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第四十三章
1373 【 七星昇華陣 】
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( アゼリア )
やつの喉の奥に、小さな丸い透明な膜の様な物に包まれている物体……それは大きな目玉に小さな体と手足がついている、胎児の様な姿をしているモノであった。
それが一瞬、またすぐに閉じられてしまった口の奥に見えたため、それを伝えると────ドルトン様は目を見開き、ニヤッ……と笑う。
「 お手柄だな、アゼリアっ!
恐らくそれがヤツの本体……瘴核だ。
いい目を持っているな。 」
「 瘴核……?あれが……? 」
初めて見る形の ” 瘴核 ”
つまりそれを潰せば……私達の勝ちだ!
「 レイモンド家のアゼリア様が< ヒャクメ・カオス >の瘴核を発見しました!!
口の奥!!胎児の様な姿をしている模様!! 」
解析班から全員に情報を伝達すると、またワッ!と歓声が上がるも、全員がそれを破壊する事の難しさを痛感し汗を掻く。
モンスターの弱点 ” 瘴核 ” は発見できた。
しかし……問題はどうやって全属性の耐防御結界を突破し、瘴核を破壊するか?だ。
それが最大の課題、かつ不可能である事を同時に悟る。
「 ────クソっ……。弱点が分かっても、あの防御結界がある限り、奴を倒す事は……。 」
クラークが悔しげにそう言い、私も同様の気持ちを持って沈黙した。
《 ががががぎゃぎゃぎゃっギャッ!!! 》
< ヒャクメカオス >はまるであざ笑うかの様に大声で鳴きながら、何百にもある魔法陣を出現させると、無差別に多属性魔法弾を撃ってくる。
するとドルトン様は向かってくるそれを拳で撃ち落としながら、同じくそれぞれの魔法で対応している四柱達と目を合わせ頷き合う。
その後、ドルトン様が私とクラークの方に視線を向けてきたのだが、なんだかその顔がすごく晴れやかで……嫌な予感がした。
「 ” 戦いの中で命を散らす事。”
それは戦いを生業にする者たちにとって、最も幸せな事だと思っていたが……そうではなかったらしい。
それを幸せだと言えるのは、自分の ” 死 ” が無駄ではなかったからだ。
自分という存在がいなくなっても、未来を進んでいってくれる存在が……希望があるから幸せだと言えるのだと、私は学んだ。 」
「 ドルトン様……?一体何を……? 」
戦いの最中に、突然語りだすドルトン様を訝しげに見つめるクラーク。
多分私も同じ表情をしていたのだと思う。
ドルトン様は私とクラークの両方の顔を見比べてフッと静かに笑った。
「 ただ自分の誇りを守るため、自死を選んだ所で何一つ ” それ ” は手に入らなかっただろうな……。
過去は未来のためにある。
過去はとても大事なモノだが……そのために未来を犠牲にしては、先は ” 絶望 ” しか残らない。
だから私は、これから ” 希望 ” を持って、未来を選ぼうと思う。
────四柱、すまんな。覚悟はいいか? 」
呼びかけられた四柱は、他の私兵達と共に< ヒャクメ・カオス >の相手をしながらも、迷う事なく「「「「 はっ! 」」」」と返事を返す。
それをしかと聞いたドルトン様は、頷きそのまま魔力を一気に放出すると、宙に見たことのないくらい複雑な文字が書かれた魔法陣が描かれた。
真っ赤な文字で描かれたそれは、禍々しい魔力を放ち、黒い稲妻の様なモノがバチバチと魔法陣の周りを走っている。
一体なんの魔法を使うおつもりか?
「 おい、クラーク。これは一体……? 」
私が問いかけるが、クラークは真っ青になっていてそれに答えない。
嫌な予感は加速しドルトン様を見上げると、ドルトン様は迷いない目で告げた。
「 これより四柱と共に、レイモンド家の秘術【 七星昇華陣 】を使って、ヤツの防御結界を打ち破る!!
皆のもの、その後は頼んだぞ!! 」
「 し……【 七星昇華陣 】……だと……?
これが……? 」
幼い頃にボンヤリと聞いた覚えがあるその名に、ゾッと背筋を凍らせる。
【 七星昇華陣 】は、魔法の名家であるレイモンド家が独自に創り上げた秘術で、魔法というカテゴリーでいえば最強であると言われている大魔法を使う事ができる。
通常【 火 】【 水 】【 風 】【 土 】【 雷 】【 闇 】【 光 】の7つの属性を使う魔法だが、その【 七星昇華陣 】は、属性というモノを持たない。
つまりどういう事かというと、” 属性を持った魔法を使う ” のではなく、” 魔力というモノそのものを《 分解 》する ” ……というのが正しい魔法なのだ。
まさに魔法の頂点と言える大魔法なのだが…………勿論その力の ” 代償 ” はある。
「 ドルトン様……死ぬ気だ。 」
クラークが、青ざめた顔色のままボソッと呟き沈痛な面持ちで下を向く。
それに釣られる様に、私も同じく視線を下げて悔しさと虚しさに耐えた。
やつの喉の奥に、小さな丸い透明な膜の様な物に包まれている物体……それは大きな目玉に小さな体と手足がついている、胎児の様な姿をしているモノであった。
それが一瞬、またすぐに閉じられてしまった口の奥に見えたため、それを伝えると────ドルトン様は目を見開き、ニヤッ……と笑う。
「 お手柄だな、アゼリアっ!
