【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十一章

1311 聖魔術士団

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( ユーリス )


「 混乱に乗じて敵を討つ!!

体力を無駄にしないため、ある程度の攻撃は受けて跳ね返せ!! 」


「「「「 おおおおおおっ────!!!! 」」」」


俺の指示を受けた団員達は直ぐに動き出し、最前線に立っている盾班の直ぐ後ろ、前衛攻撃班も前へ大きく出る。

そして縦に並ぶ陣形をとって、交代交代で戦い始めた。


これなら防御力の高い盾班が攻撃を受けてはカウンターで返し、その後攻撃班が高火力攻撃でトドメを刺すという効率が良い戦いが可能。

交代制にする事で適度に休みが取れ、けが人のリスクは大幅に減ってくれるというわけだ。


これは混戦が多い第二騎士団オリジナルの戦術で、これなら長期戦にてその成果を発揮してくれる。


「 流石、第二騎士団は戦いなれてんな~。

俺達もせっかくのスキルだ。

最大限使わせてもらうぜ。 」


ケンさんは即座に俺の戦術を見抜き、前衛攻撃班を前へ。

騎士団に混じってその戦術をあっという間に再現してみせた。


グリモアも広大な森に凶暴化しているモンスターとダンジョンが多いせいか、長期戦ならスペシャリスト。

即座に対応してしまう実力は流石といえる。


「 第二騎士団は混戦が多いので。

それにしても流石はグリモアの守備隊ですね。お見事。 」


「 あんがとよ。

あんたのスキルありきの戦術だから今回限りだが、助かる。

致命傷を受けるまで持続するスキルなんざ、敵だったらおっかね~スキルだな、こりゃ。 」


「 さしずめ、簡易的な< 仮想幻石 >って所ですね。

これは凄い。 」


鼻歌を歌いそうなくらい上機嫌でお礼を言ってくるケンさんの横で、マルクさんも驚きながらそう頷く。


俺はニコッと笑って返事を返したのだが……それと同時に上層部の連中への怒りが込み上げてくるのを感じた。


「 < 仮想幻石 >があれば戦いがもっと楽になったのですが……あれは厳重な王宮管理品の一つですから。

申請許可がおりなければ使えない。

更に使用する特殊結界も秘匿とされている上、時間も掛かるので、現状使う事はできないでしょう。

それに────……。 」


ハァ……と大きなため息をついた俺をみて、ケンさん達は大体の事情を把握したらしい。

まるで釣られる様に、二人も同様にため息をついた。


現在王宮管理品の管理者はメルンブルク家のカール。

それを使用するためにはカールの承認と、プラスして官僚のトップ達の許可が必要となる。


勿論その官僚達は全員エドワード派閥であるため、難癖をつけては許可を降ろさず、第二騎士団は何度窮地に立たされたことか。


イライラが最高潮に達するその前に、俺のスキルが精神を鎮めてくれる。


「 まあ、奴らは意地でも使わせてくれないだろうよ。

多分、今頃官僚の内の一人や二人は既に消されてるんじゃね?

そしたら自然な形で許可を出せなくなるもんな。

消されちまった奴らは自業自得だから別にいいけどよ、俺達みたいな善良な一般戦闘員にとっちゃ~迷惑な話だ。 」


「 その通りですよ。一人、この事件の数日前に行方不明になった官僚の男がいます。

恐らくもう命はないでしょうね。
   
随分と働いていた人でしたが……。 」


毎度お馴染みの分かりやすいやり方にヘドが出そうになって、何度か深呼吸すると、ドノバンさんはグリモアを囲む防壁の上の方を見上げた。


「 ……それに、既にこちらから ” 道 ” を作る事ができなくなってるっぽいな。

どうせ賢者の称号を持つ< フローズ >と【 聖魔術士団 】辺りがやったんだろうよ。


あのクソ女。

これでグリモアへ向かう事はできても出る事ができねぇってこった。


マジで準備満タンすぎんだろ。 」



【 聖魔術士団 】は、賢者< フローズ >が団長を務めるメルンブルク家が独自に、王宮に置いている戦力だ。

名目上は王宮を襲い来る敵を王宮騎士と共に排除する事を任務とした魔法特化の戦闘機関が────裏ではエドワードとカールに味方するクソ集団で、完全に私的利用されていると言っても過言はない。

しかし、魔術という点で特異性を持っている【 聖魔術士団 】の証拠を捉える事は非常に困難で、現在まで野放し状態になっているのだ。


「 ……悪の本体を叩く事の難しさを痛感しますよ。

こうしていらないものから順番にあっさり切り捨てて逃げてしまうから。 」


中々うまくいかない現実にイライラと怒りがまたこみ上げる。


切り捨てる事で更に力をつけて報復をと考えられては困るため、メルンブルク家とエドワード様は、必ずその命を奪う。

自分たちが一番得する最高のタイミングで。


しかしそんな事を続ければ、彼らを指導する者達はいなくなるのでは?……と思うが、実際はそうはならない。


それだけ彼らの仲間になることで得るモノは大きく、更にメルンブルク家は揃いも揃って、そんな強欲まみれの者達を操るのが抜群に上手かった。


” 貴方だけは特別 ”


そんな言葉を囁き思い込ませる術に長け、だからこそ切り捨てられる仲間たちを見ても────……。


” あいつは切り捨てられたが、自分は特別だから大丈夫 ” 


そんな根拠のない自信を持っていて、大きな優越感という快感を得ている様だ。

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