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第四十六章
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( オリビア )
「 誂うのも大概にしろ!!この老いぼれジジイがっ!!
私はここで死ぬ!
こんなゴミみたいな人生をやっと終わらせる事ができるんだ。
邪魔するなっ!! 」
「 ゴミみたいな人生??本当に? 」
爺さんは不思議そうに私を見てくるので、綺麗事の固まりのような爺さんに激しい怒りが湧いた。
いや……この怒りはこのじいさんだけではない。
お綺麗な場所で生まれ、何不自由なく育ち、そして沢山の有り余る様な幸せを与えられてきた奴らのいう綺麗事全てだ。
私は痛む体にムチを打ち、ゆっくりとその場に立ち上がる。
そんなお綺麗な場所で生きてきたヤツの言葉ほど、傷つくモノはない。
今までの同情めいた視線も思い出し、怒りでギリギリと歯を噛み締めた。
” そんなつもりはなかった。 ”
” そんな事思ってないよ! ”
……そんな言い訳でどうやって傷つけられた傷が塞がるというのか?
だってお前たちの言うその慈悲という同情は……私の今までの苦しみも悲しみも、諦めてきた悔しい気持ちも……全ての努力を否定するものなんだよ。
私は憎しみに染まった目で爺さんを睨みつけ、ニヤッと笑う。
どうせこのまま私は終わりだ。
なら、最後にこいつに思い知らせてやろう。
私の苦しみを、どうにもできない世界への憎しみを────……。
そう想いながら、視線をじいさんの首へと持っていき、両手をゆっくり……ゆっくりとそこへ伸ばそうとした、その時だった。
────バシッ!!!
突然爺さんが伸ばしていた私の両手を掴み、そのままグイッ!と私を引っ張る。
「 ────っなっ!!?? 」
すると抱きしめられる様に体が密着してしまい、パニックになった私は「 クソがっ!!! 」と怒鳴りながら爺さんを蹴った。
かなり強く蹴ったというのに倒れないじいさんにまたカッ!となり、私は力の限り爺さんを蹴り続ける。
爺さんもそれなりに痛いのか、蹴る度に体をわずかに揺らしていたが……結局先に限界を迎えたのは────私の方だった。
元々限界だった体で蹴り続けたせいで、足からは出血しビリビリと電流を流した様な痛みが走る。
だから仕方なく足を下げたが、それでも怒りは収まらず、私の手を決して離さないじいさんをギロッ!と睨みつけた。
「 ……化け物め。痛くないのか? 」
チッ!と舌打ちしながら言うと、そのじんさんは今までケロッとしていた顔を大きく崩し、「 めちゃくちゃ痛い!! 」と叫んで泣き出す。
「 ……は?? 」
ヒィヒィと情けない程泣くじいさんに開いた口は塞がらない。
流石に怒りを通り越して呆れる気持ちが強くなり、冷静に手を離す様に命令しようとしたその時だった。
じいさんはピタリと泣くのを止め、突然真剣な表情で私を見返す。
「 これが君の ” 痛み ” ? 」
心の奥底まで全て見透かされている様に感じて……心底ゾッ!とした私は、瞬間的に掴まれている手を振り払おうとしたのだがビクともしない。
何だ?何だ?何なんだ??
こいつは……この恐怖は……!
怯えている自分に気付いたが、それを隠すように、また私は怒鳴りつけた。
「 離せよ、クソ野郎!!!
お綺麗な場所で生きて生きたヤツが、その場所から何を言うつもりだ!!?
あ~…… ” 可哀想、辛かったね ” とでも言って、自分の世界の正当性でも語るか?
────ふざけるなよ?
それを認めさせて……今までの私を使うつもりかっ!! 」
同情は、自分と相手を完全に分離させるモノだ。
自分の今いる世界が ” 正しい ” から、私が今いる可哀想な世界の方は消えるべき。
自分の正しさを抱えて、それを認めてくれている綺麗な世界から手を差し伸べる事は、この上ない優越感や肯定感を与えるモノだ。
だから皆……可哀想なヤツを使おうとするんだ。
お前の今までいた場所は、消えるべき間違った世界だった。
正しくない、間違っている、無価値……。
あぁ、今の自分のいる場所はコレよりマシな良い世界だ!
差し出された手の先……そこに立つニッコリと笑う善人の仮面の下には……ニヤニヤと大きく歪んだ笑顔が隠れている。
自分の世界の正しさを証明するために、私を使うな!!
私は、お前たちの幸せを実感するための……優越感の道具じゃない!!
怒りを隠さずぶつける私を見て、爺さんは、嬉しそうにも悲しそうでもない……どちらかというと無表情に近い……不思議な顔でボソッと呟いた。
「 君は強いね。 」
「 ────は?
適当に褒める様な言葉で誤魔化そうとしたって……。 」
直ぐに文句が飛び出たが……黒くて静かな瞳に吸い込まれそうになって、思わず黙る。
すると、じいさんはペラペラと喋りだした。
「 その強さは、今までそこで必死に生きてきた君が手に入れたモノなんだから、” 可哀想 ” で殺しては駄目だと俺は思うよ。
全部連れて行こう。
この先も。ずっと。 」
予想もしてなかった答えに、思わず手が震えてしまう。
しかし、そんなうわべだけのい言葉などに騙されるモノか!と、唇を噛み締め、皮肉めいた笑みを浮かべた。
「 ふん、じゃあ、あれか?
お前はどうせ ” 神は乗り越えられる試練しか与えない ” とでも言うつもりか?
