74 / 74
74(終)
ご自身の目で見極められるはずのことをそうせずに。
間違えた道から元へ戻るのではなくて、険しい道を選んでより高いところを目指そうとしていた。
しかし不安定な足元のまま、どこへいけるはずもなくて……
そして、どんどん悪循環でこのようになってしまって。
今、上流貴族という家格までも手放さなければならないところまで落ちぶれてしまったのだ、と。
そう、ビートはようやく実感をしたようでした。
脳裏に浮かぶのはマリアンヌのアンティークブローチであり、ロコのシンプルなワンピースであり、オーロラの言葉でした。
あなたなど侯爵家の令息でなければなんの価値もない、と彼女は言っていました。
あがいたことも裏目に出るばかりで、まるで自分の末路が、今見ている父の姿であるかのような……
「ビート、お前は、お前は私を……見捨てまいな……」
父親はもうその時には、立っているのも辛いかというように、ビートの足元へと縋っています。
その姿を見下ろしているうちに、ぽたりと床へ水滴が落ちました。
「あ……あ……」
その時になってビートはようやく、自分が暑くもないのに大量の汗をかいていることに気づいたのですが。
彼の汗を拭く人間は、その部屋の中には誰もいませんでした。
間違えた道から元へ戻るのではなくて、険しい道を選んでより高いところを目指そうとしていた。
しかし不安定な足元のまま、どこへいけるはずもなくて……
そして、どんどん悪循環でこのようになってしまって。
今、上流貴族という家格までも手放さなければならないところまで落ちぶれてしまったのだ、と。
そう、ビートはようやく実感をしたようでした。
脳裏に浮かぶのはマリアンヌのアンティークブローチであり、ロコのシンプルなワンピースであり、オーロラの言葉でした。
あなたなど侯爵家の令息でなければなんの価値もない、と彼女は言っていました。
あがいたことも裏目に出るばかりで、まるで自分の末路が、今見ている父の姿であるかのような……
「ビート、お前は、お前は私を……見捨てまいな……」
父親はもうその時には、立っているのも辛いかというように、ビートの足元へと縋っています。
その姿を見下ろしているうちに、ぽたりと床へ水滴が落ちました。
「あ……あ……」
その時になってビートはようやく、自分が暑くもないのに大量の汗をかいていることに気づいたのですが。
彼の汗を拭く人間は、その部屋の中には誰もいませんでした。
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
私より幼馴染を選んだ婚約者に別れを告げたら謝罪に来ましたが、契約を守れない貴族とは取引しませんので
藤原遊
恋愛
祖父が創立した大商会で、跡継ぎとして働いている私。
けれど婚約者は、私より幼馴染を選びました。
それなら構いません。
婚約という契約を守れない相手と、これ以上関係を続けるつもりはありませんから。
祖父の商会は隣国と新たな取引を始めることになりました。
――その途端、なぜか元婚約者が謝罪に来るようになりましたが、もう遅いです。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
親世代ではなかったのですか?
立木
恋愛
親世代が「乙女ゲーム時代」だったと思っていたら、子世代も「乙女ゲーム」だった。
※乙ゲー転生ですが要素は薄いです。
※別サイトにも投稿。
※短編を纏めました。
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした
三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。
書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。
ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。
屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』
ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく――
※他サイトにも掲載
※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※短編です。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4800文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。