元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!

バナナ男さん

文字の大きさ
156 / 240
第五章【入学院テスト編】

(ルストン)152 ルストンの悩み

(ルストン)

まずい……まずい……まずい……。

頭を抱えながら、現状自分が置かれている立場を思い出し、体を丸めて膝をついた。

ヤバい……ヤバい……ヤバい……。
…………。

ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいっ!!!!

ぐるぐると回る思考に意識が遠のきそうになったが、歯を食いしばって踏ん張り、俺は自室として用意されている部屋の中で、震えながら立ち上がった。
そして、そのまま壁に掛かっている鏡を覗き込み、自分の酷く不健康そうな顔色を見て絶句する。

復讐を誓った俺達家族は、一旦憎き敵であるルークから物理的に離れて計画を練っていこうと考えた。
そのため、一度グリード家を出て【サンドリュー】にいる弟の<ナイル>の元へと身を寄せることにしたのだが、勿論大事な資金源として【アクアドリム】や、その他の領地の税や収益はすべてコチラへ送られる様に手配した────はずだったのに……っ。

◇◇
「ルストン兄さん、言われていた金額の送金が全然送られてこないだけど……。」

ナイルが婿入りした家【クロコダイス】家で生活し始めて早一ヶ月……ナイルからそんな事を言われ、非常に驚かされる。

「?そんなはずは……。」

慌てて確認すると、確かにこちらへ送られてくるはずの金が明らかに少なすぎて絶句した。
今まで入ってきた金の1000分の1……いや、それ以下の、平民ならば多少贅沢に暮らせるだろうという程度の金しか入ってきてなかったのだ。
そのため、俺は慌ててグリード家に電音鳥を送り、<魔線写影機>を使って屋敷に残っているセブンに連絡を取った。


<魔線写影機>
ビー玉程の大きさの通信用魔道具。
視覚的な影像を繋げて、お互い会話する事ができる。
魔線写影機から飛び出したスクリーンに相手の顔が映るため、お互いの顔を見ながら会話する事ができ、よく電音鳥の首輪に取り付けて使う。


「おい!一体どうなっているんだ!なぜ金がこちらに送られない!?

スクリーンに映るセブンにいつもの様に怒鳴りつけてやると、セブンは真っ青に青ざめ怯えながら俺の質問に答える────事はせず、ニッコリと見たことがないくらい満面の笑みを見せた。

《何を仰っているのですか?アクアドリムの自治権は、正式な跡取りであるルーク様に早期譲渡すると、契約したではありませんか。》

「は……はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

全く予想していなかった答えを聞き、思わず大声で叫んでしまった。

アクアドリムの自治権を……ルークに……??

「そ、そんな事は断じて決めていない!!!お前こそ、一体何を言っているんだ!!この無能執事が!!」

そう怒鳴り散らしてやれば、セブンはビクッ!と肩を揺らして震える────事なく、笑みをうっすら浮かべたまま懐から一枚の書類を取り出す。

《こちらが契約書の写しです。ほら、ココにルストン様の直筆サインが書かれているでしょう?
そのため、このアクアドリムと本邸、その他諸々の自治権はルーク様のモノになりました。
よってアクアドリムの領地の利益も、勿論すべてルーク様のモノです。》

「────なっ……!!」

確かに俺の直筆サインが書かれていて、それに絶句する俺。

いつ……?……一体いつ、こんなモノを……?

そこでハッ!としたのは、ルークに手酷くやられた後の事。
心神喪失していた頃、セブンから差し出された書類のいくつかにサインした記憶が蘇った。

「ま……まさか、俺が家を出る前にサインしたモノの中に……?
アレはナイルの所に世話になる際に必要な書類では……。」

《い~え。ルーク様に自治権を譲るという契約書ですね!その他の領地に関しても全て書いてありますよ。》

セブンはニコニコと笑いながら、他の書類も胸元から取り出し、俺に見せつけてくる。

そこに書かれていたのは、現在子爵家や男爵家に預けている領地から徴収する税率や、商人との間に決めた滞在税、入場料、守備隊や公共への援助金などなど……我がグリード家が保有している財産についての取り決めが細かく描かれていた。
しかし、そのすべてが改定されているようで、俺が取り決めたモノから程遠いモノになっている!

