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第五十二章
1586 俺の欲しかった世界は……
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(エドワード)
全く理解できない言い分に、ショックを受けてグワングワンと視界が歪む。
歪んだ視界の中、ヤツがまた一歩、また一歩と、俺に近づいてくるのが見えて、俺は尻もちをついたまま後ずさったが……ヤツと俺の距離はどんどんと縮まっていった。
「でも、俺はそんな簡単に手に入る世界なんていらないけどね。ただ、何に価値を見出すかは人ぞれぞれだし、否定はしないよ。
だから否定はしないで、俺は君の正しい世界のルールに従って君を叩き潰そう。相手を理解するには、相手と同じ土俵に立つべし、だからね。」
「ほ、本当に何を言っているんだ……???」
混乱している間に、奴はとうとう俺の前に辿り着き、またしても顔にパンチを叩き込んでくる。
また意識が飛びそうになったが、許さないとばかりにもう一度殴られ、そのまままた後ろへと飛ばされた。
「……がっ……ハァッ……!ハァッ……!ハァッ……!!」
「自分の思い描く世界の中で、今から君は『下』になる。だからこれからは『下』として、正しく生きて行けばいい。」
「ふ……ふっ……ふざけるなぁぁぁ!!」
震える手でドブネズミを殴り返そうとしたが、あっさり避けられ、また横っ面を殴られる!
上体を大きく横に揺らした俺が、また殴り返そうとパンチを出せば、それもアッサリと避けられてしまった。
「何もふざけてないよ。自分で望んだ事じゃないのか?」
「ふざけるなふざけるなふざけるなぁぁぁ!!!俺は『下』じゃない!!生まれながらに王になるこの俺は……周りとは違う存在なんだよっ!!!人は生まれて直ぐに価値が決まって────……っ!!」
そのままなんとか立ち上がって攻撃を仕掛けたが、かすりもせず……ドブネズミは余裕そうに俺の渾身のパンチもハエを叩き落とす様に簡単に落とす。
「生まれなんて、くじ引きや賭け事と同じだよ。ただの運に、そんなに驕ってどうするんだい。
それにだけ執着すると、結局最後は身を滅ぼすもんだ。
正直運だけに頼り切って生きてきた君は、弱い弱い。ホントに弱すぎて、相手になんないぞ~?」
「~~っ!!!お、お、王族を……神聖なる俺の生まれを……賭け事などと同じように語るなぁぁぁ!!!俺は王……誰もが従う歴代最高の王に……っ!!」
手も足も出ないことが悔しくて悔しくて……。
そしてそんな気持ちにさせてくるドブネズミが、憎くて憎くて堪らない!!
うおぉぉぉ!!と叫び声をあげながら、がむしゃらにパンチを繰り出せば、ドブネズミは大きなため息をついた。
「君の語る世界は軽すぎるんだ。国は子供の玩具じゃないんだから、いい加減駄々こねはやめなさい。
幼子だって本当は独占したい玩具を、頑張って皆で共有して遊ぼうと努力するっていうのに……。」
「あああああああ────!!!!」
否定!
否定!!
否定!!!
俺という存在全てを否定するこいつが許せない!!
その怒りのまま、拳を、足を……全ての力を出して、自分を拒絶する存在を排除しようとしているのに、それができず……恐怖はどんどんと色濃くなっていく。
「こ……こんな……こんなの……俺の望んだ世界じゃない……。こんな……こんな……っ……地獄の様な……世界……っ。」
手も足も出ない状況。
自分の考え、選択肢、自由、価値観、尊厳……その全てを理不尽に踏みにじられる現状は、怒りと憎しみを生み出しては、全てを恨んで世界を黒く染めていった。
この俺が……否定される……。
輝いていたはずの世界が、汚らしい黒と同化して……?
グチャグチャになっていく心によって、徐々に目元が熱くなっていく。
それがまた屈辱的で、必死に目に力を入れて耐えた。
「こんな『力』を奮って、理想の世界を創ろうなど、間違いだっ!!!貴様はただの暴君!!!人としての心を持たぬ獣だ!!」
力の限り声を上げ、すぐ後ろまで迫っている恐ろしい世界を否定する。
しかし……ドブネズミから返ってきたのは、痛恨のパンチと怒号であった。
「馬鹿野郎っ!!自分が嫌な目に合いそうになったら、直ぐに意見を変えるんじゃないっ!!!情けない鼻垂れ坊主めっ!!
ここが地獄だというなら────……君はそれを創り出そうとしていたんだ!!
