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第三十九章
1255 選んだ道
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( フラン )
それからアーサー様の滞在中、まるで ” 金魚の糞 ” だと陰口を叩かれながらも、私はアーサー様の後をついて回る。
そしてアーサー様の幅広い知識や、それを最大限に使って相手の世界と繋がっていく様を見て何度も目を剥いた。
まるで魔法みたいだ……。
ただただその手腕に感動しつつ、私はまるで水を得た魚の様に自分の知識と照らし合わせながら、多くの事を学んでいく。
そしてそんな充実した日々はあっという間に終わってしまい、アーサー様は我々にお礼を告げて自国へと帰っていった。
「 行ってしまわれたか……。 」
人生の中で言えば非常に短い時間。
なのに、ガラリと自分の世界が変わってしまったのが、心底不思議だと思った。
アーサー様はいなくなったが、アーサー様によって生み出された自分はここに新たに存在している。
なんだか初めて味わう不思議な気分だ。
そんな余韻に浸っていた私は、その直後に父であるレギン王に呼ばれ、王の謁見の間を訪れることになった。
直ぐに向かうと、そこには王座に座っている父と宰相であるソクスがいて、二人は跪く私を静かに見つめる。
「 どうだ?
・
アーサー殿は、お前に道を見せてくれたか? 」
突然の抽象的な質問に驚いたが、父の意図はとっくにお見通しだったため「 はい。 」と素直に頷く。
すると父は満足そうに頷いた。
「 アーサー殿はこれまでにない考え方を持った不思議なお方だ。
今までこの国を訪問した人族の中で、あの様なドワーフ族流の挨拶をするモノなどいなかっただろう?
以前【 五老会 】と共にアルバード王国を訪問した際も、アレをやられてな。
頭の堅い【 五老会 】の奴らは、それからアーサー殿にメロメロになってしまったよ。
自分たちの大事にしてきたモノを尊重されて、心の底から嬉しかったんだろうな。 」
父はその時の様子を思い出したのか、ククッと笑い、その後は私の目を痛いくらいまっすぐ見つめる。
「 たった一つの挨拶だけ。
そう言ってしまえばそれだけの事だが……その ” たったそれだけ ” をできる者は、この世界の中でとても少ない。
こんな簡単な事でも、沢山のモノが邪魔をして中々できないのだ。
それは勿論私にもある。 」
時代に淘汰されてしまったドワーフ流の挨拶。
過去より未来を見つめる若者たちにとって、それは見向きもされないモノであった。
新たに吹き荒れる時代の風は、古き文化や風習を、次々と吹き飛ばし消していく。
それは過去を生きた人々にとってとてもとても悲しい事であった。
未来を見つめる若者も、過去を大事に抱える先人達も、どちらも間違ってはいない。
それを【 五老会 】や古きを愛する貴族達も分かっているが、様々な感情から全てを受け入れる事はできない中、アーサー様が己の大事にしている過去を知り、そして大事に想ってくれた事がとても嬉しかったのだ。
自分を知ろうとしてくれた事。
知りたいと願い、その努力をしてくれた事。
人の心を動かすには、こんな些細な行動から始まるのだと、私は今回の事で学んだ。
そしてその行動を起こすためには沢山の ” 知識 ” が必要である事も……。
「 私は私なりのやり方で、今の世界と向き合っていきたいと思います。
そのための ” 力 ” は既にありますから。 」
今まで見せたことのない好戦的な目を父に向けると、ソクスは目を丸くし驚いていたが、父はしてやったりと言わんばかりに笑っていた。
自分を受け入れてくれぬ世界を恨み、知ろうとしなければ、永遠に孤独な世界で生きる事になる。
人は一人では生きていけないのは、今まで学んだ歴史の中でも、アーサー様と出会って答えを出した事からもよく分かっていた。
だから私はこの ” 力 ” を使って沢山の世界を見て、直接触れてみよう。
それによって自分が一体どこまで変わっていけるのか……とても楽しみだ!
私は好奇心と未来に対する希望を胸に、そのまま大きく一歩を踏み出した。
それから私は、今まではそこまで注目してなかった旧古代技術を徹底的に学び始め、それを今の技術と照らし合わせていった。
今の技術はその旧古代技術の上にあり、それを学ぶ者はもう殆どいなかったが、私はまだそれに改善の余地があると考えたからだ。
インスタント的に進化させただけでは、直ぐに限界に到達する。
だからこそそこを深く掘り下げる事で新たな技術を作り上げたいと、そう思ったのだ。
最初は ” 本食い虫姫の気まぐれ ” と思われていたが、必死に走り回っては、根気強く現場の様子を見に来る私に、次第に周りは心を開いていった。
自分の誇りと言える技術を興味を持って学ぼうとしてくれている。
それが嬉しかったのか、全員がとても協力的に色々な事を教えてくれた。
それからしばらくして、私はある画期的な技術の発明に成功する。
それが ” 仮想幻石の大幅な技術の向上 ” だ。
古き先人達が発明した最高傑作。
それを旧古代技術を更に進化させ、遥か高みへと導いた事に誰もが度肝を抜かれ、私に惜しみない拍手とリスペクトを贈ってくれた。
自分たちの大事にする古きを使い、更に未来を示す新たな技術の開発。
それに誰も文句や不満を述べる者達はおらず、もはやこの国に私を否定する者達はいなくなった。
” フラン王女を時代の王に!! ”
いつしか周りからはそんな声が聞こえる様になった頃、父は私を呼びつけ、静かに問う。
「 お前はこれからどう在りたい? 」
必死に前に進む事しか見ていなかった私に問われた、新たな課題。
だから私はその場で今までの事を振り返りながら考えた。
それからアーサー様の滞在中、まるで ” 金魚の糞 ” だと陰口を叩かれながらも、私はアーサー様の後をついて回る。
そしてアーサー様の幅広い知識や、それを最大限に使って相手の世界と繋がっていく様を見て何度も目を剥いた。
まるで魔法みたいだ……。
ただただその手腕に感動しつつ、私はまるで水を得た魚の様に自分の知識と照らし合わせながら、多くの事を学んでいく。
そしてそんな充実した日々はあっという間に終わってしまい、アーサー様は我々にお礼を告げて自国へと帰っていった。
「 行ってしまわれたか……。 」
人生の中で言えば非常に短い時間。
なのに、ガラリと自分の世界が変わってしまったのが、心底不思議だと思った。
アーサー様はいなくなったが、アーサー様によって生み出された自分はここに新たに存在している。
なんだか初めて味わう不思議な気分だ。
そんな余韻に浸っていた私は、その直後に父であるレギン王に呼ばれ、王の謁見の間を訪れることになった。
直ぐに向かうと、そこには王座に座っている父と宰相であるソクスがいて、二人は跪く私を静かに見つめる。
「 どうだ?
