【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
1,405 / 1,649
第四十四章

1389 ジョロウ・キングの正体

しおりを挟む
( マービン )

それを見た蜘蛛は、最後の力を振り絞って自身の手を必死に伸ばし────……と、そこで映像はプッツリと切れてしまった。



< 特殊系混合スキル >

< 竜の見る世界の断片 >

竜種と ” 約束 ” し、一定以上の絆値がある場合に、ランダム発動する特殊系スキル

精神世界にある記憶の欠片を断片的に見る事ができるが、その時間軸や見える映像はランダムでしか見ることはできない




「 まさか……あの小さな蜘蛛が、竜の力を取り入れたのか……? 」


突然横から父がそう呟き、俺が見た映像が父にも見えていた事を知った。

するとヴィーが更にとんでもない事を言う。


《 ダリオスの言う通り。

本来竜の血肉は、他の生物にとって劇薬になるはずなんだけど……どうやら映像にいた小さい蜘蛛はユニークな能力を持っていたみたいだね。 》


「 ユニークな能力……。

────ユニークモンスターか。 」


ヴィーは俺の答えを聞いて、コクリと大きく頷いた。


《 ユニークモンスターは、特殊な能力を持っているから、条件が整うととんでもない存在に化けるんだ。

あの小さい蜘蛛の能力は『 暴食の狩人 』

同じユニークモンスターの僕にはそれが見えたよ。

どうも状況的に、食した獲物の能力を取り入れる能力なんじゃないかと思うけど……。 》


ヴィーは、その腐った竜を食べる所を想像したのか、おえぇぇ~!と吐きそうな仕草をする。

俺も同じく非常に気分が悪くなってしまったが……これで合点がいった。


「 なるほど……。あの小さい蜘蛛が本来のアイツの姿。

だから瘴核があの巨大な体躯に比べて小さいのか……。

あんな小さい蜘蛛の瘴核なんて、それこそ小指の爪より小さそうだ。 」


そしてそれを沢山の蠢く部品達が盾となって隠していると……そういう事だ。

思わず舌打ちが漏れてしまい、< ジョロウ・キング >を睨みつけると、奴は大きく羽をバタつかせて、風を凝縮させた攻撃をこちらへ仕掛けてきたが、風ならヴィーの得意技。

口を大きく膨らませ、その風の凝縮された風の攻撃を吹き飛ばす。


すると< ジョロウ・キング >は、さきほどよりも巨大な風の固まりを形成し、それをこちらに向かって放ってきたが、俺は鼻で笑った。


「 ライロンド家の次期当主が、下の者たちより早く諦めるわけにはいかないな。

ヴィー、行くぞ。 」


《 はいはい。 》


呆れた様子で返事を返してきたヴィーだったが、直ぐにブワッ!と魔力を流し込んでくれて、お互いの魔力が混ざり合う感覚を感じた。

そしてその魔力は身体の外に溢れ出し、だんだんとその姿を変えていく。


自分の思い描く武器をパートナーと創り出す。

それを変わっていく魔力の形と共に、頭の中に描いた。


竜種と ” 約束 ” し、一定以上の絆を得た事で始めて使えるこのスキルは、自分とパートナーである竜種と共に創り上げる、心の形だ。


父の持っている巨大ランスも同じスキルで作り出したモノで、多分父は、自分の心を殺そうとする母とそれに逆らえない自分を ” 倒したい ” と願い、火力特化のその武器を創り出したのだと思う。


じゃあ俺は────?

俺はどんな ” 力 ” を望むのか?


その答えは自分の心のなかにある。


沢山の思い出達が頭を過ぎ去っていく中で、最後に見えたのは、俺を叩きのめしたリーフ様の姿であった。


言い訳ができないくらいボコボコにされて倒れ込んでいる所に、突然リーフ様は天を指し、毎度おなじみ、理由のわからない事を言い出す。


” 俺は肉も魚も野菜も大好き!!

何か一つだけ食べたらバランスが悪~い!! ”


” …………。 ”


敗者に弁なし……。

それを知っているため、ブスッ!としながらその意味不明な言葉を聞いていたのだが、リーフ様はまるで、駄々をこねる子供を見る様な目で俺を見てビシッ!と俺を指差した。


” 人生は欲張ってナンボ!

全部あった方が嬉しい、楽しい!

だから、マービン君は欲張って人生を生きていくといいよ!楽しいからさ。 ”



「 俺はこれから、欲張って沢山を手に入れる。

空っぽは悲しいし、楽しくないから。 」


ニヤっと不敵に笑うと、カッ!という強い光と共に、俺の理想の武器が姿を現した。


【 空っぽの王様 】は、とても強欲な王。

でも……強欲な事自体が悪いわけではない。


悪いのはやり方で、人を犠牲にして飲み込んでも、永遠に心が満足することはないという事だ。

常に強欲に……努力し手を伸ばした先にこそ、自分の中身を埋めるモノがある。


” 人生は強欲に! ”


俺はそれに従って、沢山の世界を見て回るのだ。これから……大事な人達と共に。


俺の脳裏にはグリムやスワン、パートナーとなってくれたヴィー。

共に戦う仲間たちや、憎たらしいリーフ様が思い浮かび……そんな心が具現化した武器をしっかりと握りしめた。


右手には攻撃特化の巨大ランス。

左手には守備特化の大盾。


攻撃、守備、両方に特化したこの武器は、まさに強欲な俺にこそふさわしい武器だ。

しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

腐男子♥異世界転生

よしの こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。 目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。 トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、Caitaさん、PIXIVさんでも掲載しています。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

処理中です...