分かっているのかぁぁぁ────!!!」
「────ヒッ……ッ!!!」
先程の余裕ある穏やかな顔から一変。
恐ろしいまでに怒り狂ったした顔で、俺を怒鳴り散らすドブネズミに、体が大きく震える。
しかし、ここで動かなければ、きっと終わり。
それを理解して、俺はガタガタ震える手でスキルを発動し、新たな剣を創り出した。
<指揮者の資質>(シークレット固有スキル)
< 王人の右手 >
自身より身分が下の者達からの尊敬、支持、畏怖、恐怖、更に相手の利益の収集率、怒り憎しみなどの感情値によって強度が決まる魔法剣を創り出す事ができる創造系スキル
自身の他者に対する冷酷、非情、残酷が高い程、その強度はUPする
(発現条件)
スキル< 王輝の剣 >を持つ事
一定以上の冷酷、非情、残酷を持ち、身分が下の者達からの尊敬、支持、畏怖、恐怖、更に相手の利益の収集率、怒り憎しみなどの感情値を向けられる事
特定の血筋を持つこと( アルバード王国の王族の血筋 )
バチバチという音を立てて出来上がっていく光の大剣。
それを縋る様な目で見上げた後、俺はドブネズミを力の限り睨みつける。
皆が俺に力をくれる!
そして俺を王の座に登らせてくれる!
だからこんな馬鹿げた世界を生み出そうとしている、元凶がいなくなれば……また正しい世界が戻って来るのだ!!
「俺は王に……王になるんだよぉぉぉぉ────!!!生まれながらに頂点に立つ俺は……これからもずっと……ずっと……っ!『上』として生きていく!!
おかしいのはお前だ!消えてしまえぇぇぇぇ!!!!」
大剣を大きく引いて、俺は前へと進み出る。
俺は正しい!間違っているのはこいつ!
正しい俺を不快にする世界は、全て間違っているから消すべきだ!!
叫びながら近づいてくる俺を見て────ドブネズミは大きなため息をついた。
「自分にだけ都合が良い世界に、正しさなんてない。
きっと『今』は良くても、いつかは『無』の世界が、正しい答えになるんだ。」
「意味の分からない事を言うなっ!!お前がこの世界を地獄に変えるんだ!!
お前が……お前が……っ!!……っ!俺を地獄に連れて行こうとするな!!邪神の遣いがぁぁぁぁ!!」
そのまま大きく大剣を振り上げた俺は、全ての力をかけてそれをドブネズミに振り下ろした────……が……?
いつの間にかドブネズミの手には虹色に輝く剣が握られており、俺の剣をやすやすと受け止めていた。
「な……な……は……。」
またしても言葉を失う俺を見上げ、奴はニヤッと笑う。
「まぁ、これからまた探してみなよ。新しい正しい世界ってやつ!
今度は立場が変わったら、すぐに捨てちゃうような世界じゃないやつをさ。」
────ビシビシッ!!!
俺の最強の大剣に亀裂が走り、ポロポロと光の破片が地面へと落ちていく。
それと同時に……俺の世界も……。
「あ……う……うぅ……っ。」
真っ直ぐに見つめてくるヤツの瞳の中には、情けない顔で恐怖する自分の姿が見えた。
こいつは普通じゃない。
こんなヤツに……こんなヤツ相手にどうやって戦えというのだ!
とうとう亀裂は大剣全体へと広がり、剣を握る手が大きく震えだす。
剣と共に俺の世界も崩れていく……。これが崩されたら俺は……どうなる??
「や……やめ……ろ……。やめてくれ……。」
口からは情けない事に懇願の言葉が飛び出し、歯が恐怖でガタガタと鳴り始めた。
呂律も回らなくなった口で、やめろやめろと繰り返すだけの俺を黙って見つめたドブネズミは……それからまた恐ろしいまでの憤怒の表情を見せる。
「俺は最強の悪役、リーフ・フォン・ メルンブルク!
