親同士の決め事でしょう?

泉花ゆき

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照明の少ない廊下からは部屋の様子が少しだけ見えました。カレン様はねっとりと表情を崩した顔で、さらに甘えるようにアルフレッド様の懐へと潜り込んでいきます。

「ああ、もちろんだ。カレンは僕にとって、大切な……家族みたいなものだろう?」

アルフレッド様は、ただ目の前で泣きじゃくる彼女を宥めるためにその場しのぎの言葉を口にしたようだけれど……
それはカレン様にとっての粘ついた言質になるのだと、彼はどれだけ理解しているのでしょう。
そして私にとっても、彼の優しさがいかに無価値になってしまったのかを証明するような一言でした。

「……よかった。あは、あはは!なんだ、そうだったんだ。ごめんね、アル。私、勘違いして……あの子がアルをたぶらかしたのかと思っちゃった」

カレン様の声から、先ほどまでの悲壮感が魔法のように消え去りました。代わりに陶酔しきったような、勝ち誇った響きが室内に充満します。

カレン様の涙が意識的でも無意識にでもアルフレッド様を動かすために流されたものであること。彼女が記憶をゆがめて周囲を操り、自分の居場所を確保しようとしていることも……

アルフレッド様には何一つ見えていないようでした。 
ただ目の前で泣いている存在を、本当にその場だけの嘘でもって慰める。……それは優しさと呼ぶには、あまりにも無責任な振る舞い。

「変だと思ってたんだ!だって私の方が優しいし、裏表だってないし、アルのおばさまやおじさまからの信頼だってある」

カレン様は熱に浮かされたように、お高い自己評価を喋り続けています。

「そりゃ、あの女だってまあまあ美人かもしれないけど、アルの好みは私みたいな明るくって可愛い子なのに。ね?そうでしょ?」

彼女は堰を切ったように自分がいかに優れているか、そして私がいかに不釣り合いであるかを語り始めました。品のないことを明るいと言い換え、配慮の欠如を裏表がないと美化するその厚顔無恥な様子。

「年下って言うから嫌な予感がしてたんだ。アルにはちゃんと年上で意見も言えて気遣いも出来る……私みたいな人がついてなきゃダメなんだよ」

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