親同士の決め事でしょう?

泉花ゆき

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私の推測に、侍女はわずかに苦い表情を浮かべました。

「返事は不要との旨でした。先方がおっしゃることには……」

侍女はそこで言葉を切ります。何か言い淀むようなことなのでしょう。私が、続けてというように目配せを送ると、彼女は小さく息を吐きました。

「……手紙ではなく、直接当家からお嬢様が出向く手はずになっているからと」

「まあ……」

呆れ果て、思わず乾いた声が漏れてしまいます。どこまでアルフレッドが命じたのかは分かりませんが、彼がそう言ったことはなぜか簡単に想像が付きました。

あくまでも私をあなどっているのがありありと分かるような扱い。

「これは何も今決めたわけではないのだけれど……」

香り高い紅茶は胃のを温め、そして心を落ち着かせてくれているようでした。
視線は伏せたまま、誰に聞かせるでもなく言葉を紡ぎます。

「私は本日、ゆっくりと読書をして過ごすことになっているの。予定を変更することはないと思うわ」

朝から決まりきっていたことを再確認するだけのことでした。
私の言葉に、侍女はすぐに全てを理解したような笑みを浮かべたようです。

「承知いたしました。では、お代わりの用意もしておきますね」

「ありがとう、そうしてちょうだい」

彼女が静かに部屋を退出していきます。私はゆっくりと紅茶を楽しんだ後、窓辺へと移動しました。

設えてある椅子へと深く腰掛け、暖かな陽光を浴びながら手持ちの本を開きます。

……手紙には、ご丁寧なことに時刻の指定までもしてありました。

アルフレッド様も今頃起きていらっしゃるのでしょうか。私にこのような手紙を出して、彼はそれが本当に通ると思ったのか……

(邸の玄関で時計を何度も眺め、私が現れるのを今か今かと待ち構えているとでも……?)

一方的な通告は何の約束とも呼べるものではありません。
時間が過ぎるごとに、彼の表情がどのように歪んでいこうとも……それを想像したとしても、私の心にはもう何の痛みも湧いてきませんでした。

私は本へと視線を落とし、全ての考えを追いやりながらページを捲りました。

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