1 / 11
1
しおりを挟む
昔からのしきたりが少しずつ変わり、身分が極端に離れていなければ、お互いの気持ちで将来を決める自由恋愛が当たり前になりつつあった頃のお話です。
私、リリアーナは、学園の図書室で彼……アルフレッド様と出会いました。
「あ……すみません。同じ本を取ろうとしてしまいました」
背表紙へと触れる手が重なり、私は反射的に手を引きます。
同じ本へと触れた方は、制服の学園章を見たところ、一つ上の学年であるようでした。
「いや、かまわないよ。あなたが先に触れたのだから、どうぞ持って行ってください」
彼はそういうと、本を引き抜いて私に手渡してくださいました。
「そんな……」
「気にされないように。ところで、その本は僕たちの学年で習う範囲だと思うが……君は勉強家なんだね」
それが始まりでした。
アルフレッド様は侯爵家のご嫡男で、私は伯爵家の娘です。学園で顔を合わせるたびに、私たちは自然と言葉を交わすようになりました。
「リリアーナ様、今日の講義はどうでした?」
「とても興味深かったです。でも、少し難しくて……アルフレッド様は、もう完璧に理解されているのでしょう?」
「はは、まさか。僕も必死に覚えていたところだよ。でも基礎を去年に習っていたから……よければ、放課後に少しおさらいをしませんか?中庭にいいテラスがあるんだ」
そんな風に誘われて、二人で過ごす時間が増えていきました。
アルフレッド様はいつも優しくて、私の話を丁寧に聞いてくれました。
そんなある時、ふとした拍子に彼が聞いてきたのです。
「……リリアーナ様には、その……親同士が決めたお相手などは、いらっしゃるのですか?」
私は少し驚いて、けれど正直に答えました。
「いいえ……幸いなことに、私の両親は、将来は自分で見つけた方と歩みなさいと……そう言ってくれているんです。ですから、婚約者はおりません」
そして、少しだけ迷ってから、私も問いを返しました。
「……アルフレッド様は?」
「僕もそんな相手はいません。……よかった。それを聞いて、なんだかホッとした」
彼はそう言って、困ったように……けれど嬉しそうに笑いました。
その笑顔を見て私の心は確かに跳ねたのです。
(アルフレッド様は……もしかして、私と同じ気持ちなのかもしれない……)
そう思わずにはいられませんでした。
私、リリアーナは、学園の図書室で彼……アルフレッド様と出会いました。
「あ……すみません。同じ本を取ろうとしてしまいました」
背表紙へと触れる手が重なり、私は反射的に手を引きます。
同じ本へと触れた方は、制服の学園章を見たところ、一つ上の学年であるようでした。
「いや、かまわないよ。あなたが先に触れたのだから、どうぞ持って行ってください」
彼はそういうと、本を引き抜いて私に手渡してくださいました。
「そんな……」
「気にされないように。ところで、その本は僕たちの学年で習う範囲だと思うが……君は勉強家なんだね」
それが始まりでした。
アルフレッド様は侯爵家のご嫡男で、私は伯爵家の娘です。学園で顔を合わせるたびに、私たちは自然と言葉を交わすようになりました。
「リリアーナ様、今日の講義はどうでした?」
「とても興味深かったです。でも、少し難しくて……アルフレッド様は、もう完璧に理解されているのでしょう?」
「はは、まさか。僕も必死に覚えていたところだよ。でも基礎を去年に習っていたから……よければ、放課後に少しおさらいをしませんか?中庭にいいテラスがあるんだ」
そんな風に誘われて、二人で過ごす時間が増えていきました。
アルフレッド様はいつも優しくて、私の話を丁寧に聞いてくれました。
そんなある時、ふとした拍子に彼が聞いてきたのです。
「……リリアーナ様には、その……親同士が決めたお相手などは、いらっしゃるのですか?」
私は少し驚いて、けれど正直に答えました。
「いいえ……幸いなことに、私の両親は、将来は自分で見つけた方と歩みなさいと……そう言ってくれているんです。ですから、婚約者はおりません」
そして、少しだけ迷ってから、私も問いを返しました。
「……アルフレッド様は?」
「僕もそんな相手はいません。……よかった。それを聞いて、なんだかホッとした」
彼はそう言って、困ったように……けれど嬉しそうに笑いました。
その笑顔を見て私の心は確かに跳ねたのです。
(アルフレッド様は……もしかして、私と同じ気持ちなのかもしれない……)
そう思わずにはいられませんでした。
23
あなたにおすすめの小説
婚約破棄した相手が付き纏ってきます。
沙耶
恋愛
「どうして分かってくれないのですか…」
最近婚約者に恋人がいるとよくない噂がたっており、気をつけてほしいと注意したガーネット。しかし婚約者のアベールは
「友人と仲良くするのが何が悪い!
いちいち口うるさいお前とはやっていけない!婚約破棄だ!」
「わかりました」
「え…」
スッと婚約破棄の書類を出してきたガーネット。
アベールは自分が言った手前断れる雰囲気ではなくサインしてしまった。
勢いでガーネットと婚約破棄してしまったアベール。
本当は、愛していたのに…
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
あなたの幸せを、心からお祈りしています
たくわん
恋愛
「平民の娘ごときが、騎士の妻になれると思ったのか」
宮廷音楽家の娘リディアは、愛を誓い合った騎士エドゥアルトから、一方的に婚約破棄を告げられる。理由は「身分違い」。彼が選んだのは、爵位と持参金を持つ貴族令嬢だった。
傷ついた心を抱えながらも、リディアは決意する。
「音楽の道で、誰にも見下されない存在になってみせる」
革新的な合奏曲の創作、宮廷初の「音楽会」の開催、そして若き隣国王子との出会い——。
才能と努力だけを武器に、リディアは宮廷音楽界の頂点へと駆け上がっていく。
一方、妻の浪費と実家の圧力に苦しむエドゥアルトは、次第に転落の道を辿り始める。そして彼は気づくのだ。自分が何を失ったのかを。
愛に代えて鮮やかな花を
ono
恋愛
公爵令嬢エリシア・グローヴナーは、舞踏会の場で王太子アリステアより婚約破棄を言い渡される。
彼の隣には無垢な平民の娘、エヴァンジェリンがいた。
王太子の真実の愛を前にしてエリシアの苦い復讐が叶うまで。
※ハッピーエンドですが、スカッとはしません。
真実の愛ならこれくらいできますわよね?
かぜかおる
ファンタジー
フレデリクなら最後は正しい判断をすると信じていたの
でもそれは裏切られてしまったわ・・・
夜会でフレデリク第一王子は男爵令嬢サラとの真実の愛を見つけたとそう言ってわたくしとの婚約解消を宣言したの。
ねえ、真実の愛で結ばれたお二人、覚悟があるというのなら、これくらいできますわよね?
あなたでなくても
月樹《つき》
恋愛
ストラルド侯爵家の三男フェラルドとアリストラ公爵家の跡取り娘ローズマリーの婚約は王命によるものだ。
王命に逆らう事は許されない。例え他に真実の愛を育む人がいたとしても…。
何か、勘違いしてません?
シエル
恋愛
エバンス帝国には貴族子女が通う学園がある。
マルティネス伯爵家長女であるエレノアも16歳になったため通うことになった。
それはスミス侯爵家嫡男のジョンも同じだった。
しかし、ジョンは入学後に知り合ったディスト男爵家庶子であるリースと交友を深めていく…
※世界観は中世ヨーロッパですが架空の世界です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる