21 / 35
21 いい体験をした
それから結局俺は一ヶ月もそのベッド生活を余儀なくされてしまい、神官のシンさんに毎日の様に回復魔法を掛けて貰う事に……。
どうもシンさん曰く俺は魔力0の影響か回復魔法が効きづらく、あと少し遅かったら確実に死んでいただろうとの事。
それにヒェッ!とい悲鳴を上げながら、ひたすらベッドで寝ていると、なんとアイリーン達までお見舞いに来てくれたので御礼を────告げる前に大説教したよ。
洒落にならないイタズラに、コラッ!した。
すると、アイリーン達はその時はしおらしい感じで帰っていったが……部屋を出る直前「次は──……。」等と言ってニヤッと笑っていたから、多分反省してないと思われる。
アイツら……。
全然変わらなさそうな四人にため息しか出ないが、変わりすぎてため息が出てしまう困った君が実は隣にいる。
「…………。」
チラッと隣へ視線を向けると、そこにはまるで借りてきたネコちゃんになってしまったある人物が俺をジッと見つめていた。
圧倒的な美しさとパワーを持ち、誰もがひれ伏すスーパーヒーロー。
ズバリ世界を救いし勇者様!……のヒカリ君だ。
ヒカリ君はあれからまるでカルガモの赤ちゃんの様に、俺にひっついて離れなくなってしまった。
ベッドに寝ている時は勿論の事、トイレに行く時までヨチヨチついてきて個室にまで入って来ようとした時は、流石にやんわりと止めたが、それでも姿が見えないと────……。
「イシ。」
「イシ。」
「イシ、いる?」
「ねぇ、ねぇ……イシ、イシ…………。」
────と、何かの呪文の様にひたすらトイレのドアを叩き、俺の名を呼び続ける。
名前を呼びながらトイレのドアを叩く……そんな事するの学校の怪談くらいじゃない??女子トイレのお化け呼ぶヤツ……。
ちょっと怖いから辞めて欲しいと思いつつ、仕方がないので「はいは~い。」「入ってま~す。」「イシおじさんはトイレ使用中でぇ~す。」と返事を律儀に返した。
そしてまた部屋に戻る俺の後にヨチヨチとヒカリ君はついてきて、部屋に戻ると────そのまま俺が寝転がったベッドの傍らに座り、またずっと俺を見て過ごす。
「……退屈じゃない?」
別に害はないから放っておいているが、一応気を使ってそう問うと、逆に不思議そうな顔で見返されてしまう。
別に暇じゃないならいいけど……モンスター討伐行かなくていいのかな?
フッとそう思ったが……今まで働きっぱなしというブラック企業真っ青案件だった様なので、有給消化と思えば足りないくらいか!と思い直し、ニッコリ。
そのままニヤニヤとしていると、ヒカリ君は不意に俺のおでこあたりをペタッ……と触り、そのまま髪の毛やほっぺ、鼻や顎も同様に触る。
そして最後に口をアヒルの口になる様に摘み、クニクニと揉んで遊びだしてしまった。
何が楽しいのか知らないが、ヒカリ君はとにかくこうやって何かを確かめる様に触ってくる様になった。
これも本人が楽しそうなので放っておいてはいるのだが、なんだかこの手付きデジャブ感あるな~とボンヤリ思っていて、つい最近ハッ!と思い出したのだ。
肉の査定……?
前に見たテレビで、肉の品質などを調べるためにペタペタとお肉の固まりを触っていた映像が出てきた事があった。
俺はその霜降りの美しさに目が釘付け!
いつかあんな素晴らしいお肉をお腹いっぱい食べてみたいと願いながら、それをモニモニと触る職人さん達の手の動きと、即座にランク分けされる肉に拍手を送る。
それがまさか、自分がその霜降り肉の方の体験をしてしまうとは……。人生はまさにサイクロン!流石は異世界!
「……へへへ~。」
楽しくなってきて、つい笑ってしまうと、その口の動きが楽しかったのか、ヒカリ君は口を更に激しくモニモニモ二~!!と揉んでくる。
はい、こちらの唇は、活きが良いですからね~。簡単には査定されませんよ~?
そのまま揉んでくる手を避けるため、右へ左へと唇をウニウニ動かして遊んでやっていると……突然静かに扉を叩く音が聞こえた。
「ふぁ~い。」
ヒカリ君は俺の唇に夢中なため俺が返事を返すと、入っていたのは神官のシンさんだ。
現在彼は、暇さえあれば俺に回復魔法を掛けに来てくれている俺の主治医的な存在で、今日もそのために来てくれたらしい。
シンさんは勇者ヒカリ君を大きく避けてベッドの反対側に回ると、ベッドの横にストンッと座りこみ、俺を覗き込んだ。
「だいぶ良くなりましたね。これならそろそろ日常生活くらいには戻れそうですよ。」
「ほんとですか?それはそれは、シンさんには本当にお世話になりまして~。」
ベッドに横たわったままペコ~と頭を動かして御礼を告げると、そのせいで唇から手が外れてしまったヒカリ君の機嫌は急降下!
ジロッ……!!とシンさんを睨むと、睨まれたシンさんは大量の汗を掻きながらスッ……と視線を大きく外した。
そしてそのまま部屋の中はシーン……としてしまったので、俺は遊びが邪魔されて怒れるニャンニャン勇者に向かい、ペコッと頭を下げる。
「ヒカリ君、ヒカリ君。ちょっとこれから真剣に回復魔法を掛けて貰うから、少しだけ部屋の外に出ていてくれないかな?俺、死ぬほど集中しないと、回復魔法が効かないらしいから。」
「…………。」
ヒカリ君からは更に不機嫌全開オーラが漂ったが、俺の怪我をしている身体を見回し、非常に嫌そうな様子ではあったが部屋を出ていってくれた。
そこでシンさんが大きく息を吐き出し、ヘナヘナ~と力なくベッドの上に上半身を落とす。
どうもシンさん曰く俺は魔力0の影響か回復魔法が効きづらく、あと少し遅かったら確実に死んでいただろうとの事。
それにヒェッ!とい悲鳴を上げながら、ひたすらベッドで寝ていると、なんとアイリーン達までお見舞いに来てくれたので御礼を────告げる前に大説教したよ。
洒落にならないイタズラに、コラッ!した。
すると、アイリーン達はその時はしおらしい感じで帰っていったが……部屋を出る直前「次は──……。」等と言ってニヤッと笑っていたから、多分反省してないと思われる。
アイツら……。
全然変わらなさそうな四人にため息しか出ないが、変わりすぎてため息が出てしまう困った君が実は隣にいる。
「…………。」
チラッと隣へ視線を向けると、そこにはまるで借りてきたネコちゃんになってしまったある人物が俺をジッと見つめていた。
圧倒的な美しさとパワーを持ち、誰もがひれ伏すスーパーヒーロー。
ズバリ世界を救いし勇者様!……のヒカリ君だ。
ヒカリ君はあれからまるでカルガモの赤ちゃんの様に、俺にひっついて離れなくなってしまった。
ベッドに寝ている時は勿論の事、トイレに行く時までヨチヨチついてきて個室にまで入って来ようとした時は、流石にやんわりと止めたが、それでも姿が見えないと────……。
「イシ。」
「イシ。」
「イシ、いる?」
「ねぇ、ねぇ……イシ、イシ…………。」
────と、何かの呪文の様にひたすらトイレのドアを叩き、俺の名を呼び続ける。
名前を呼びながらトイレのドアを叩く……そんな事するの学校の怪談くらいじゃない??女子トイレのお化け呼ぶヤツ……。
ちょっと怖いから辞めて欲しいと思いつつ、仕方がないので「はいは~い。」「入ってま~す。」「イシおじさんはトイレ使用中でぇ~す。」と返事を律儀に返した。
そしてまた部屋に戻る俺の後にヨチヨチとヒカリ君はついてきて、部屋に戻ると────そのまま俺が寝転がったベッドの傍らに座り、またずっと俺を見て過ごす。
「……退屈じゃない?」
別に害はないから放っておいているが、一応気を使ってそう問うと、逆に不思議そうな顔で見返されてしまう。
別に暇じゃないならいいけど……モンスター討伐行かなくていいのかな?
フッとそう思ったが……今まで働きっぱなしというブラック企業真っ青案件だった様なので、有給消化と思えば足りないくらいか!と思い直し、ニッコリ。
そのままニヤニヤとしていると、ヒカリ君は不意に俺のおでこあたりをペタッ……と触り、そのまま髪の毛やほっぺ、鼻や顎も同様に触る。
そして最後に口をアヒルの口になる様に摘み、クニクニと揉んで遊びだしてしまった。
何が楽しいのか知らないが、ヒカリ君はとにかくこうやって何かを確かめる様に触ってくる様になった。
これも本人が楽しそうなので放っておいてはいるのだが、なんだかこの手付きデジャブ感あるな~とボンヤリ思っていて、つい最近ハッ!と思い出したのだ。
肉の査定……?
前に見たテレビで、肉の品質などを調べるためにペタペタとお肉の固まりを触っていた映像が出てきた事があった。
俺はその霜降りの美しさに目が釘付け!
いつかあんな素晴らしいお肉をお腹いっぱい食べてみたいと願いながら、それをモニモニと触る職人さん達の手の動きと、即座にランク分けされる肉に拍手を送る。
それがまさか、自分がその霜降り肉の方の体験をしてしまうとは……。人生はまさにサイクロン!流石は異世界!
「……へへへ~。」
楽しくなってきて、つい笑ってしまうと、その口の動きが楽しかったのか、ヒカリ君は口を更に激しくモニモニモ二~!!と揉んでくる。
はい、こちらの唇は、活きが良いですからね~。簡単には査定されませんよ~?
そのまま揉んでくる手を避けるため、右へ左へと唇をウニウニ動かして遊んでやっていると……突然静かに扉を叩く音が聞こえた。
「ふぁ~い。」
ヒカリ君は俺の唇に夢中なため俺が返事を返すと、入っていたのは神官のシンさんだ。
現在彼は、暇さえあれば俺に回復魔法を掛けに来てくれている俺の主治医的な存在で、今日もそのために来てくれたらしい。
シンさんは勇者ヒカリ君を大きく避けてベッドの反対側に回ると、ベッドの横にストンッと座りこみ、俺を覗き込んだ。
「だいぶ良くなりましたね。これならそろそろ日常生活くらいには戻れそうですよ。」
「ほんとですか?それはそれは、シンさんには本当にお世話になりまして~。」
ベッドに横たわったままペコ~と頭を動かして御礼を告げると、そのせいで唇から手が外れてしまったヒカリ君の機嫌は急降下!
ジロッ……!!とシンさんを睨むと、睨まれたシンさんは大量の汗を掻きながらスッ……と視線を大きく外した。
そしてそのまま部屋の中はシーン……としてしまったので、俺は遊びが邪魔されて怒れるニャンニャン勇者に向かい、ペコッと頭を下げる。
「ヒカリ君、ヒカリ君。ちょっとこれから真剣に回復魔法を掛けて貰うから、少しだけ部屋の外に出ていてくれないかな?俺、死ぬほど集中しないと、回復魔法が効かないらしいから。」
「…………。」
ヒカリ君からは更に不機嫌全開オーラが漂ったが、俺の怪我をしている身体を見回し、非常に嫌そうな様子ではあったが部屋を出ていってくれた。
そこでシンさんが大きく息を吐き出し、ヘナヘナ~と力なくベッドの上に上半身を落とす。
あなたにおすすめの小説
【完結】もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《根暗の根本君》である地味男である<根本 源(ねもと げん)>には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染<空野 翔(そらの かける)>がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。
【完結】みにくい勇者の子
バナナ男さん
BL
ある田舎町で農夫をしている平凡なおっさんである< ムギ >は、嫁なし!金なし!の寂しい生活を送っていた。 そんなある日、【 光の勇者様 】と呼ばれる英雄が、村の領主様に突然就任する事が決まり、村人達は総出で歓迎の準備をする事に。 初めて会うはずの光の勇者様。 しかし、何故かムギと目が合った瞬間、突然の暴挙に……? 光の勇者様 ✕ 農夫おっさんのムギです。 攻めはヤンデレ、暴走ロケット、意味不明。 受けは不憫受け(?)だと思いますので、ご注意下さい。ノリよくサクッと終わりますm(__)m 頭空っぽにして読んで頂けると嬉しいです。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL要素までとても遠いです。前半日常会多め。
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なんでそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。ブラコンのレイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。
“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯⋯って、いくらなんでも多すぎじゃないか!?
え、これだけじゃないって!!?
俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する
知世
BL
大輝は悩んでいた。
完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。
自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは?
自分は聖の邪魔なのでは?
ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。
幼なじみ離れをしよう、と。
一方で、聖もまた、悩んでいた。
彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。
自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。
心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。
大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。
だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。
それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。
小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました)
受けと攻め、交互に視点が変わります。
受けは現在、攻めは過去から現在の話です。
拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
宜しくお願い致します。
【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』
バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。 そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。 最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m
【完結。一気読みできます!】悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!
はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。
本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる……
そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。
いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか?
そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。
……いや、違う!
そうじゃない!!
悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!!
病んでる愛はゲームの世界で充分です!
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。
幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。
席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。
田山の明日はどっちだ!!
ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。
BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。
11/21
本編一旦完結になります。小話ができ次第追加していきます。