恐らくそれがヤツの本体……瘴核だ。
いい目を持っているな。 」
「 瘴核……?あれが……? 」
初めて見る形の ” 瘴核 ”
つまりそれを潰せば……私達の勝ちだ!
「 レイモンド家のアゼリア様が< ヒャクメ・カオス >の瘴核を発見しました!!
口の奥!!胎児の様な姿をしている模様!! 」
解析班から全員に情報を伝達すると、またワッ!と歓声が上がるも、全員がそれを破壊する事の難しさを痛感し汗を掻く。
モンスターの弱点 ” 瘴核 ” は発見できた。
しかし……問題はどうやって全属性の耐防御結界を突破し、瘴核を破壊するか?だ。
それが最大の課題、かつ不可能である事を同時に悟る。
「 ────クソっ……。弱点が分かっても、あの防御結界がある限り、奴を倒す事は……。 」
クラークが悔しげにそう言い、私も同様の気持ちを持って沈黙した。
《 ががががぎゃぎゃぎゃっギャッ!!! 》
< ヒャクメカオス >はまるであざ笑うかの様に大声で鳴きながら、何百にもある魔法陣を出現させると、無差別に多属性魔法弾を撃ってくる。
するとドルトン様は向かってくるそれを拳で撃ち落としながら、同じくそれぞれの魔法で対応している四柱達と目を合わせ頷き合う。
その後、ドルトン様が私とクラークの方に視線を向けてきたのだが、なんだかその顔がすごく晴れやかで……嫌な予感がした。
「 ” 戦いの中で命を散らす事。”
それは戦いを生業にする者たちにとって、最も幸せな事だと思っていたが……そうではなかったらしい。
それを幸せだと言えるのは、自分の ” 死 ” が無駄ではなかったからだ。
自分という存在がいなくなっても、未来を進んでいってくれる存在が……希望があるから幸せだと言えるのだと、私は学んだ。 」
「 ドルトン様……?一体何を……? 」
戦いの最中に、突然語りだすドルトン様を訝しげに見つめるクラーク。
多分私も同じ表情をしていたのだと思う。
ドルトン様は私とクラークの両方の顔を見比べてフッと静かに笑った。
「 ただ自分の誇りを守るため、自死を選んだ所で何一つ ” それ ” は手に入らなかっただろうな……。
過去は未来のためにある。
過去はとても大事なモノだが……そのために未来を犠牲にしては、先は ” 絶望 ” しか残らない。
だから私は、これから ” 希望 ” を持って、未来を選ぼうと思う。
────四柱、すまんな。覚悟はいいか? 」
呼びかけられた四柱は、他の私兵達と共に< ヒャクメ・カオス >の相手をしながらも、迷う事なく「「「「 はっ! 」」」」と返事を返す。
それをしかと聞いたドルトン様は、頷きそのまま魔力を一気に放出すると、宙に見たことのないくらい複雑な文字が書かれた魔法陣が描かれた。
真っ赤な文字で描かれたそれは、禍々しい魔力を放ち、黒い稲妻の様なモノがバチバチと魔法陣の周りを走っている。
一体なんの魔法を使うおつもりか?
「 おい、クラーク。これは一体……? 」
私が問いかけるが、クラークは真っ青になっていてそれに答えない。
嫌な予感は加速しドルトン様を見上げると、ドルトン様は迷いない目で告げた。
「 これより四柱と共に、レイモンド家の秘術【 七星昇華陣 】を使って、ヤツの防御結界を打ち破る!!
皆のもの、その後は頼んだぞ!! 」
「 し……【 七星昇華陣 】……だと……?
これが……? 」
幼い頃にボンヤリと聞いた覚えがあるその名に、ゾッと背筋を凍らせる。
【 七星昇華陣 】は、魔法の名家であるレイモンド家が独自に創り上げた秘術で、魔法というカテゴリーでいえば最強であると言われている大魔法を使う事ができる。
通常【 火 】【 水 】【 風 】【 土 】【 雷 】【 闇 】【 光 】の7つの属性を使う魔法だが、その【 七星昇華陣 】は、属性というモノを持たない。
つまりどういう事かというと、” 属性を持った魔法を使う ” のではなく、” 魔力というモノそのものを《 分解 》する ” ……というのが正しい魔法なのだ。
まさに魔法の頂点と言える大魔法なのだが…………勿論その力の ” 代償 ” はある。
「 ドルトン様……死ぬ気だ。 」
クラークが、青ざめた顔色のままボソッと呟き沈痛な面持ちで下を向く。
それに釣られる様に、私も同じく視線を下げて悔しさと虚しさに耐えた。
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