” お前は強いから神様から辛い試練を与えられたのだから頑張れ ” と……そう言いたいのだろう? 」
「 誂うのも大概にしろ!!この老いぼれジジイがっ!!
私はここで死ぬ!
こんなゴミみたいな人生をやっと終わらせる事ができるんだ。
邪魔するなっ!! 」
「 ゴミみたいな人生??本当に? 」
爺さんは不思議そうに私を見てくるので、綺麗事の固まりのような爺さんに激しい怒りが湧いた。
いや……この怒りはこのじいさんだけではない。
お綺麗な場所で生まれ、何不自由なく育ち、そして沢山の有り余る様な幸せを与えられてきた奴らのいう綺麗事全てだ。
私は痛む体にムチを打ち、ゆっくりとその場に立ち上がる。
そんなお綺麗な場所で生きてきたヤツの言葉ほど、傷つくモノはない。
今までの同情めいた視線も思い出し、怒りでギリギリと歯を噛み締めた。
” そんなつもりはなかった。 ”
” そんな事思ってないよ! ”
……そんな言い訳でどうやって傷つけられた傷が塞がるというのか?
だってお前たちの言うその慈悲という同情は……私の今までの苦しみも悲しみも、諦めてきた悔しい気持ちも……全ての努力を否定するものなんだよ。
私は憎しみに染まった目で爺さんを睨みつけ、ニヤッと笑う。
どうせこのまま私は終わりだ。
なら、最後にこいつに思い知らせてやろう。
私の苦しみを、どうにもできない世界への憎しみを────……。
そう想いながら、視線をじいさんの首へと持っていき、両手をゆっくり……ゆっくりとそこへ伸ばそうとした、その時だった。
────バシッ!!!
突然爺さんが伸ばしていた私の両手を掴み、そのままグイッ!と私を引っ張る。
「 ────っなっ!!?? 」
すると抱きしめられる様に体が密着してしまい、パニックになった私は「 クソがっ!!! 」と怒鳴りながら爺さんを蹴った。
かなり強く蹴ったというのに倒れないじいさんにまたカッ!となり、私は力の限り爺さんを蹴り続ける。
爺さんもそれなりに痛いのか、蹴る度に体をわずかに揺らしていたが……結局先に限界を迎えたのは────私の方だった。
元々限界だった体で蹴り続けたせいで、足からは出血しビリビリと電流を流した様な痛みが走る。
だから仕方なく足を下げたが、それでも怒りは収まらず、私の手を決して離さないじいさんをギロッ!と睨みつけた。
「 ……化け物め。痛くないのか? 」
チッ!と舌打ちしながら言うと、そのじんさんは今までケロッとしていた顔を大きく崩し、「 めちゃくちゃ痛い!! 」と叫んで泣き出す。
「 ……は?? 」
ヒィヒィと情けない程泣くじいさんに開いた口は塞がらない。
流石に怒りを通り越して呆れる気持ちが強くなり、冷静に手を離す様に命令しようとしたその時だった。
じいさんはピタリと泣くのを止め、突然真剣な表情で私を見返す。
「 これが君の ” 痛み ” ? 」
心の奥底まで全て見透かされている様に感じて……心底ゾッ!とした私は、瞬間的に掴まれている手を振り払おうとしたのだがビクともしない。
何だ?何だ?何なんだ??
こいつは……この恐怖は……!
怯えている自分に気付いたが、それを隠すように、また私は怒鳴りつけた。
「 離せよ、クソ野郎!!!
お綺麗な場所で生きて生きたヤツが、その場所から何を言うつもりだ!!?
あ~…… ” 可哀想、辛かったね ” とでも言って、自分の世界の正当性でも語るか?
────ふざけるなよ?
それを認めさせて……今までの私を使うつもりかっ!! 」
同情は、自分と相手を完全に分離させるモノだ。
自分の今いる世界が ” 正しい ” から、私が今いる可哀想な世界の方は消えるべき。
自分の正しさを抱えて、それを認めてくれている綺麗な世界から手を差し伸べる事は、この上ない優越感や肯定感を与えるモノだ。
だから皆……可哀想なヤツを使おうとするんだ。
お前の今までいた場所は、消えるべき間違った世界だった。
正しくない、間違っている、無価値……。
あぁ、今の自分のいる場所はコレよりマシな良い世界だ!
差し出された手の先……そこに立つニッコリと笑う善人の仮面の下には……ニヤニヤと大きく歪んだ笑顔が隠れている。
自分の世界の正しさを証明するために、私を使うな!!
私は、お前たちの幸せを実感するための……優越感の道具じゃない!!
怒りを隠さずぶつける私を見て、爺さんは、嬉しそうにも悲しそうでもない……どちらかというと無表情に近い……不思議な顔でボソッと呟いた。
「 君は強いね。 」
「 ────は?
適当に褒める様な言葉で誤魔化そうとしたって……。 」
直ぐに文句が飛び出たが……黒くて静かな瞳に吸い込まれそうになって、思わず黙る。
すると、じいさんはペラペラと喋りだした。
「 その強さは、今までそこで必死に生きてきた君が手に入れたモノなんだから、” 可哀想 ” で殺しては駄目だと俺は思うよ。
全部連れて行こう。
この先も。ずっと。 」
予想もしてなかった答えに、思わず手が震えてしまう。
しかし、そんなうわべだけのい言葉などに騙されるモノか!と、唇を噛み締め、皮肉めいた笑みを浮かべた。
「 ふん、じゃあ、あれか?
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