婚約者に浮気されたので、肩代わりしてた公務その他をお返しします

泉花ゆき

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私は机の上の荷物をゆっくりと鞄に戻しながら告げる。

「方法だ?回りくどいことを」

「わたくしが持っていないといくら口でお伝えしても、一向にご納得いただけないようですから……魔術科の先生方にご協力を仰ごうと思います」

「魔術科……?」

「ええ。この学園には、優秀な魔術科の教師が大勢いらっしゃいますから……その方々に頼んで鑑定を行っていただこうかと」

その提案をした瞬間、ミナ嬢の喉が風を通したようにヒュ…と鳴った。
取り繕うように笑顔になりながら、急に意見をひるがえす。

「えっ……でもでもそんなのってご迷惑にぃ……」

「……物体には、触れた者の魔力や指紋が残ることはご存知ですよね。特にこれほど……念入りなまでに破かれているものですから。こんなことをなさった方の痕跡が色濃く残るはずです」

私はミナ嬢の言葉を遮って床の散っている教科書の切れ端を見下ろした。

「この紙片を鑑定すれば、誰の痕跡が残っているかすぐに分かることでしょう。わたくしが起こした事態と言うのなら、わたくしの痕跡が検出されるはず。……逆に、もし別の誰かの痕跡が検出されたなら……その人物こそが起こしたことだと、そう考えても問題がないかと」

私はミナ嬢の方へ向き直る。彼女の顔色は、先ほどは泣きまねで紅潮していたけれど。今は焦りでなのか青白くなっている。

「さらに言えば、道具にも痕跡は残りますから。その人物の持っている道具を調べれば、同じように証拠が出てくるのでしょうね」

「……っ!」

ミナが急に自分のバッグを庇うように抱きしめた。……それは、その中に何か不利なものが入ってると言っているようなものだけれど。

「いいアイデアだと思いませんか?ジェラルド様。もしもこれを行った人物……犯人が特定できたなら。貴方の懇意にされているミナ嬢を傷つけた人間に、正当な罰を与えられるかと思います」

ひとまずは放置して、ジェラルド様へと向き直った。

「ふん……どうせお前がしたに違いないが、他に不届きな者がいないとも限らない。お前の案に乗ってやっても……」

「や、やめてください!」

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