1,456 / 1,649
第四十六章
1440 謎の爺さん
しおりを挟む
( オリビア )
至って平均の体型で、歳は多分60代くらい。
男性。
顔はどこにでもいそうな顔立ちをしていて、特徴という特徴はない。
しいて特徴を挙げるなら、鼻辺りに散らばるソバカスと……見たことのない黒い瞳くらいだ。
黒……。
邪神の類か……?
「 ……誰だ?貴様……。
こんな所で何をしている? 」
最大限に警戒しそう尋ねたのだが、そのじいさんは気が抜けるくらいのんびりとした様子でそれに答える。
「 あぁ、俺?俺は ” #”$UUI\|%”!&! ” 。
もう少し時間が掛かりそうだから、ちょっと色々お散歩しながら待ってようと思って。 」
「 はぁ??? 」
ニコニコと理由のわからない事を言う爺さんに思わず呆れてしまったが……名前の部分が全く聞いたことがない発音であったため聞き取れず、強い違和感を抱いた。
やはり邪神の化身か……?。
悪い感じはしないが、そもそもこんな気味の悪い場所で、それを感じない事自体が逆に恐ろしい。
そのため警戒したまま睨んでいたのだが、その爺さんは突然その場にかがみ、手で何かを掬う動きをする。
そしてそれをそのまま顔にもってきて、まるで掬った水で顔を洗う様な仕草をし始めたではないか。
「 ……一体何をしているんだ?
ボケているのか?狂っているのか……?
……哀れな年寄りだな。 」
「 えっ??────あぁ~……なるほど、なるほど~。 」
気持ちよさそうに一度目を閉じ、それから私の方を見てびっくりする様な顔を見せたじいさんは、何かを納得した様に頷いた、
そしてもう一度、ドロドロに溶けた大地に向かって何かを掬う様な仕草をする。
「 俺から見ると、すごく綺麗でハッキリ見えるんだけど……ココは、人によって全然見え方が違うみたいなんだよね。
きっと皆、見たいものしか見ようとしないからなんじゃないかな? 」
ハハハ~!
意味不明な事を言いながら笑う男を、酷く不快に感じて眉を潜めた。
更に大地から立ち上る蒸気が熱くて熱くて……不快さは増していく。
こんな馬鹿みたいな爺さんに構っても、時間の無駄だ。
そう思って、大量に吹き出る汗を拭いながら周りの景色を見渡したが、どこまでも地平線が続いているだけであった。
熱くてひりつく喉、汗で流れていく水分に、” 死 ” を身近に感じてゾッとする。
しかし、そんな私とは対称的に、爺さんは何でもないかの様に平然と立ち上がり、その顔には汗の一つも浮かんでいないようであった。
「 ……熱くないの……か? 」
恐怖を感じながらそう尋ねると、じいさんは不思議そうに首を傾げるだけ。
やはり化け物の類か、狂人か……どちらにせよ、こんなトチ狂ったじいさんは捨てておいて、生きるために水を探さなければ……。
そう決意した私は、じいさんに背を向け、歩き出した。
その後、歩いても歩いても目に入るのは、果てなき地平線。
ドロドロに爛れた赤い大地に赤い空……気が狂いそうだった。
「 ……熱い……苦しい……痛い……辛い……。 」
ゼイゼイと荒い息を吐きながら呟く言葉は、どんどんと私から生きようとする気力を奪っていく。
熱くて喉が乾く。
それに全身が蒸気で焼けただれていき、体中に酷い激痛が走っている。
目は霞み、体はまるで巨大な岩を背負っているかの様に重くてダルい……そうまでして生きようとするモノが私にはあるのか……?
「 ……ないか。 」
そう答えが出ると、私の足は完全に止まった。
そしてなおも続く苦しみの中……自分という存在について考える。
生まれてから死ぬまで、ただ搾取されるだけの ” 生 ” であった。
そして……やっと最後は奪ってやる側になれば幸せになれると……やっと ” 道 ” が見えたのに……これでおしまい。
「 私の人生はゴミと同じ……随分と無価値なモノだった。
私の ” 生 ” は、一体なんのためにあったのだろう? 」
死を目の前にして、未来に対してはおろか、今までの過去にも絶望する。
すると絶望は私の足を止めるだけではなく、体も地面に沈めていった。
力なく膝をつき、項垂れる私の身は更に焼けていく。
多分このまま横たわれば全身が炭になって消えるだろう。
それが救いかと思えば、自分の死に喜びを感じゆっくりと目を閉じようとした────が……?
「 そこで休憩するの? 」
さっきも聞いたのんびりした声が真ん前で聞こえ、反射的に下げていた頭をバッ!と上に上げれば────そこにはとっくに後ろに置いてきたはずの爺さんの姿があるではないか!
「 ────なっ……は……は……はぁ……?? 」
ありえない状況に驚いて言葉もない私の前で、爺さんはまたしても下から水を掬う様な仕草をして、その手を私の前に差し出した。
「 汗が凄いから、君も顔を洗えば?
すごく気持ちいいよ。 」
差し出された空っぽの両手を見て、カッ!となった私は、爺さんのその手をはたき落とす。
至って平均の体型で、歳は多分60代くらい。
男性。
顔はどこにでもいそうな顔立ちをしていて、特徴という特徴はない。
しいて特徴を挙げるなら、鼻辺りに散らばるソバカスと……見たことのない黒い瞳くらいだ。
黒……。
邪神の類か……?
