【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
1,490 / 1,649
第四十七章

1474 共通する気持ち 

しおりを挟む
( ??? )

「 俺、トラップなら自信あります!

なんかいつの間にかできる様になってて……。 」


「 私も!防衛系のスキルなら持ってます!

ほら、昔、リーフ様が ” 街の防衛が~。 ” とか言ってやたら心配していた時期があったじゃない?

その時発現したのよねぇ~。 」


「 あ~!あったあった、そんな時期。

レガーノの防衛をやたら心配していた時期があったよな。

俺は、変な夢を見てからだな……。

それから防衛系のスキルが発現したんだよ。 」


一人、二人と自身の持つスキルについて申告する街民達は、お互い耐久戦にはもってこいのスキルを持っていた事に驚き顔を見合わせ目を見開いた。

そもそもスキルはそう簡単に発現するモノではなく、ましてやこんな平和な街で戦闘系に適した能力を開花させるなど、一人でもいれば奇跡だというのに……。


「 皆凄い凄~い! 」

「 ベルとプリリも頑張る~! 」


ニールの妹と弟である双子の< ベル >と< プリリ >は、キャーキャーと騒ぎながら喜びを表現している。

不思議そうな顔で首を傾げる街民達の中で、最初に口を開いたのは神官長であった。


「 なんと……これは神のお導きか……。

まるで何かに導かれる様に、最高のタイミングで我々全員に戦うための ” 力 ” があるとは……。

ちなみに私もリーフ様の資質鑑定をした際に一つ新たなスキルが発現したのですが……その原因の一つに覚えがあるのですよ。

そしてその原因は、レガーノの街の皆様全員に共通していると思われます。 」


「 共通している原因……ですか?

一体それは……? 」


何故か悲しそうに笑う神官長を見て、オリバーが恐る恐る尋ねると……神官長は街民達を見回しながら静かに口を開く。


「 それは ” 恐怖 ” に対する懺悔の気持ちです。

それこそが、恐らく私達全員が力を手に入れるトリガーだったのでしょう。 」


” 恐怖 ” に対する懺悔……。

その言葉に対し身に覚えのありすぎる街民達は、全員頭を抱えたり唸ったりと反応を見せた。

そしてそれはオリバーやファロ達も同じだったらしく、全員がズズーン……と落ち込み下を向く。


イシュル神様をとても大事にしているレガーノの街民達は、心のそこから禁忌の色である ” 黒 ” と呪われた姿が怖かった。

だからそれを持つ子供に恐怖し、誰も彼もがそれから必死に目を逸らす。

その子供が飢えてようが苦しそうにしていようが、誰もそれを助ける事はせず、寧ろ当然の事だとすら思っていた。


” 黒は悪。

だからこの対応こそが正しい事なのだ! ”


しかし────……その正しいはずの世界は、ある日突然終わりを迎える。


リーフ様の手によって。


毎日毎日毎日……当然の様に隣に ” 黒 ” を置くリーフ様。


それを見せつけられる事で、徐々に自分の目の前に張り付いていたフィルターは剥がれていった。

すると、襲ってくるのは耐え難い程の罪悪感で、街民達はそれに日々苛まれる様になる。


” 飢えて助けを乞う子供を見てみぬフリをした。 ”

” 何もしてない子供を、罵倒したり石を投げつけたりもしてしまった。 ”


それを当然だと思っていた事に恐怖を感じたが、同時に今まで自分が持っていた価値観をガラリと変えるのも難しかった。


やっぱり ” 黒 ” は怖い。

そして……今更謝罪した所で過去にした罪達は消えやしない。


そんなどうしようもできない葛藤の中で動けない街民達だったが……まるでその謝罪を代わりにする様に、リーフ様は沢山のモノを黒を持つ子供に与えてくれた。


この場の全員の心の中には、黒を持つ子供レオンに対する罪悪の気持ちと、リーフ様に対する感謝の気持ちがある。

神官長は全員の気持ちが一つである事を感じ、自分の両頬をパーン!と叩いた。


「 今の状況は、我々に与えられた贖罪のチャンスなのかもしれません。

ですので、今まで何もできなかった私は、せめて彼らが帰って来るこの故郷を守りたいと思っています。

よって申し訳ありませんが、私は誰がなんと言おうともここに残りますのでお気になさらず……。

…………。

うぉぉぉぉ────!!!来るならこ────い!!

カユジ虫を倒した神官パンチを食らわしてやるぞー!! 」


やる気に溢れたへなちょこパンチをしだした神官長の後ろでは、神官見習い達がぴょんぴょんと飛び上がり「 やってやるぞー!! 」「 来るならこ~い!! 」と叫んでいる。


すると街民達にも火がついて、また更にワーワーと大声で騒ぎ出した。


「 俺だって避難しないからな────!! 」


「 ” 黒 ” がなんだ!あんなん怖くねぇし~! 

なんであんなただの子供にビビってたんだ、アホらしい! 」


「 ……いや、レオンはめちゃくちゃ怖いって~。

俺、今だから言うけど、小学院生の時毎日チビってし……。 」


「 俺もレオン怖い。

強いしわけわかんねぇし……。 」


盛り上がる大人たちの傍らで、子どもたちの反応は微妙だ。

しかし、黒いハンカチを持っている女性達はプンプンと怒っていて、その場は大騒ぎになってしまう。

その場を真っ先に治めるべき神官長も毛ブラシを振って興奮しているので、一番最初に我に帰ったオリバーとファロはゴホンっと咳をして仕切り直した。
しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜  ※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!  2026/3/9に発売です!書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!  ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!

かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。 その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。 両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。 自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。 自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。 相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと… のんびり新連載。 気まぐれ更新です。 BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意! サブCPに人外CPはありますが、主人公は人外CPにはなりません。 (この世界での獣人は人間の種類の一つですので人外ではないです。) ストックなくなるまでは07:10に公開 他サイトにも掲載してます

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

処理中です...