(完結)伯爵令嬢に婚約破棄した男性は、お目当ての彼女が着ている服の価値も分からないようです

泉花ゆき

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「な……」

それではまるで、自分の家はごろつきの罠に掛けられてしまったようなものではないか、と。
ビートは感じました。
何という卑劣な話でしょう。
そして、それを実行してしまった父にしても、呆れの方が先立ってしまいます。
ビートの父には……侯爵には、そのようなリスクのある行為を行えばどうなってしまうかという。
大事な想像が既に出来ないようになっていたのでした。

事業の失敗から来る傾きに、相当追い詰められている、ということはビートにも伝わっていました。
だからこそ、ビート自身こそが侯爵家を支えなければという……
プライドを持って動き回っていたのですが。

彼の行ったことも、やはり。
下調べを怠り、または誤って。
そのプライドの高さから選択を失敗し続けていたのだと……
急に、ビートは実感したようでした。

重厚な階段を上がっていった先にある、父の部屋を見ます。
そこに行かねばならないのに、足へ急に、重りがついたように感じられました。

しかし、使用人に追い立てられ……
とうとうビートは、侯爵の部屋の扉前へと立ちます。

「失礼いたします、ビート様をお連れしました……」

「おお、来たか!」

扉前から使用人が声をかけ、中から侯爵が応じるというのが常のことでしたが。
その日侯爵は、扉の開くのも待ちきれず……自ら扉を開いて息子を出迎えます。

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