「 ……誰だ?貴様……。
こんな所で何をしている? 」
最大限に警戒しそう尋ねたのだが、そのじいさんは気が抜けるくらいのんびりとした様子でそれに答える。
「 あぁ、俺?俺は ” #”$UUI\|%”!&! ” 。
もう少し時間が掛かりそうだから、ちょっと色々お散歩しながら待ってようと思って。 」
「 はぁ??? 」
ニコニコと理由のわからない事を言う爺さんに思わず呆れてしまったが……名前の部分が全く聞いたことがない発音であったため聞き取れず、強い違和感を抱いた。
やはり邪神の化身か……?。
悪い感じはしないが、そもそもこんな気味の悪い場所で、それを感じない事自体が逆に恐ろしい。
そのため警戒したまま睨んでいたのだが、その爺さんは突然その場にかがみ、手で何かを掬う動きをする。
そしてそれをそのまま顔にもってきて、まるで掬った水で顔を洗う様な仕草をし始めたではないか。
「 ……一体何をしているんだ?
ボケているのか?狂っているのか……?
……哀れな年寄りだな。 」
「 えっ??────あぁ~……なるほど、なるほど~。 」
気持ちよさそうに一度目を閉じ、それから私の方を見てびっくりする様な顔を見せたじいさんは、何かを納得した様に頷いた、
そしてもう一度、ドロドロに溶けた大地に向かって何かを掬う様な仕草をする。
「 俺から見ると、すごく綺麗でハッキリ見えるんだけど……ココは、人によって全然見え方が違うみたいなんだよね。
きっと皆、見たいものしか見ようとしないからなんじゃないかな? 」
ハハハ~!
意味不明な事を言いながら笑う男を、酷く不快に感じて眉を潜めた。
更に大地から立ち上る蒸気が熱くて熱くて……不快さは増していく。
こんな馬鹿みたいな爺さんに構っても、時間の無駄だ。
そう思って、大量に吹き出る汗を拭いながら周りの景色を見渡したが、どこまでも地平線が続いているだけであった。
熱くてひりつく喉、汗で流れていく水分に、” 死 ” を身近に感じてゾッとする。
しかし、そんな私とは対称的に、爺さんは何でもないかの様に平然と立ち上がり、その顔には汗の一つも浮かんでいないようであった。
「 ……熱くないの……か? 」
恐怖を感じながらそう尋ねると、じいさんは不思議そうに首を傾げるだけ。
やはり化け物の類か、狂人か……どちらにせよ、こんなトチ狂ったじいさんは捨てておいて、生きるために水を探さなければ……。
そう決意した私は、じいさんに背を向け、歩き出した。
その後、歩いても歩いても目に入るのは、果てなき地平線。
ドロドロに爛れた赤い大地に赤い空……気が狂いそうだった。
「 ……熱い……苦しい……痛い……辛い……。 」
ゼイゼイと荒い息を吐きながら呟く言葉は、どんどんと私から生きようとする気力を奪っていく。
熱くて喉が乾く。
それに全身が蒸気で焼けただれていき、体中に酷い激痛が走っている。
目は霞み、体はまるで巨大な岩を背負っているかの様に重くてダルい……そうまでして生きようとするモノが私にはあるのか……?
「 ……ないか。 」
そう答えが出ると、私の足は完全に止まった。
そしてなおも続く苦しみの中……自分という存在について考える。
生まれてから死ぬまで、ただ搾取されるだけの ” 生 ” であった。
そして……やっと最後は奪ってやる側になれば幸せになれると……やっと ” 道 ” が見えたのに……これでおしまい。
「 私の人生はゴミと同じ……随分と無価値なモノだった。
私の ” 生 ” は、一体なんのためにあったのだろう? 」
死を目の前にして、未来に対してはおろか、今までの過去にも絶望する。
すると絶望は私の足を止めるだけではなく、体も地面に沈めていった。
力なく膝をつき、項垂れる私の身は更に焼けていく。
多分このまま横たわれば全身が炭になって消えるだろう。
それが救いかと思えば、自分の死に喜びを感じゆっくりと目を閉じようとした────が……?
「 そこで休憩するの? 」
さっきも聞いたのんびりした声が真ん前で聞こえ、反射的に下げていた頭をバッ!と上に上げれば────そこにはとっくに後ろに置いてきたはずの爺さんの姿があるではないか!
「 ────なっ……は……は……はぁ……?? 」
ありえない状況に驚いて言葉もない私の前で、爺さんはまたしても下から水を掬う様な仕草をして、その手を私の前に差し出した。
「 汗が凄いから、君も顔を洗えば?
すごく気持ちいいよ。 」
差し出された空っぽの両手を見て、カッ!となった私は、爺さんのその手をはたき落とす。
121
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!
2026/3/9に発売です!書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!
ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
校正も自力です(笑)
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
その捕虜は牢屋から離れたくない
さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。
というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。
うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!
かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。
その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。
両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。
自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。
自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。
相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと…
のんびり新連載。
気まぐれ更新です。
BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意!
サブCPに人外CPはありますが、主人公は人外CPにはなりません。
(この世界での獣人は人間の種類の一つですので人外ではないです。)
ストックなくなるまでは07:10に公開
他サイトにも掲載してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる