【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十五章

1418 ふざけるな!

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( ジャリー )


進め……。


進め、進め、進め……!


そう強く叩きつける様な声が頭の中に大きく聞こえて……でもそれはゴミ箱へじゃない。



私の進むべき場所は────……!!!



「 ────チッ!!何止まってんだよ、グズ!!

ブスでグズとかほんとに終わってんな!!

早く行け!!この役立たずのゴミ女が!!! 」


動かない私に苛ついた男が、そう怒鳴ってきたが、私はそいつを睨みつけ大声で叫んだ。


「 ふっざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ────────────!!!!!! 」


今まで出した事がないくらいの大音量の叫び。

誰もが驚き、ビクッ!!!と体を震わせる中……私の叫びは止まらない。


「 ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなっ!!!!

お前たちが勝手に ” 人 ” の価値を決めるなぁぁぁぁっ!!!!! 」


あまりにも大きな声だったため、誰かに気づかれる事を恐れたらしいリーダーっぽい男が、慌てて私の腹を蹴り上げ黙らせる。


「 ────っ!!がっ……はっ……!! 」


初めて味わう息が止まる程の強烈な痛みにうめき声が漏れ、一度浮き上がった体は重力に引っ張られて地面に叩きつけられた。


「 ~……っぐぅぅぅ……。 」


二重に味わわされた痛みに動けない私を、怒りの形相で睨みつけた男は、私の背中を踏みつける。

そして、更に頭を蹴飛ばそうとしたが、同乗していた他の仲間たちによって止められた。


「 おい、やべぇって……。流石に子殺しは……。 」

「 そ、そうっすよ。イシュル神なんざ俺も信じちゃいねぇっすけど、流石に殺しはまずいですって~。 」


仲間たちの宥める言葉に、男はカッカッしながらも一応クールダウンした様だ。

引いていた足を下ろすと、そのまま地面を蹴って私に泥を掛けてきた。


「 手間かけさせんじゃねぇよっ!!一番価値のねぇクズ商品がっ!! 」


激しい怒気を含ませた怒鳴り声に、周りでそれを見ていた同期達はビクッ!!と震えた様だが……私はその恐怖が逆にパワーに変わっていくのを感じた。

だから、痛む体を必死に動かし立ち上がる。


「 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ────────!!!!!! 」


私は叫びながら走り出し、渾身の力で男にタックルをした。


「 ────っ?!!なっ!! 」


男は戸惑いながらも踏ん張り、体にそのまましがみついた私を引き離そうと私の頭に手を伸ばす。

それに気付いた私は────……その手の指に噛みついてやった。


「 ぎゃあああああぁぁぁぁぁ!!!!! 」


指がちぎれる程の強さで噛みつかれ、男は絶叫を上げるが、私は離さない!!


「 こっ……このゴミがぁぁぁぁぁ────!!!! 」


男は指に噛みついている私を殴り、蹴り、地面に叩きつけ……なんとか離そうとするが、それ以上の強さで噛み続けた。


痛い……苦しい……熱い……。


自分の口の中の鉄の味が男の指からの出血によるものなのか、それとも自分が吐き出したモノなのかもはや分からない。

ただ分かっていたのは、体の痛みと比例する様に以前からたまに感じていたビリビリしたか体に走る感覚がどんどん強くなっていく事だった。

そしてそれはとうとう抑えきれなくなってパァ────ンッ!!!と大きく体の中で弾けると、それが外へと勢いよく飛び出していく。


私はここで叫んでいる!!

抗っている!!

戦っている!!!

私は……己の全力を使って、この世界に初めて産声を上げたのだ!!


この行動は、私にとって、とてもとても価値がある事。


初めて自分に価値があると思えた。

初めて自分が好きになれた。


痛みで飛びそうになる意識の中、自分が出した答えは────……。


” 自分の価値は自分で決めるべきだ ” という事だ。


人から与えられる言葉達は、そのまま自分の評価ではない。

そんなモノは、自分で自分の価値を決める時の道具でしか過ぎない。


誰がなんと言おうと今の私には価値がある。

こんなクソみたいなクズ野郎共に屈しない自分は……最高に価値がある人間だろう?


────グッ!!

更に噛む力を強くしてやると、男は大きく顔を歪めて更に激しく私の顔や体を殴った。


ボロボロになっていく体、尽きようとしている命……それでも、それに反比例する形で心は生き生きと輝き出す。


このままずっと戦ってやる!!


そう思ったが……とうとう体の方に限界がきたらしい。

男の指が切断される寸前、私の体からは力が抜けてしまい、そのまま男の拳によって思い切りふっとばされてしまった。


「 ~~~っ!!!!あ”あ”あ”あ”あ”あ”────!!!! 」


男が血がボタボタと流れる手を押さえ、痛みに喘ぐ。

そしてフゥフゥと痛みを逃がすために短い息を吐き出しながら、私に怒りで大きく歪んだ顔を向けた。
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