【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十一章

1309 最初に学んだ事

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( ユーリス )

上級資質、しかもレアな部類に入る資質に、鑑定してくれた神官達も同級生達も一斉におめでとう!と言ってくれたが、俺はお礼もそこそこに走り出す。


そして孤児院の自室へ駆け込むと、纏めておいた荷物を持って直ぐに王都へ向かう馬車へと乗り込んだ。


向かうは第二騎士団の本部。


そこで入団試験を受けるために、俺は最短のルートでそこに向かう事を決めていたため事前にお別れも済ませていたのだ。


いくら上級資質持ちとはいえ、実力無き者を第二騎士団は入団させてくれない。

だか、俺は自分の今までしてきた努力を振り返り、落ちたって何度でも何度でも挑戦してやると誓う。


俺が幸せになるには強くならないとだめだから。

騎士団はそれを最短ルートで叶えてくれる道だと確信していた。


そうして入団試験の場に立った俺は、やはりというか最年少の受験生の様で、周りは確かな実力を持った大人の男性ばかり。

中には冷やかしのように馬鹿にしてくる奴らもいたが、完璧に無視して試験開始を待った。


するとしばらくして、始めの団長挨拶として出てきた人物は、あの時助けてくれた男、ドノバンさんで、俺の姿を見つけると少々驚いた顔をする。


もしかして覚えていてくれたのだろうか?


少しだけ嬉しいと感じている俺を見て、ドノバンさんはニヤッと笑ってから用意されていた壇上に立った。


「 初めまして~。第二騎士団団長のドノバンで~す。

まぁうだうだと騎士団の決まり事を説明しても時間の無駄だから以下省略。

簡潔に言うと、騎士団はキツくて命がけの仕事で~す。


────だが、それでもここに来たのは、それぞれ抱えている想いがあるってことだろう。

流されて大人しくしていれば、それなりにいい人生で生きられる奴らばっかりだっつーのに。 」


ここでドノバンさんはもう一度チラッと俺の方を見る。


確かに俺の能力は流されて幸せに生きていくのに最適なモノだった。


人を陥れては ” 得 ” を得て、それに対して罪悪感や他の負の感情は何も心に残さない。


それでも────俺は……。


グッと拳を握りしっかり見つめ返す俺を見て、ドノバンさんはフッと笑いながら視線を逸らした。


「 第二騎士団の騎士たちは、幸せに貪欲な奴らしかいねぇ。

この理不尽ばかりの世の中で、己の正義を突き通したいっていう幸せのために命を掛けるクレイジーな奴らだ。


自分の幸せのために戦え。

それができるやつなら……きっとここは楽しいぜ!


じゃっ!頑張れよ~! 」


ドノバンさんのだいぶ簡単で単純な挨拶に、受験生達はポカンとしていたが、俺の心には闘志の炎がメラメラと燃える。


俺はここで世界一の幸せを手に入れてやる。

この新しく手にいれた力で。



< 審裁官の資質 >( 特殊ユニークスキル )

< 正義審心 >

自身の力量、現状を瞬時に把握し、もっともBESTである選択を常に出し続ける事ができる

更に自身の感情ゲージにより、好きな選択を取るか選ぶ事ができるが、感情ゲージとその選択肢を取るための実力がそれに達しない場合、スキル< 審定精神 >の支配を受けてしまう

更にその行動が ” 善 ” に分類される事なら、ステータス値は大UPし、逆に ” 悪 ” である場合、ステータスは大DOWNする

(発現条件) 

一定以上のステータス値を持つ事

一定回数以上スキル< 審定精神 >の支配に抗う事

一定以上の正義、精神耐性値、愛情を受けた記憶を持ち、更に精神汚染度が一定以下である事




俺はもう、あの時の様に何もできずにただ見ているだけの子供じゃない。


何度も何度も俺は自分のスキルに抗って抗って抗って……この力を手に入れた。


「 俺が目指すのは世界一幸せな男だ。

だからこんな事でつまずくわけにはいかない。 」


俺を見て馬鹿にしてくる他の受験者の横を颯爽と通り抜け、俺は用意されたリングへと上がる。


入団試験は至ってシンプルでトーナメント式。

受験生同士の実戦で自分の実力を示せばいい。

ニヤニヤと笑いながら俺に向かって剣を振る輩達を────俺は圧倒的なパワーを持ってぶっ倒してやった。


「「「「 ────────えっ?? 」」」」


ポカーンと、空を飛ぶ俺がぶっ飛ばした受験生達を見上げる他の受験生達と騎士団員達の中で……ドノバンさんだけは腹を抱えて大笑いしてる。


見てろよ。


不敵に笑って俺は次々と受験生達を倒していき、とうとう立っているのは俺だけになった。

俺が受験生の中でダントツのNo. 1。

その瞬間、俺は晴れて第二騎士団の見習い騎士団員になったのだった。


「 ……やったよ。父さん、母さん。 」


一人立っているリングの上で空を見上げてボソッと告げた。


自分の力が認められて嬉しい。

でも、これが終わりではないことも知っていたため、きっとこれから険しい山あり谷ありの難解な依頼に悩み抜く日々に────……と思っていたのはここまで。


最初に叩き込まれたのは、モンスターの脅威でもこの世の理不尽さでも人の醜悪さでもない。


” おじさん ” という生物の呪い並みの厄介さであった。
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