1,630 / 1,649
第五十二章
1587 本当の孤独
しおりを挟む
(カール)
────ガっ!!!
…………ゴロゴロゴロ……ッ!!
視線の先でエドワード様が、アレに殴り飛ばされ吹っ飛んでいったのを、呆然と見つめる。
わ、私の夢の世界が……正しい……世界が……。
世界を浄化してくれるはずだった呪いの化け物を倒し、我々の心をズタズタにしただけでは足らず……僅かな希望まで奪い尽くすというのかっ!!
『わぁぁぁぁぁぁぁ────!!!!』
絶望に打ちひしがれる私を他所に、調子にのった愚か者どもは、一斉に歓声をあげた。
「エドワード様が、救世主様に倒されたぞぉぉぉぉ!!!」
「よっしゃ────!!!」
「今日は俺達の完全勝利だ────!!!」
大声ではしゃぐアーサー派閥や新ソフィア派閥の者達の近くで、我々エドワード派閥の者達は、青ざめてジリジリと後ろへと下がっていく。
「そ……そんな……嘘だ……。」
「エドワード様が……エドワード様が……。」
「あ、悪夢だ……っ!こんな事……神が許すわけ……。」
今まで『負ける』という、屈辱的な経験をした事がない高位貴族達は、体に受けているダメージ以上に心にダメージを負い、その場にへたり込む者達まで……!
勿論、私だってアレのせいで沢山の『初めて』によって、限界を感じ、思わずヨロっ……と後ずさった。
「う……うぅぅぅぅ~……っ!!」
そして、頭を抱えてうめき声を上げると、直ぐに現実を拒否するため目を閉じる。
これは夢……これは夢……。
こんな事が、現実で起きてたまるものかっ!!
カッ!!と目を見開き、縋るようにエドワード様の方へ視線を向けると────そこにはピクリとも動かず倒れている、我が王の姿があった。
「────~っ……っ!!!!!~~っ……!!」
声にならない悲鳴をあげて、私は心の中で怒鳴り散らす。
クソっ!クソっ!クソっ!クソっ!!クソぉぉぉぉぉ!!!!
さっさと起き上がれよ!!
お前は私の『正しい世界』を創るための大事な……大事な……。
────”道具”なんだから!!!
ブルブルと怒りに震える私を見て、ニコラはハァ……とため息をつくと、憐れみを込めた目を向けてくる。
「お前にとっては、他人は全て道具なのだな。ついて行くと誓った主も、祈る神も、愛していると言っている妻も子供達も……。
全ては『カール』という大事な大事な存在を、より美しく輝かせる道具にしか過ぎない。
それこそが真の孤独か。我が弟ながら憐れなモノだな。」
「────は……?何をおっしゃっているのか分かりませんが?
そんな事より、こんな酷い状況を許すなど、王として……いえ、父親としても失格だろう!!
貴様は歴史に名を残す残虐王だっ!!とっとと失脚しろっ!!この愚王がっ!!」
怒りのままに怒鳴り散らしてやったが、ニコラ王は憎たらしい程無表情で私を見てくるため、それが見下されている様で、非常に癇に障った。
復讐してやる!!絶対に絶対に許すものか!!
この役立たずの愚王も、私の邪魔をする全ての者達も、全部、全部────……!!
「────やぁ、こんにちは。」
ドロドロとした憎しみで心が染まっていった瞬間────ヒョコッ!と私の目の前にブサイクなアレの顔が現れる。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ────────ッ!!!!!」
大絶叫をあげて、即座に後ろに飛べば、邪神の子が私を見てニコニコ笑っている姿が見えた。
────ドパッ……!!
大量の汗が吹き出し、体中を濡らしていくと、ハァ……!ハァ……!と息が乱れていく。
落ち着け……。
落ち着け……。
私は認めてないが、コレの父親だ!大丈夫、大丈夫……。
バクバクと鳴り響く心臓を抑えながら、必死に笑顔の仮面を被った。
「おぉ~!!我が最愛の息子、リーフよ!此度の偉大なる功績は、父として鼻が高いぞ~!!流石はメルンブルク家の子だ!私はお前を誇りに思っている!!」
「ありがとう!!」
両手を広げてボロボロ泣くと、ヤツは上機嫌で笑いながらお礼を言ってきたので『しめた!!』と、ほくそ笑む。
子は親の愛を何よりも欲するモノ!
ヤツはこの私……実の父親に初めて認められて嬉しいと思っているに違いない!
心の中でニヤ~と笑い、バカなやつだと心底バカにしてやる。
さぁ、これからどうしてやろうか?
今度はコイツを上手く使って、世界を正してやろう。
ニヤニヤ……ピクピク……。
痙攣し始める口元を必死に抑え、これからの計画を瞬時に立てた。
まず、コイツには褒美と称して適当な地位を与えてやり、毎日甘い言葉を贈る。
『お前ほど頼りになる優秀な子はいない。お前は特別なんだ。』
『心の底から、お前が大事』
『愛しているよ』
────ってね?
────ガっ!!!
…………ゴロゴロゴロ……ッ!!
視線の先でエドワード様が、アレに殴り飛ばされ吹っ飛んでいったのを、呆然と見つめる。
わ、私の夢の世界が……正しい……世界が……。
世界を浄化してくれるはずだった呪いの化け物を倒し、我々の心をズタズタにしただけでは足らず……僅かな希望まで奪い尽くすというのかっ!!
