」
「 ……は、はぁ……?
い、いえ……それは当然の事かと……。
私はこの国で ” 名ばかり王女 ” という立ち位置にあります。
つまりもう間もなく王族ではなくなるという事です。
そんな者との時間は有意義な時間とは言えないでしょう。 」
淡々と事実を話したのだが、アーサー様はまた子供らしくない笑みを浮かべ、大きなため息をつく。
「 なるほどね。
フラン様は自分が王族でなくなるから、今度は俺と付き合う事はないと……そう言いたいわけか。 」
「 ……その通りでございます。
今後は大国の王族とただの平民のドワーフ族、この二点が交わることはありません。
それは、アルバード王国の王子であるならば、当たり前の事なのでは? 」
アルバード王国の王子が、国の ” 正しき ” とする価値観を堂々と破っては、周りはあっという間に敵だらけ。
ひいては、自分を支持してくれる者達をも危険に晒すという危ない行為である。
この程度の事で敵を作るなどあってはならない。
アーサー様は、私の話を最後までしっかり聞くと、突然パッ!!と服を掴んでいた手を離した。
そのせいでよろけてしまい、思わず膝を床につけてしまうと、アーサー様は両手を後ろに組み、また圧倒的なオーラを纏い、私を見下ろす。
絶対的な王者の風格。
私は立ち上がる事もできずに呆然とアーサー様を見上げた。
「 フラン様は俺の事をまだ知らないね。
さしずめ俺は ” 脳天気な理想だけを掲げる青二才 ” という所かな? 」
「 いっ、いえっ!!決してその様な事は……つ!! 」
内心冷や汗を掻きながら、そのままその場で頭を下げる。
気分を害してしまった!
大国のアルバード王国の王子を相手に!!
自分の失態を悔やみ、青ざめながら自分の無能さに涙が出そうになった。
私は満足に接待すらできない無能な名ばかり王女。
何もできない役立たずなのだ。
次から次へと私を罵る声は大きくなっていき、怒りと通り越すと、次第に自分はこんなにも無価値なのに生きているんだろう?と疑問に思う様になる。
こんな恥しか晒せぬ娘など、いるだけで国の汚点に……。
それならいっそ……自らの手で……!
その解決法の中で一番簡単な方法を思いつき、心はそこに向かって走り出そうとしたのだが…………突然アーサー様が私の手を引っ張り、それを止めた。
「 アーサー様はとても気さくなお方なのですね。
アルバード王国は ” 身分 ” に重きを置いていると伺っていたので、正直驚きました。
アーサー様は、どの様な身分の者に対しても、その様な態度で接するのですか?
例えば……そうですねぇ?
もうすぐ平民へと身を落とす王女に対しても、同じ様な態度を貫くのでしょうか? 」
さり気なく己の無知さを知らしめてやれば、心は更に優越感を得てジワジワと気持ち良い感覚が体を巡る。
ただ単に、今現在確立している価値観を真っ向から否定するだけでは誰もついてこないし、何も変えることはできない。
それは、今までその中で生きてきた人たちを否定し、この ” 世界 ” から抹殺する行為だからだ。
そこには必ず憎しみと争いが生まれてしまう。
それこそが人の世の難しさ!
その難しさを嫌というほど知っている私は、アーサー様の青臭い信念を、心の中で腹を抱えて笑ってやった。
さしずめアーサー様は、 ” 人の価値は平等、全ての者は友達 ” ────などという夢物語の様な理想だけを掲げる無知な少年といった所だろう。
人の上に立つ者として、果たしてそんな理想論で、この厳しく残酷な世から人々を守り抜くことが出来るのか?
無理だろう?