君が何度『悲しい』しかない世界を創り出そうとしても、俺が地獄の果てだろうとなんだろうと、追いかけてまたぶっ飛ばしてやるからな。
だから、今度こそ、自分でしっかり考えて、動いて、生きてみろ。大馬鹿野郎。」
────パリィィィ~……ン。
その言葉を合図にした様に、俺の大剣は粉々に砕け、俺を守るモノは全て消え失せた。
光の破片でキラキラ輝く世界の姿。
俺が欲しかった……光輝く……世界……。
その光景を最後に……またしてもパンチを食らった俺の意識は、光の一切届かない暗闇の中へと沈んでいった。
全く理解できない言い分に、ショックを受けてグワングワンと視界が歪む。
歪んだ視界の中、ヤツがまた一歩、また一歩と、俺に近づいてくるのが見えて、俺は尻もちをついたまま後ずさったが……ヤツと俺の距離はどんどんと縮まっていった。
「でも、俺はそんな簡単に手に入る世界なんていらないけどね。ただ、何に価値を見出すかは人ぞれぞれだし、否定はしないよ。
だから否定はしないで、俺は君の正しい世界のルールに従って君を叩き潰そう。相手を理解するには、相手と同じ土俵に立つべし、だからね。」
「ほ、本当に何を言っているんだ……???」
混乱している間に、奴はとうとう俺の前に辿り着き、またしても顔にパンチを叩き込んでくる。
また意識が飛びそうになったが、許さないとばかりにもう一度殴られ、そのまままた後ろへと飛ばされた。
「……がっ……ハァッ……!ハァッ……!ハァッ……!!」
「自分の思い描く世界の中で、今から君は『下』になる。だからこれからは『下』として、正しく生きて行けばいい。」
「ふ……ふっ……ふざけるなぁぁぁ!!」
震える手でドブネズミを殴り返そうとしたが、あっさり避けられ、また横っ面を殴られる!
上体を大きく横に揺らした俺が、また殴り返そうとパンチを出せば、それもアッサリと避けられてしまった。
「何もふざけてないよ。自分で望んだ事じゃないのか?」
「ふざけるなふざけるなふざけるなぁぁぁ!!!俺は『下』じゃない!!生まれながらに王になるこの俺は……周りとは違う存在なんだよっ!!!人は生まれて直ぐに価値が決まって────……っ!!」
そのままなんとか立ち上がって攻撃を仕掛けたが、かすりもせず……ドブネズミは余裕そうに俺の渾身のパンチもハエを叩き落とす様に簡単に落とす。
「生まれなんて、くじ引きや賭け事と同じだよ。ただの運に、そんなに驕ってどうするんだい。
それにだけ執着すると、結局最後は身を滅ぼすもんだ。
正直運だけに頼り切って生きてきた君は、弱い弱い。ホントに弱すぎて、相手になんないぞ~?」
「~~っ!!!お、お、王族を……神聖なる俺の生まれを……賭け事などと同じように語るなぁぁぁ!!!俺は王……誰もが従う歴代最高の王に……っ!!」
手も足も出ないことが悔しくて悔しくて……。
そしてそんな気持ちにさせてくるドブネズミが、憎くて憎くて堪らない!!
うおぉぉぉ!!と叫び声をあげながら、がむしゃらにパンチを繰り出せば、ドブネズミは大きなため息をついた。
「君の語る世界は軽すぎるんだ。国は子供の玩具じゃないんだから、いい加減駄々こねはやめなさい。
幼子だって本当は独占したい玩具を、頑張って皆で共有して遊ぼうと努力するっていうのに……。」
「あああああああ────!!!!」
否定!
否定!!
否定!!!
俺という存在全てを否定するこいつが許せない!!
その怒りのまま、拳を、足を……全ての力を出して、自分を拒絶する存在を排除しようとしているのに、それができず……恐怖はどんどんと色濃くなっていく。
「こ……こんな……こんなの……俺の望んだ世界じゃない……。こんな……こんな……っ……地獄の様な……世界……っ。」
手も足も出ない状況。
自分の考え、選択肢、自由、価値観、尊厳……その全てを理不尽に踏みにじられる現状は、怒りと憎しみを生み出しては、全てを恨んで世界を黒く染めていった。
この俺が……否定される……。
輝いていたはずの世界が、汚らしい黒と同化して……?
グチャグチャになっていく心によって、徐々に目元が熱くなっていく。
それがまた屈辱的で、必死に目に力を入れて耐えた。
「こんな『力』を奮って、理想の世界を創ろうなど、間違いだっ!!!貴様はただの暴君!!!人としての心を持たぬ獣だ!!」
力の限り声を上げ、すぐ後ろまで迫っている恐ろしい世界を否定する。
しかし……ドブネズミから返ってきたのは、痛恨のパンチと怒号であった。
「馬鹿野郎っ!!自分が嫌な目に合いそうになったら、直ぐに意見を変えるんじゃないっ!!!情けない鼻垂れ坊主めっ!!
ここが地獄だというなら────……君はそれを創り出そうとしていたんだ!!
