(完結)伯爵令嬢に婚約破棄した男性は、お目当ての彼女が着ている服の価値も分からないようです

泉花ゆき

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捨て台詞を放ったビートは、そのままずかずかと店を出ていきます。
苛立ち紛れに挙動が大きくなった体は棚にぶつかり、陳列していた布がばさりと落ちました。
しかし、ビートは舌打ちしてそのまま、店を出て行ってしまいます。

出ていくときに振り返った彼が、一時閉店の看板を見て……憎々しげに舌打ちをしましたが。
それは、店内にいた数人には、もう届かないものでした。

……彼の出て行った店内では、皆が緊張を解いたように息と力を抜きます。

「ふー……ああ、疲れた……」

膝をついて、彼の落としていった布地に手をかけながらロコはぼやきます。
若い店員も、同じようにビートの叩き落していった衣服を集めながら答えました。

「すみません、お嬢さん……
あらかじめ店で伝えられてた通り、不在だと何度も向こうに伝えたんですが」

申し訳なさそうに頭を下げる店員へと、ロコは屈託ない笑顔を見せました。

「いいのよ~、私が来たほうが早そうだったし……
応対してくれてありがとう。お疲れさま」

「お嬢さんこそ、お疲れさまです」

労わり合い、あらかたの整頓が済んだころ。
再びの開店準備を始めながら、ぽつりと店員がロコへ話しかけます。

「……いいんですか?
あの方……ビートという方こそ、ご自分の親と……
侯爵家と話すべきだと伝えてやればよかったのに」

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