ニコニコと笑いながら、心の中でそんな辛辣な言葉でアーサー様を責める。
古きを重んじ、今の世界に淘汰される存在になるか。
圧倒的な ” 力 ” を持って古きを抹消し、世界を変えるか。
どちらにせよ、上に立つ人間は、その重い重い選択肢を選んでいかなければならない責任が伴う。
それを全て選ばず ” 皆が一緒 ” などという理想思想で逃れようとすれば……なんのためらいもなく下を使って上にのし上がっていく ” 悪 ” に国は乗っ取られるだろう。
理想だけの思想は、 ” 悪 ” にとって、非常に利用しやすいモノだから。
どす黒く染まった心を完璧に隠し、満面の笑みを浮かべていたので、私の皮肉にも気付かないだろうと完璧に侮っていたのだが……アーサー様はまるで子供らしくない様子でフッと笑った。
「 ────いや?俺ほど人を選ぶ人はそうはいないだろうね。
時間は有限だ。
短い人生の中で、無駄だと思う人に俺の貴重な時間を与えるつもりはないよ。 」
ガラッと変わったその場の空気に、10歳の少年とは絶対に思えぬ威圧感にただよう威厳……。
私はそれに一瞬で飲まれ、反射的に跪く。
「 た、大変失礼いたしました!
しかし、それではなおの事、私などにアーサー様の貴重な時間を使わせるわけにはいきません。
今直ぐにでも別の者を用意致します故、しばしお待ちいただけませんか? 」
こんな廃籍が決まっている名ばかり王女などと関わるなど時間の無駄。
そんな事は誰が見ても明らかだったので、私は他の者を呼びつけるため踵を返したが……突然ぐい~っ!と服が引っ張られ、動きを止められる。
「 ……へっ?? 」
思わず素っ頓狂な声を上げて後ろを振り返ると、アーサー様が私の服を掴んでおり、また元の無邪気な子供の顔に戻っていた。
「 ん~??なぜフラン様との時間が無駄になるの?
君はとても不思議な事を言うね。 」
「 ……は、はぁ……?
い、いえ……それは当然の事かと……。
私はこの国で ” 名ばかり王女 ” という立ち位置にあります。
つまりもう間もなく王族ではなくなるという事です。
そんな者との時間は有意義な時間とは言えないでしょう。 」
淡々と事実を話したのだが、アーサー様はまた子供らしくない笑みを浮かべ、大きなため息をつく。
「 なるほどね。
フラン様は自分が王族でなくなるから、今度は俺と付き合う事はないと……そう言いたいわけか。 」
「 ……その通りでございます。
今後は大国の王族とただの平民のドワーフ族、この二点が交わることはありません。
それは、アルバード王国の王子であるならば、当たり前の事なのでは? 」
アルバード王国の王子が、国の ” 正しき ” とする価値観を堂々と破っては、周りはあっという間に敵だらけ。
ひいては、自分を支持してくれる者達をも危険に晒すという危ない行為である。
この程度の事で敵を作るなどあってはならない。
アーサー様は、私の話を最後までしっかり聞くと、突然パッ!!と服を掴んでいた手を離した。
そのせいでよろけてしまい、思わず膝を床につけてしまうと、アーサー様は両手を後ろに組み、また圧倒的なオーラを纏い、私を見下ろす。
絶対的な王者の風格。
私は立ち上がる事もできずに呆然とアーサー様を見上げた。
「 フラン様は俺の事をまだ知らないね。
さしずめ俺は ” 脳天気な理想だけを掲げる青二才 ” という所かな? 」
「 いっ、いえっ!!決してその様な事は……つ!! 」
内心冷や汗を掻きながら、そのままその場で頭を下げる。
気分を害してしまった!
大国のアルバード王国の王子を相手に!!
自分の失態を悔やみ、青ざめながら自分の無能さに涙が出そうになった。
私は満足に接待すらできない無能な名ばかり王女。
何もできない役立たずなのだ。
次から次へと私を罵る声は大きくなっていき、怒りと通り越すと、次第に自分はこんなにも無価値なのに生きているんだろう?と疑問に思う様になる。
こんな恥しか晒せぬ娘など、いるだけで国の汚点に……。
それならいっそ……自らの手で……!
その解決法の中で一番簡単な方法を思いつき、心はそこに向かって走り出そうとしたのだが…………突然アーサー様が私の手を引っ張り、それを止めた。
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