分かっているのかぁぁぁ────!!!」
「────ヒッ……ッ!!!」
先程の余裕ある穏やかな顔から一変。
恐ろしいまでに怒り狂ったした顔で、俺を怒鳴り散らすドブネズミに、体が大きく震える。
しかし、ここで動かなければ、きっと終わり。
それを理解して、俺はガタガタ震える手でスキルを発動し、新たな剣を創り出した。
<指揮者の資質>(シークレット固有スキル)
< 王人の右手 >
自身より身分が下の者達からの尊敬、支持、畏怖、恐怖、更に相手の利益の収集率、怒り憎しみなどの感情値によって強度が決まる魔法剣を創り出す事ができる創造系スキル
自身の他者に対する冷酷、非情、残酷が高い程、その強度はUPする
(発現条件)
スキル< 王輝の剣 >を持つ事
一定以上の冷酷、非情、残酷を持ち、身分が下の者達からの尊敬、支持、畏怖、恐怖、更に相手の利益の収集率、怒り憎しみなどの感情値を向けられる事
特定の血筋を持つこと( アルバード王国の王族の血筋 )
バチバチという音を立てて出来上がっていく光の大剣。
それを縋る様な目で見上げた後、俺はドブネズミを力の限り睨みつける。
皆が俺に力をくれる!
そして俺を王の座に登らせてくれる!
だからこんな馬鹿げた世界を生み出そうとしている、元凶がいなくなれば……また正しい世界が戻って来るのだ!!
「俺は王に……王になるんだよぉぉぉぉ────!!!生まれながらに頂点に立つ俺は……これからもずっと……ずっと……っ!『上』として生きていく!!
おかしいのはお前だ!消えてしまえぇぇぇぇ!!!!」
大剣を大きく引いて、俺は前へと進み出る。
俺は正しい!間違っているのはこいつ!
正しい俺を不快にする世界は、全て間違っているから消すべきだ!!
叫びながら近づいてくる俺を見て────ドブネズミは大きなため息をついた。
「自分にだけ都合が良い世界に、正しさなんてない。
きっと『今』は良くても、いつかは『無』の世界が、正しい答えになるんだ。」
「意味の分からない事を言うなっ!!お前がこの世界を地獄に変えるんだ!!
お前が……お前が……っ!!……っ!俺を地獄に連れて行こうとするな!!邪神の遣いがぁぁぁぁ!!」
そのまま大きく大剣を振り上げた俺は、全ての力をかけてそれをドブネズミに振り下ろした────……が……?
いつの間にかドブネズミの手には虹色に輝く剣が握られており、俺の剣をやすやすと受け止めていた。
「な……な……は……。」
またしても言葉を失う俺を見上げ、奴はニヤッと笑う。
「まぁ、これからまた探してみなよ。新しい正しい世界ってやつ!
今度は立場が変わったら、すぐに捨てちゃうような世界じゃないやつをさ。」
────ビシビシッ!!!
俺の最強の大剣に亀裂が走り、ポロポロと光の破片が地面へと落ちていく。
それと同時に……俺の世界も……。
「あ……う……うぅ……っ。」
真っ直ぐに見つめてくるヤツの瞳の中には、情けない顔で恐怖する自分の姿が見えた。
こいつは普通じゃない。
こんなヤツに……こんなヤツ相手にどうやって戦えというのだ!
とうとう亀裂は大剣全体へと広がり、剣を握る手が大きく震えだす。
剣と共に俺の世界も崩れていく……。これが崩されたら俺は……どうなる??
「や……やめ……ろ……。やめてくれ……。」
口からは情けない事に懇願の言葉が飛び出し、歯が恐怖でガタガタと鳴り始めた。
呂律も回らなくなった口で、やめろやめろと繰り返すだけの俺を黙って見つめたドブネズミは……それからまた恐ろしいまでの憤怒の表情を見せる。
「俺は最強の悪役、リーフ・フォン・ メルンブルク!
君が何度『悲しい』しかない世界を創り出そうとしても、俺が地獄の果てだろうとなんだろうと、追いかけてまたぶっ飛ばしてやるからな。
だから、今度こそ、自分でしっかり考えて、動いて、生きてみろ。大馬鹿野郎。」
────パリィィィ~……ン。
その言葉を合図にした様に、俺の大剣は粉々に砕け、俺を守るモノは全て消え失せた。
光の破片でキラキラ輝く世界の姿。
俺が欲しかった……光輝く……世界……。
その光景を最後に……またしてもパンチを食らった俺の意識は、光の一切届かない暗闇の中へと沈んでいった。
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