・
アーサー殿は、お前に道を見せてくれたか? 」
突然の抽象的な質問に驚いたが、父の意図はとっくにお見通しだったため「 はい。 」と素直に頷く。
すると父は満足そうに頷いた。
「 アーサー殿はこれまでにない考え方を持った不思議なお方だ。
今までこの国を訪問した人族の中で、あの様なドワーフ族流の挨拶をするモノなどいなかっただろう?
以前【 五老会 】と共にアルバード王国を訪問した際も、アレをやられてな。
頭の堅い【 五老会 】の奴らは、それからアーサー殿にメロメロになってしまったよ。
自分たちの大事にしてきたモノを尊重されて、心の底から嬉しかったんだろうな。 」
父はその時の様子を思い出したのか、ククッと笑い、その後は私の目を痛いくらいまっすぐ見つめる。
「 たった一つの挨拶だけ。
そう言ってしまえばそれだけの事だが……その ” たったそれだけ ” をできる者は、この世界の中でとても少ない。
こんな簡単な事でも、沢山のモノが邪魔をして中々できないのだ。
それは勿論私にもある。 」
時代に淘汰されてしまったドワーフ流の挨拶。
過去より未来を見つめる若者たちにとって、それは見向きもされないモノであった。
新たに吹き荒れる時代の風は、古き文化や風習を、次々と吹き飛ばし消していく。
それは過去を生きた人々にとってとてもとても悲しい事であった。
未来を見つめる若者も、過去を大事に抱える先人達も、どちらも間違ってはいない。
それを【 五老会 】や古きを愛する貴族達も分かっているが、様々な感情から全てを受け入れる事はできない中、アーサー様が己の大事にしている過去を知り、そして大事に想ってくれた事がとても嬉しかったのだ。
自分を知ろうとしてくれた事。
知りたいと願い、その努力をしてくれた事。
人の心を動かすには、こんな些細な行動から始まるのだと、私は今回の事で学んだ。
そしてその行動を起こすためには沢山の ” 知識 ” が必要である事も……。
「 私は私なりのやり方で、今の世界と向き合っていきたいと思います。
そのための ” 力 ” は既にありますから。 」
今まで見せたことのない好戦的な目を父に向けると、ソクスは目を丸くし驚いていたが、父はしてやったりと言わんばかりに笑っていた。
自分を受け入れてくれぬ世界を恨み、知ろうとしなければ、永遠に孤独な世界で生きる事になる。
人は一人では生きていけないのは、今まで学んだ歴史の中でも、アーサー様と出会って答えを出した事からもよく分かっていた。
だから私はこの ” 力 ” を使って沢山の世界を見て、直接触れてみよう。
それによって自分が一体どこまで変わっていけるのか……とても楽しみだ!
私は好奇心と未来に対する希望を胸に、そのまま大きく一歩を踏み出した。
それから私は、今まではそこまで注目してなかった旧古代技術を徹底的に学び始め、それを今の技術と照らし合わせていった。
今の技術はその旧古代技術の上にあり、それを学ぶ者はもう殆どいなかったが、私はまだそれに改善の余地があると考えたからだ。
インスタント的に進化させただけでは、直ぐに限界に到達する。
だからこそそこを深く掘り下げる事で新たな技術を作り上げたいと、そう思ったのだ。
最初は ” 本食い虫姫の気まぐれ ” と思われていたが、必死に走り回っては、根気強く現場の様子を見に来る私に、次第に周りは心を開いていった。
自分の誇りと言える技術を興味を持って学ぼうとしてくれている。
それが嬉しかったのか、全員がとても協力的に色々な事を教えてくれた。
それからしばらくして、私はある画期的な技術の発明に成功する。
それが ” 仮想幻石の大幅な技術の向上 ” だ。
古き先人達が発明した最高傑作。
それを旧古代技術を更に進化させ、遥か高みへと導いた事に誰もが度肝を抜かれ、私に惜しみない拍手とリスペクトを贈ってくれた。
自分たちの大事にする古きを使い、更に未来を示す新たな技術の開発。
それに誰も文句や不満を述べる者達はおらず、もはやこの国に私を否定する者達はいなくなった。
” フラン王女を時代の王に!! ”
いつしか周りからはそんな声が聞こえる様になった頃、父は私を呼びつけ、静かに問う。
「 お前はこれからどう在りたい? 」
必死に前に進む事しか見ていなかった私に問われた、新たな課題。
だから私はその場で今までの事を振り返りながら考えた。
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