【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第五十一章

1561 近づけたら駄目だな

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(リーフ)

ジェニファーちゃんとクラーク君は返事を返し、そのまま心からの感謝をソフィアちゃんに捧げた。

この結末を見たヨセフ司教まで、その場で祈りだすとジェリーさんや他の一部の聖兵士さん達も全員ボロボロ涙を流して祈る。

勿論俺も感動してしまってグスングスンと泣けば、隣にいるレオンは怖くなったのか、大きく体を震わせオロオロし始めた。


「せ、専業でも兼業でも……好きな方で……。あ、あの……家事も俺が全てやりますので……。何も心配は……。」


ボソボソと意味不明な事を呟くレオンだったが、俺は自分の鼻水を啜る音で全く聞こえない。

てっきり『痛い痛いしちゃったから泣いているの?』的な心配をしてくれていると思ったので、レオンの頭をナデナデしておく。


「大丈夫大丈夫~。ありがとう。年を取ると涙脆くて……。」

「……!そうでしたか……。」


痛くて泣いていたのではないと分かったレオンは、俺の顔をハンカチで優しく拭いてくれた。


「ソフィア、それでよいのだな?」


全てを見届けたニコラ王が、ソフィアちゃんにそう尋ねると、ソフィアちゃんはまるで女神の様に微笑む。


「はい。これからグレスターには教会のため、そしてこのソフィアのために死ぬほど働いて頂きます。
それこそ犯罪奴隷の方がマシだったというほどには……。」


無邪気に微笑むソフィアちゃんの発言に対し、周りからはクスッと笑う声が聞こえたが、それと同時にその判決への不満をボソボソと囁く者達もいた。

しかし、誰かが拍手を始めるとすぐにそれは広がっていき、瞬く間にその場は拍手の嵐が巻き起こる。

『賛成多数』

それを見事に形にさせてしまえば、流石に不満を持っている者達……つまりエドワード達はこれ以上口を出せない様だ。

相変わらず殺さん勢いで睨むエドワード坊やを尻目に、ニコラ王も拍手をして賛成を示した。


「では、王女の身でありながら戦いの中心地でともに戦い抜いた王女ソフィア。望みを述べよ。 」

「───はい。」


ソフィアちゃんは胸に手を当て一度頭を下げると、その場の全員の視線はソフィアちゃんへ。

ソフィアちゃんは、そのまま凛とした立ち姿でニコラ王を真っ直ぐに見つめる。


「私の願いは、現在の中立派ではない新たな派閥【ソフィア派】の設立です。
それは教会の平等精神と我が国の身分制度……その療法を合わせ持つ中立派寄りの身分主義という新たな思想を持つ、今までとは全く異なる派閥になるでしょう。」

「───っなっ!!??」

「 ~~っ!!?? 」


エドワード坊ややメルンブルク夫妻、そして他のエドワード派閥の人達が一斉に騒ぎ出した。

俺もこれには驚きポカン……としてしまう。


今までエドワード派閥に対し絶対中立派として、敵対しない意思を見せていたソフィアちゃん。

これに対し、自分のハッキリした思想を持った派閥を立てる事は、正面から戦いを挑むという事だ。

ゴクリと喉を鳴らして、鬼のような形相をしているエドワード坊やを見つめた。


そうなってしまえば、エドワードは今までの様にアーサー派閥にだけ目を向ける事ができなくなる。

つまり敵が一つであるが故、好戦的に攻めていたが、これからは守りに関しても考えていかなければならなくなったと言う事。

これは大打撃だ!


「ソフィアッ!!!たかが王女如きが何を申すかっ!!とっとと下がれ!!!
お前は今まで通り、教会のトップとして国を守る事だけ考えていろ!!!」


エドワードは流石に我慢の限界だった様で、ソフィアちゃんに向かって怒鳴り散らす。

そしてそれを後押しする様にボソボソとメルンブルク夫妻やエドワード派閥達が「不相応という言葉もしらないのか。」「国というモノを知らない。」「世間知らず。」「無知。」などなど……四方八方から攻撃をした。


「…………。」


俺はそれを冷静に聞きながら、どうしようもない坊や達を見回し心底呆れてしまう。


意見をしっかり述べた人に対して、寄って集って悪口を言う。
その姿をカッコいいと思う人はいないぞ~?情けない!


脳裏に浮かぶのは、自分の好きな遊びを友達に断られヒステリーを起こす幼児!

『僕がしたい遊びをちてぇくれなきゃいやにゃの~!!

皆、僕の言う事をきけぇぇぇぇ~!!』

ワンワン泣いて怒る我が儘幼児は、全員もれなくゲンコツだ。


『皆したい事があるの!だから言う事きけなんて言っても、誰も一緒に遊んでくれないよ!』


ね~?と同意を込めて隣のレオンを見ると、レオンは絶対分かってないのに、コクコクと迷いなく頷いていた。


……レオンを我が儘エドワード坊やに近づけたら駄目だな、こりゃ。全部OK出しそう。

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