元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!

バナナ男さん

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第五章【入学院テスト編】

(テリーヌ)151 混沌した学院生活へ

(副学院長:テリーヌ)

「グリード家のアッシュ君とセレンさん、二人の輝きは見たことがないくらい光り輝いていました。
それにスキルやステータス値も、殆ど読めませんでした。
こんな事初めてですから、断言はできませんが……ステータスは恐らく災害級かもしれません。」

私の言葉に全員がざわつきだし、リバティー様はそんな皆を制す。

「うっそ~ん、そんなにぃ~?確かにその後の戦いも尋常ではなかったけど……ってことは、あれでも全力ではないかもってことか。うわ~……こっわ!めちゃくちゃこっわ!」

ヒィ~!と自分の体を抱きしめ震えるリバティー様。
私も同じく震えながら頷くと、ブルブル震える口を必死に抑えながら話を続けた。

「本当に恐ろしい……。この二人について、もう少し詳しく調査した方がいいと思われます。
そして、更に恐ろしいのは……そんな二人の主として君臨しているルーク君です。
ルーク君はこの透心神眼に触れた際、光は一切見られませんでした。」

「────っな……う、嘘でしょ……?」

絶句するリバティー様を見て、セイジとフレアや他の教員達はキョトンと目を丸くする。

「……えっ?それって……ステータス0ってこと?」

「そんなはずは……。だってガゼインに余裕で勝つくらいだぞ?
そんなわけは……。」

ざわつくのも無理はない
この<透心神眼>が反応しないと言うことは、実質情ステータスは0。
つまり体力値まで0ということになってしまうため、『人』として感知されていないという事になってしまうからだ
しかし、その後の試験結果を見るに、そんな事はありえないし、仮に何かのスキルの影響だとしても、古代神具には干渉できないはず。

「……皆は、古代神具に伝わる伝説を知っているかい?」

ガヤガヤと騒がしくなってしまった教員達へ、リバティー様は静かに語りかける。
それを知らない大部分の教員達は首を傾げたが、知っているらしい残りの教員達は青ざめた顔色で汗を大量に掻いた。
そしてそれは私も同じ……冷たくなった体から大量の汗が流れ落ちていったのを感じる。

そんな私達の様子を冷静に観察したリバティー様は、コツコツ……と落ち着かない様子で一歩二歩と円を描く様に歩き出した。

「かつて偉大なる精霊様達が、『人』に与えたとされる【古代神具】。
その前にはいかなる嘘は通じず、必ず『真実』のみが晒される。
もしもそれが反応しないというなら────……その者は制作者である精霊すら超える存在である…………と、先人達が残した書物には記されているんだよ。」

「……えっ?じゃ、じゃあ、ルーク様は……それだと?」

「……いやいや、まさかそんな事は……。」

信じきれない事実を前に、全員動揺を隠せない様だ。
私だって、にわかには信じられない事だし、それは無理はないが……現に人間離れした力をこの目にしてしまったため、全否定はできない。

「…………。」

上手い言葉が出ずに口を閉ざしていると、リバティー様は若干顔色を悪くしながらも、両手を叩いて皆の注目を得る。

「まぁ、これは言い伝えだから、全面的に信じているわけじゃない。
もしかして、何かしら古代神具を欺ける手段があるのかもしれないしね。
とにかく言える事は……ルーク君が1番の要注意人物になったという事だよ。
それはアッシュ君とセレンちゃんの二人と一緒にね。
中立派にとって、確かにこの三人は脅威になるかもしれないけど……それと同時に好転の神様になる可能性もある。」

「……確かに。その存在は、他のライン派閥やオーティス派閥の者達にも牽制になりそうですね。
そう考えると、ルーク様が例え報告どおりの暴君だとしても、我々にとっては非常に有益な方であるとも言えます。
現に一触即発状態であったガゼインは、ルーク様の謎の能力を確かめるまでは動けなくなったはずです。」

