【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第五十二章

1587 本当の孤独

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(カール)

────ガっ!!!

…………ゴロゴロゴロ……ッ!!


視線の先でエドワード様が、アレに殴り飛ばされ吹っ飛んでいったのを、呆然と見つめる。


わ、私の夢の世界が……正しい……世界が……。


世界を浄化してくれるはずだった呪いの化け物を倒し、我々の心をズタズタにしただけでは足らず……僅かな希望まで奪い尽くすというのかっ!!


『わぁぁぁぁぁぁぁ────!!!!』


絶望に打ちひしがれる私を他所に、調子にのった愚か者どもは、一斉に歓声をあげた。


「エドワード様が、救世主様に倒されたぞぉぉぉぉ!!!」

「よっしゃ────!!!」

「今日は俺達の完全勝利だ────!!!」


大声ではしゃぐアーサー派閥や新ソフィア派閥の者達の近くで、我々エドワード派閥の者達は、青ざめてジリジリと後ろへと下がっていく。


「そ……そんな……嘘だ……。」

「エドワード様が……エドワード様が……。」

「あ、悪夢だ……っ!こんな事……神が許すわけ……。」


今まで『負ける』という、屈辱的な経験をした事がない高位貴族達は、体に受けているダメージ以上に心にダメージを負い、その場にへたり込む者達まで……!

勿論、私だってアレのせいで沢山の『初めて』によって、限界を感じ、思わずヨロっ……と後ずさった。


「う……うぅぅぅぅ~……っ!!」


そして、頭を抱えてうめき声を上げると、直ぐに現実を拒否するため目を閉じる。


これは夢……これは夢……。
こんな事が、現実で起きてたまるものかっ!!


カッ!!と目を見開き、縋るようにエドワード様の方へ視線を向けると────そこにはピクリとも動かず倒れている、我が王の姿があった。


「────~っ……っ!!!!!~~っ……!!」


声にならない悲鳴をあげて、私は心の中で怒鳴り散らす。


クソっ!クソっ!クソっ!クソっ!!クソぉぉぉぉぉ!!!!
さっさと起き上がれよ!!
お前は私の『正しい世界』を創るための大事な……大事な……。


────”道具”なんだから!!!


ブルブルと怒りに震える私を見て、ニコラはハァ……とため息をつくと、憐れみを込めた目を向けてくる。


「お前にとっては、他人は全て道具なのだな。ついて行くと誓った主も、祈る神も、愛していると言っている妻も子供達も……。
全ては『カール』という大事な大事な存在を、より美しく輝かせる道具にしか過ぎない。
それこそが真の孤独か。我が弟ながら憐れなモノだな。」

「────は……?何をおっしゃっているのか分かりませんが?
そんな事より、こんな酷い状況を許すなど、王として……いえ、父親としても失格だろう!!
貴様は歴史に名を残す残虐王だっ!!とっとと失脚しろっ!!この愚王がっ!!」


怒りのままに怒鳴り散らしてやったが、ニコラ王は憎たらしい程無表情で私を見てくるため、それが見下されている様で、非常に癇に障った。


復讐してやる!!絶対に絶対に許すものか!!
この役立たずの愚王も、私の邪魔をする全ての者達も、全部、全部────……!!


「────やぁ、こんにちは。」


ドロドロとした憎しみで心が染まっていった瞬間────ヒョコッ!と私の目の前にブサイクなアレの顔が現れる。


「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ────────ッ!!!!!」


大絶叫をあげて、即座に後ろに飛べば、邪神の子が私を見てニコニコ笑っている姿が見えた。


────ドパッ……!!

大量の汗が吹き出し、体中を濡らしていくと、ハァ……!ハァ……!と息が乱れていく。


落ち着け……。

落ち着け……。

私は認めてないが、コレの父親だ!大丈夫、大丈夫……。


バクバクと鳴り響く心臓を抑えながら、必死に笑顔の仮面を被った。


「おぉ~!!我が最愛の息子、リーフよ!此度の偉大なる功績は、父として鼻が高いぞ~!!流石はメルンブルク家の子だ!私はお前を誇りに思っている!!」

「ありがとう!!」


両手を広げてボロボロ泣くと、ヤツは上機嫌で笑いながらお礼を言ってきたので『しめた!!』と、ほくそ笑む。


子は親の愛を何よりも欲するモノ!
ヤツはこの私……実の父親に初めて認められて嬉しいと思っているに違いない!


心の中でニヤ~と笑い、バカなやつだと心底バカにしてやる。


さぁ、これからどうしてやろうか?
今度はコイツを上手く使って、世界を正してやろう。


ニヤニヤ……ピクピク……。

痙攣し始める口元を必死に抑え、これからの計画を瞬時に立てた。


まず、コイツには褒美と称して適当な地位を与えてやり、毎日甘い言葉を贈る。


『お前ほど頼りになる優秀な子はいない。お前は特別なんだ。』

『心の底から、お前が大事』

『愛しているよ』


────ってね?

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