『わぁぁぁぁぁぁぁ────!!!!』
絶望に打ちひしがれる私を他所に、調子にのった愚か者どもは、一斉に歓声をあげた。
「エドワード様が、救世主様に倒されたぞぉぉぉぉ!!!」
「よっしゃ────!!!」
「今日は俺達の完全勝利だ────!!!」
大声ではしゃぐアーサー派閥や新ソフィア派閥の者達の近くで、我々エドワード派閥の者達は、青ざめてジリジリと後ろへと下がっていく。
「そ……そんな……嘘だ……。」
「エドワード様が……エドワード様が……。」
「あ、悪夢だ……っ!こんな事……神が許すわけ……。」
今まで『負ける』という、屈辱的な経験をした事がない高位貴族達は、体に受けているダメージ以上に心にダメージを負い、その場にへたり込む者達まで……!
勿論、私だってアレのせいで沢山の『初めて』によって、限界を感じ、思わずヨロっ……と後ずさった。
「う……うぅぅぅぅ~……っ!!」
そして、頭を抱えてうめき声を上げると、直ぐに現実を拒否するため目を閉じる。
これは夢……これは夢……。
こんな事が、現実で起きてたまるものかっ!!
カッ!!と目を見開き、縋るようにエドワード様の方へ視線を向けると────そこにはピクリとも動かず倒れている、我が王の姿があった。
「────~っ……っ!!!!!~~っ……!!」
声にならない悲鳴をあげて、私は心の中で怒鳴り散らす。
クソっ!クソっ!クソっ!クソっ!!クソぉぉぉぉぉ!!!!
さっさと起き上がれよ!!
お前は私の『正しい世界』を創るための大事な……大事な……。
────”道具”なんだから!!!
ブルブルと怒りに震える私を見て、ニコラはハァ……とため息をつくと、憐れみを込めた目を向けてくる。
「お前にとっては、他人は全て道具なのだな。ついて行くと誓った主も、祈る神も、愛していると言っている妻も子供達も……。
全ては『カール』という大事な大事な存在を、より美しく輝かせる道具にしか過ぎない。
それこそが真の孤独か。我が弟ながら憐れなモノだな。」
「────は……?何をおっしゃっているのか分かりませんが?
そんな事より、こんな酷い状況を許すなど、王として……いえ、父親としても失格だろう!!
貴様は歴史に名を残す残虐王だっ!!とっとと失脚しろっ!!この愚王がっ!!」
怒りのままに怒鳴り散らしてやったが、ニコラ王は憎たらしい程無表情で私を見てくるため、それが見下されている様で、非常に癇に障った。
復讐してやる!!絶対に絶対に許すものか!!
この役立たずの愚王も、私の邪魔をする全ての者達も、全部、全部────……!!
「────やぁ、こんにちは。」
ドロドロとした憎しみで心が染まっていった瞬間────ヒョコッ!と私の目の前にブサイクなアレの顔が現れる。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ────────ッ!!!!!」
大絶叫をあげて、即座に後ろに飛べば、邪神の子が私を見てニコニコ笑っている姿が見えた。
────ドパッ……!!
大量の汗が吹き出し、体中を濡らしていくと、ハァ……!ハァ……!と息が乱れていく。
落ち着け……。
落ち着け……。
私は認めてないが、コレの父親だ!大丈夫、大丈夫……。
バクバクと鳴り響く心臓を抑えながら、必死に笑顔の仮面を被った。
「おぉ~!!我が最愛の息子、リーフよ!此度の偉大なる功績は、父として鼻が高いぞ~!!流石はメルンブルク家の子だ!私はお前を誇りに思っている!!」
「ありがとう!!」
両手を広げてボロボロ泣くと、ヤツは上機嫌で笑いながらお礼を言ってきたので『しめた!!』と、ほくそ笑む。
子は親の愛を何よりも欲するモノ!
ヤツはこの私……実の父親に初めて認められて嬉しいと思っているに違いない!
心の中でニヤ~と笑い、バカなやつだと心底バカにしてやる。
さぁ、これからどうしてやろうか?
今度はコイツを上手く使って、世界を正してやろう。
ニヤニヤ……ピクピク……。
痙攣し始める口元を必死に抑え、これからの計画を瞬時に立てた。
まず、コイツには褒美と称して適当な地位を与えてやり、毎日甘い言葉を贈る。
『お前ほど頼りになる優秀な子はいない。お前は特別なんだ。』
『心の底から、お前が大事』
『愛しているよ』
────ってね?
193
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
「好きって言ったら負け!」完璧すぎる生徒会コンビの恋愛頭脳戦は今日も平行線です~恋は勝ち負けじゃないと知るまでの攻防戦
中岡 始
BL
「好きって言ったら負け」
それが、俺たちの間にある、たったひとつのルールだった。
星遥学園の顔、生徒会長・一ノ瀬結翔と副会長・神城凪。
容姿、成績、カリスマ性――すべてが完璧なふたりは、周囲から「最強ペア」と呼ばれている。
けれどその内側では、日々繰り広げられる仁義なき恋愛頭脳戦があった。
・さりげない言葉の応酬
・SNSでの匂わせ合戦
・触れそうで触れない、静かな視線の駆け引き
恋してるなんて認めたくない。
でも、相手からの“告白”を待ち続けてしまう――
そんなふたりの関係が変わったのは、修学旅行での一夜。
「俺、たぶん君に“負けてもいい”って思いかけてる」
その一言が、沈黙を揺るがし、心の距離を塗り替えていく。
勝ち負けなんかじゃない、想いのかたちにたどり着くまで。
これは、美形ふたりの駆け引きまみれなラブコメ戦線、
ついに“終戦”の火蓋が落ちるまでの物語。
追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜
たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話
分厚いメガネ令息の非日常
餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」
「シノ様……素敵!」
おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!!
その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。
「ジュリーが一番素敵だよ」
「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」
「……うん。ジュリーの方が…素敵」
ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい
「先輩、私もおかしいと思います」
「だよな!」
これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる