姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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男が早口で話す内容は、大体が夫人の予想通りではありました。
だからこそ、なぜこちらの理屈が通らないかが余計に疑問となります。

「勝手な真似を……」

男から話を聞いた夫人は胸の奥に煮えくり返るような怒りを抱えたまま、小屋を飛び出しました。
夫だけには悟られてはならないと、その思いを胸にしています。

夫という存在は、何も知らないのが一番都合がいい。それが夫人の持論でした。

「出かけてくるよ。帰りは遅くなるかもしれないね」

できるだけ平静を装い、使用人にそう告げてから馬車に乗り込みました。
行き先は事業を行う事務所ですが、話を聞けばもう役人が押さえている場所でもあります。

(誰かが裏切った?それとも余計なことを……どちらにしても……私を馬鹿にしてくれたね)

門の前には役人が数名います。
夫人は誰に止められる前に、怒りに任せて踏み込みました。

「あんたたち、一体どういう了見だい!持参金の返還だなんだと……うちの事業に勝手な真似して!」

突然の怒声にも、役人たちは驚くどころか落ち着いた態度で応じました。

「おいでになりましたか、凌夫人。こちらの資金は、ご子息が離縁された女人の持参金から捻出されたものと確認が取れましたので」

「はあ!?一体何を言ってるんだ。そんなもの、誰が証明出来るっていうんだ。あの子の持参金に名が記してあったとでも?」

夫人は鼻で笑って言い返します。
……けれど、心の隅には暗い気持ちが訪れていました。

これは、商人たちと口裏を合わせていて、万が一のことがあれば「こう言うんだよ」と、伝えたそのままの言葉。
それがどうして、役人たちには通じなかったのかと。

(……いや、大方地位や権力のないあいつらのいうことを、役人たちが聞かなかっただけさ……)

役人は淡々と帳簿を開きました。

「ご存じないようですが……ご子息が離縁された女人。この方が持ち込んだ鉱物は高値がつく品です。ゆえに不正な売買を防ぐため、流通に際して一点一点への記録が義務づけられています」

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