【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十二章

1335 会いたかった

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( ライキー )

” 話し合えば人は必ず分かり合う事ができる。 ”

突然よく聞くそんな言葉が頭の中を過ったが……両親を見てフッと思う。


” 永遠に広がる砂漠の中、落ちている小さな小さなキノコって見つかるのかな? ” って。


きっとその答えは ” いつか見つかる ”

ただし、その ” いつか ” は誰にも分からないし、その探す時間を裂く価値が、果たしてそのキノコにあるかどうかは……自分で慎重に答えを出さないといけない事なのだと思った。


一番良いのは、そもそもそのキノコを落とす前に気づく事。

そして気づくのが早ければ早いほどいい。

時間が経てば経つほど────────……。



それは絶対に見つからないから。



「 ……分かったよ。

じゃあ、とりあえずこの子は僕の方で預かるね。 」


探す事を即座に諦めた僕は、直ぐに少女の保護を優先する事にした。

そうして少女の身柄を預かり洗脳に近い事をするであろう両親からその子を引き離すと、勿論楽しいおもちゃを取られてしまった両親は、それに文句を言ったが僕は笑顔でそれに答える。


「 それは僕が教えるよ。
       
だって母さんは色々と忙しいだろう? 

それに父さんだって当主として沢山の場に行かないと行けないし、躾けくらい役立たずの僕にやらせてよ。 」


遊びに忙しい二人にそう言ってやれば納得したのか、少女の事と家の仕事を放置したまま、遊び呆けて家に帰ってこない日々が続くようになった。


これは好都合。

直ぐに僕は少女を自分の部屋に匿い、自分はキノコ畑に泊まり込む日々を送る。


その間、あーちゃんには家がごたついている事を知らせ、会うことを一時的に止めざるを得ない状況になってしまった。


早く解決してあーちゃんに会いたいな……。


そう思っているのに、一向にこの問題を解決してくれる方法が見つからず焦りだけ募っていく。

もし僕が何か下手な事をしてしまえば、婚約者として連れてこられた少女の未来は潰され、更に妹のレナも無茶な事をさせられてしまう。

毎日頭を抱えながら、頭の中はあーちゃんの事で一杯であった。


会いたい。 

あーちゃん、あーちゃん……。


強くなっていく想いを抱え、それが一杯になった時──────僕は、フッと思った。


貴族にとって結婚は家と家を繋ぐモノ。

それは税を収めて暮らしている人々の生活を守るために絶対に果たさないといけない義務だ。

それはつまり────……。


平民のあーちゃんとは、いつか必ず終わりが訪れるという事だ。


すぐ近くにあった恐ろしい未来に、ゾッ!!と背筋が凍り、恐怖でガタガタと体が震えた。


どんなに愛し合っていても、貴族でこの家に縛られている僕と平民のあーちゃんの道は必ず別れる。

そして別々の未来を歩いていかなければならないのだ。

それを理解すると、僕は足元から崩れ落ち、絶望に打ちひしがれた。


「 僕たちの未来は……絶対に交わる事がないんだね、あーちゃん。 」


それに気づくと泣いて泣いて泣いて……最終的に僕は一つの答えを出す。


あーちゃんとお別れしよう。


自分の幸せのために、愛する人を未来のない関係に縛りつけてはダメだ。


ましてや、あの両親はこの先もずっと僕の人生について周り、いつかきっとあーちゃんにも何かしでかすに違いない。


仮に僕が全てを捨ててあーちゃんと逃げても……その分のしわ寄せはレナへ。

そして婚約者として連れてこられた少女の家や、他の沢山の人たちが巻き込まれて不幸になってしまう。


人の不幸の上に立って見る幸せの情景を……僕は美しいと思えなかった。

そしてそれは────あーちゃんも一緒だった様だ。


お別れしようと決意して直ぐに、ずっと会うのを控えていたあーちゃんから ” 今直ぐ会いたい ” と連絡がくる。

ズルい僕は駄目だと分かっていても、自分の気持ちを優先して走り出し、直ぐに指定された宿屋へと飛んでいった。


あーちゃん!

あーちゃん!


心の中であーちゃんの名前を呼びながらドアを叩くと、あーちゃんは直ぐにドアを開けてくれて……僕はあーちゃんを強く抱きしめる。


「 あーちゃん、あーちゃん、会いたかった! 」


情けなくもグスグス泣きながらそう訴える僕を、あーちゃんは仕方ないなと言わんばかりに落ち着くまで背中を擦ってくれた。

久しぶりに会えたというのに、僕ってなんてカッコ悪いんだろう!

落ちくとすごく恥ずかしくなってきて、僕はあーちゃんを抱きしめたまま「 こんな何もできない役立たずでごめん。 」と謝罪する。

するとあーちゃんは何故か吹き出してしまい、そのまま大笑い!

キョトンとする僕を見上げて嬉しそうに言った。


「 ライは、いつもそれを口癖の様に言うけどさ~本気でそう思ってんのか? 」


” 役立たず ” は生まれつき。

僕は誰一人助けることができず、そしてそれは今も続いていることは間違いない。


そのため僕は迷わず頷くと、あーちゃんは僕の体を強く抱きしめた。

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