(完結)伯爵令嬢に婚約破棄した男性は、お目当ての彼女が着ている服の価値も分からないようです

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そのうちに、ビートはふっと鼻で笑います。

「姉も姉なら妹も妹というわけだな……
そもそも、このような家と縁談を進めようとしたことが間違いだったのだ。
賤しき商売に身をやつした伯爵家など、貴族の風上にもおけはしない」

それはビートの虚勢を塗り固めた捨て台詞でしたが、オーロラにしてみれば生家と姉と自分を一緒くたにまとめて侮辱されたと感じて間違いのない言葉でした。
それに、ビートの言葉は本人が心からそう感じていると、伝わるものだったのです。
すう、とオーロラは頭の奥が冷えていくのを感じます。

「……あなたの方こそ。
そのように見る目のない殿方が、この先どのような選択をお選びになるのか……
その虚勢がどこまで永らえていられるのか、見ものですわね」

微かに残していた取り繕うような態度も失われて、ただ冷たい視線を送るオーロラ。
格下をたしなめるような、呆れたような声で呼ばれ、ビートの顔には更に血が上ります。

「お前はさっきから、誰を相手に物を言ってると思っているんだ！」

声を張り上げるビートへと、オーロラは首をかしげました。

「あなたは……侯爵家、の方でしたわね。
下手に手を出した商売で家格を傾け、方々へと多大な借金がおありだと……
そううかがっておりますわ」