「な、な、な、な……っ!!こっ、これでは、我が家に入る総収益が激減してしまうではないか!!今直ぐ元に戻せ!!」

《それはできません。これは領主代行であるルーク様がお決めになった事ですので……。
更にルストン様もそれを承諾したからこそ、ルーク様にお任せするという書類にサインされたのですよね?
無効にするには、ルーク様のサインが必要となります。》

「────ぐっ!お、お前がなんとかしろ!!ルークになんとかして俺にすべての自治権を戻す様、命をかけて頼み込め!!」

現在そのサインがあるかぎり、殆どの金はグリード家の本邸に住むルークが握る事になる。
俺の手元に入るのは、アクアドリム以外の領地で発生する僅かな利益のみ。
これでは今まで通り暮らせないではないか!!

俺が鼻息荒く怒鳴り散らすと、やはりセブンは俺に怯える事なくハァ……とため息をついた。

《……今までアクアドリム以外の領地では赤字が続いておりました。
それもこれも、すべてめちゃくちゃな税金を取っていたルストン様の作った法律のせいです。
そのせいで、殆どの領地では任せていた男爵家が領民のためと、身を切って運営していたのです。
それをルストン様はなんて仰っていたか覚えてらっしゃいますか?『無能な低位貴族』とフルート様と一緒に笑っておりましたよね。》

「当たり前だろう!!男爵家如きに、この俺の領地を任せてやっているんだ。
俺が決めた税金を払っても更に有り余るくらいの金を生み出せないなんて、無能も良いところだ。
俺は伯爵家だぞ?男爵ならこの俺のために役に立って貰わなければ存在価値などないではないか。
無能が自治などできぬから、この俺がキチンとした法律を決めてやったのだ。感謝すべきだろう。」

フンッと鼻で笑ってやると、何故かセブンはクスクスと笑いだし、更に数字が描かれた書類を取り出した。

《ルーク様は、『それぞれの領地を治めている男爵家に自治権はすべて一任する。ただし、必ず支出と利益を数字化した書類の提出と、報告義務を課す』とお決めになりました。
それからそれぞれの領地では直ぐに法律を改定し、たった一ヶ月で黒字に変わったんですよ?
その黒字部分から、ルストン様にもお情け程度ですが、仕送りをして差し上げられる様になったのです。
ルーク様に感謝して下さいね。そうでなければ、今頃は無収入だったのですから。》

「な、なんだと……?」
感想 16

あなたにおすすめの小説

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

即席異世界転移して薬草師になった

黒密
ファンタジー
ある日、学校から帰ってきて机を見たら即席異世界転移と書かれたカップ麺みたいな容器が置いてある事に気がついた普通の高校生、華崎 秦(かざき しん) 秦は興味本位でその容器にお湯と中に入っていた粉を入れて三分待ち、封を開けたら異世界に転移した。 そして気がつくと異世界の大半を管理している存在、ユーリ・ストラスに秦は元の世界に帰れない事を知った。 色々考えた結果、秦は異世界で生きることを決めてユーリから六枚のカードからスキルを選んだ。 秦はその選んだスキル、薬草師で異世界を生きる事になる。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

「ちょっと待った」コールをしたのはヒロインでした

みおな
恋愛
「オフェーリア!貴様との婚約を破棄する!!」  学年の年度末のパーティーで突然告げられた婚約破棄。 「ちょっと待ってください!」  婚約者に諸々言おうとしていたら、それに待ったコールをしたのは、ヒロインでした。  あらあら。婚約者様。周囲をご覧になってくださいませ。  あなたの味方は1人もいませんわよ?  ですが、その婚約破棄。喜んでお受けしますわ。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

刺繍妻

拓海のり
恋愛
男爵令嬢メアリーは魔力も無くて、十五歳で寄り親の侯爵家に侍女見習いとして奉公に上がった。二十歳まで務めた後、同じ寄り子の子爵家に嫁に行ったが。九千字ぐらいのお話です。