「そうそう。ココ最近のガゼインは、よくない動きが多かったからね。
下手をしたら私を力づくで追い出し、自分が学院長に……なんて物騒な事を同じ派閥の仲間たちに話していた様だし~。
でも────……あ、だめっwwまた思い出しちゃったww
あ~もう、あの瞬間、笑い過ぎて変身が解けそうになったんだから!wwもう、最高!ぶっちゃけザマァ見ろだよねぇ~!」

学院のトップの方が、腹を抱えて笑ってる……。

床を転がりまわって大笑いし始めたリバティ様を見て、思わず遠い目をしてしまったが、それだけ毎日悶々とする日々を過ごしているという事だ。
私は現在学院が置かれている難しい立場について考える。

【中立派】は、身分に囚われず、己の努力した実力を評価される場で、その定義は非常に曖昧で危ういモノである事は間違いない。
要は解釈次第で色々な定義を持つ中立派は、他の派閥と違い、それを掲げている人達同士で全く違う理念を持ってしまうという事だ。
更に、他の派閥に対し否定や敵対心を持たない事から、現在ありとあらゆる方面からの攻撃を赦されてしまっている状況である。

結局人は、自分に都合がいい『正義』を選ぶって事なんでしょうね。

人の持つ性質に諦めにも近い想いを抱く。
それでも、中立派を選ぶのは、今存在している別の派閥に疑問を抱くから。

「……教会からの干渉も、これからより一層激しくなっていくでしょう。
なんといっても、今年は【聖后】の才能ギフトを持つ者が学院に入ってくるのですから……。」

「……そうだね。」

リバティー様は、ピタリと動きを止めると身軽な動きで立ち上がった。

この世界を動かしうる『力』を手にする可能性すら秘めている謎の才能ギフト【聖后】。

『精霊神によって世界は創られ、今もこの世界が存在するのは、精霊神の『力』のお陰である』

それを世界の常識であると考えられているこの世界において、教会の力は偉大で、王族と貴族とはまた別の権力として存在している。
そのため、教会全体が一つの巨大派閥として存在しているのだが、その中で最も力を持つ存在として知られているのが────……。

教会の象徴、かつ聖女候補として名高い<セリシア>だ。

セリシアは去年この学院へ入り、既に教会を崇拝する者達で地盤を固めている。
セリシアを崇拝する者達は総じて過激派が多く、それにも注意が必要で……正直全く手が足りてない状態が続いてるのだ。

「セリシアは、非常に聖女らしい清らかな存在に見えるけど、アレからはあまり良くないモノを感じるよ。
あの年でもう完成しているからね、彼女の世界は。
そんな彼女の生きる楽園の世界に、突如現れたのが精霊に愛されし才能を持つ平民の少女……まぁ、こちらはこちらでトラブルを起こしそうだね。
もう早々に保護しているはずのリリスの保護が遅れているのも、位の高い貴族の養女にして地位を~……っていうのを、1番邪魔しているのは、多分彼女だね。
一応の平民として野放しはできないからって、男爵家【トライデント】家の養子にはしたようだけど。
それに、中等部の方にもちょっと気になる存在が入っているし……とりあえず、これからの事を考えると頭が痛いよ~。」

戯けた様子で頭を抱えるリバティー様だったが、その雰囲気は堅く、それだけ警戒すべき状況であるという事だ。
それにつられ、私達も全員気を引き締め、リバティー様へ一斉に視線を向けた。
すると、リバティー様はゆっくりと腕を組み、私達全員の顔を見渡す。

「今まで通り教会側の出方に注意しつつ、これからは王族側の監視も入るよ。
そして、更にどのような動きをするのかも実力も未知数な、グリード家のルークも最大監視対象になるからね。
皆、気を引き締めて頑張って。頼りにしているからねぇ~。」

「「「「────はっ!」」」」

全員が胸に手を当て頭を下げると、私もゆっくりと同じ動作を見せた。

これから何が起こるのかは分からない。
だが、少なくとも穏やかではない事は確実だと思われる。

私は陰謀が渦巻くこの学院────いや、国の未来が今、一体どの辺りにいるのか、そして今後はどの様な未来へと向かうのか……それに対する大きな不安を感じ、自然と体に力が入ったのを感じた。
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